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100万年後に幽霊になったエルフ  作者: 霊廟ねこ
2章 才色兼備の猫人魔術士
172/279

88 ルイザVSアニータ 3戦目 3

かなり短め

 車内に目を向けるとキディアは膝にある手紙を拾い、気を使ってか目を通さずにルイザに差し出す。

 ルイザは嫌々ながら受け取ると、恐る恐る手紙の内容を確認した。


「なんて書いてあるの?」


 ステラはそう言いながら覗き込むとルイザはビクッと目を見開き驚く。そして手紙をくしゃくしゃに丸め――


「ファイアァァァァ!」


 と魔術で灰に変えた。

 よほどひどい事でも書かれていたのだろうか、必死の形相だ。美人が台無しだ。


「コラ! 車内で火を使うんじゃない!」


 灰は車内を飛び回り、不快に感じた他の乗客からルイザは叱られた。

 ルイザは謝った後、意気消沈し頭を抱えた。


「あー……、ヤダヤダー。なんでこうなったのかしら」


 そう呟くルイザをステラは心配そうに見つめる。


(ステラ、チラッとでもなんて書いてあったか見えなかった?)


 ステラは一瞬だけでも手紙を見たはず。


(女なのに好きになったとかって書いてあったよ)


 えーっと……まさかのラブレター? いや、でもアニータって女だったはずだけどもしかして同性愛者? ゼラルドの代わりにアニータが届けた可能性は……ないな。アニータにそんなことを頼む姿が想像できない。


 アニータは昨日はあれほどルイザのことを嫌ってたのに、たかだか足を治してもらっただけで好きになるなんてどうなってるの?


 ああ、なるほど!!

 あの女、力じゃ勝てないからって精神的に追い詰める方法に出たのか。


 しかも反撃される可能性のある悪口ではなく同性からの告白という嫌がらせなのか本気なのか対応に困る方法。そうなるとルイザもやり返すのは難しいだろう。そんな手段を取るほどまでにルイザの事が気に食わないということか。

 ルイザは同性愛者ではないようでかなり効いてるように見える。


「なんて書いてあったの?」


 と、空気を読まずにケミーはステラに聞いてきた。

 ステラは代わりに答えようとせず沈黙してると、ルイザは声をケミーに向けた。


「ただの謝罪文でしたわ。もう関わりたくもないのにしつこくてしつこくて……」


「窓開けちゃってごめん」


「いえ、ケミーは悪くないのですわ。それよりもこの話は終わりにして何か楽しい事でもしましょう!」


 ルイザは空気を変えるために遊ぶことを提案した後、猫の顔が描かれたピンクの小さい鞄からカードを取り出し4人で遊び始めた。

 私には何をやってるのかルールが理解できないので窓から見える風景を見て暇を潰すことにした。


 段々と小さくなっていくレンゼイ村。次はいよいよステラの故郷であるエリンプスの町。町に着いてもステラが冒険者になるのは約1年後――半年より少し長いくらいと思われる――で、学校を卒業してからになる。

 さっさと世界を見て回りたい気持ちはあるけど、気長に待つとしよう。エルフである私にとって1年なんてあっという間だからね。


 あ、でももう私はエルフの寿命じゃなくてステラと同じ寿命だった。そうなるとあと70年程度しか生きられないってことか。

 そう思うと途端に気持ちが焦ってしまう。人間の寿命って短いんだな。


(ねぇステラ、そのゲーム私もやらせて)


 短い人生を無駄にしないためにもゲームを覚えてみることにした。

 しかしそんな気持ちもその時だけのもので少し経つとまた時間を無駄にし始めるのだった。

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