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100万年後に幽霊になったエルフ  作者: 霊廟ねこ
3章 小さき者の大きな力
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97 ヒマだからルイザの所へ 2

 自宅を出て内階段を下り、建物の外に出るとステラの足が止まった。まだ攫われた時の影響で恐怖心が湧いてくるようだ。

 とりあえず魔法で恐怖心を抑えるとステラは私にお礼を言ってから足を動かした。


 ルイザのいる冒険者ギルドは11番街レテ区支所という住所だ。私には土地鑑が無いので案内はステラ任せになる。ステラは姉と一緒にギルドにちょくちょく行ってたので道は分かるようだ。

 歩いて行ける距離とのことで鳥バスは使わない。鳥バスでも行けるし楽だけど待ち時間も考えると歩きの方が早く着くことの方が多いらしい。


(今日さ、朝起きてなんか変な感じがすると思ったらキディアとケミーがいないからだった)


 ステラは寂しそうに言った。

 昨日までは目が覚めればまず最初に彼女達の姿が目に入ったからね。でも私は相変わらずいるし、今日からは母もいるからステラは1人じゃない。


(それに加えてデシリアに声を掛けても返事がないからさ、今までの出来事は夢だったのかなって、そう思ってたらチッピィの姿が見えて、あぁ夢じゃなかったって安心した)


 幽霊とはいえ私は寝てたからね。幽霊だから眠気もなんもないのだけど呼び声にはすぐ反応できないっぽいな。


(ごめんごめん。ステラの自宅だから起きて警戒する必要ないと思って久々に寝てみた)


(あ、そういえば今までは見張ってくれてたんだったね。守ってくれてありがとう!)


 ステラはお礼を言ってくれた。自宅でステラが寝る時は私も心置きなく寝かせてもらうね。


(まぁ起きてても誰も襲ってくることは無かったけどね。ところで話は変わるけどステラのお姉さんの姿はまだ見たことないんだけど、仕事で出てるのかな?)


(家にはたまにしか帰って来ないし、お姉ちゃん強いから心配するだけ無駄だし)


(イブリンとどっちが強そう?)


(分かんないけどきっとお姉ちゃんが強いと思うよ)


 そういえば勇者候補生並みに強いとステラが言ってたね。本当かは分からないけど。勇者候補生もあの闇の勇者――メイのように冒険者を狙ってたりするのだろうか。


 しばらく歩くと冒険者ギルドへ到着。

 町のギルドというだけあってひっきりなしに人が出入りしてる。いや、町と呼ぶにしては多すぎる気がする。この規模は私の時代なら大都市のような賑わいだ。


 中に入るとステラが子供だからか視線が一気にこちらへ向いた。以前ディマスやアニータのことがあったのでまた何か巻き込まれるような気がしたけどその視線はすぐに解かれた。一部の人はやはり子供が嫌いなのか眉を寄せひそひそと愚痴っていた。アニータみたいなタイプはまぁまぁいるようだ。


 しかし絡んでこないのは人の目が多いからだろうか。ステラはよく来るというだけあり慣れてるのか気にせず堂々と窓口へ進んで行く。


(ねぇステラ、みんな見てるけど怖くないの?)


(ここで絡まれたことないから平気。だから前にサービル村とかで絡まれた時は驚いたよ)


 ステラは窓口でルイザが宿泊しているかを尋ねてみると個人情報なので教えられないと断られた。個人情報だと何故駄目なのか私には理解できないけど、ルールなら仕方がない。


(ステラ、駄目だって言ってるけどどうするの?)


(大丈夫だよ。部屋を訪ねたら駄目ってわけじゃないから)


 私に答えるとステラは職員へ続けて尋ねる。


「知り合いの部屋の場所は分かってるので宿舎に行ってもいいですか?」


「ええ、行き来は特に禁止されてないので大丈夫ですよ。でも怪しい動きをすれば警察に突き出すこともあるので関係ない部屋には行かない様に注意してね」


 警察って……ああ、私の時代でいう衛兵とかのことだったね。とにかく部屋を訪ねることは禁止されていないようだ。


(教えてくれないのは知ってたけど一応話をしておかないと怪しまれるかなって思って)


 まぁ確かに、予め断っておいた方が余計な警戒をされにくくなるだろうからね。

 ルイザは1年近く宿舎を利用すると言ってたのでまだ3日目の今日に宿を出払うなんてことは流石にないだろう。

 宿舎のある階段を上がる直前で窓口の方から男の大声が聞こえて来た。


「今、何て言ったんだ?!」


 視線を向けると受付窓口の方で男が職員に怒声を浴びせていた。


「非常に稀ですが彼女は蘇生が出来ない体質だったようです」


「死んでも生き返らせることができるって言ってたじゃねーか!」


極稀ごくまれに失敗する可能性があることは登録時にお伝えしております。お気の毒ですが彼女を蘇生させることはもう私達でも出来ません」


 男は呆然と立ち尽くし、できないと言われても納得できないようで掴みかかった。


「ふ、ふざけるな! どうにかしろ!」


「お気の毒ですが私達にはもうどうすることもできません」


 冒険者ギルドって死んだ人を蘇生することができるってこと? 私だって出来ないのに? もしそうならディマス達が命を賭けてるって話は……いや、目の前の男の仲間はどうやら失敗してるし命を賭けてることには変わりないのか……?


「ステラ? あなた今日は学校のはずじゃ……」


 声に振り向くと少しだけ驚いたルイザがいた。たまたま買い物とかに出かけてていなかったらどうしようかと思ってたけど、冒険者ギルドにいてくれて良かった。


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