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100万年後に幽霊になったエルフ  作者: 霊廟ねこ
2章 才色兼備の猫人魔術士
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84 魔法と魔術 2

「それで魔法の場合は攻撃系魔術も詠唱無しで発動できるみたいですわ。魔術だと特定の言葉が発動のために必要ですし当然ですわね」


 なんでみんなわざわざ魔術の名称を口にしてから発動してるのかと思っていたけどそんな事情があったのか。

 でも身体強化や治療の魔術では詠唱してないのだけどなぜだろうか?

 それは冒険者にでもなれば分かるか。


「魔法は扱うのが凄く難しいのですわ。ステラの年齢であれほどの魔法を扱うのは聞いたことがないし、低ランク魔術に相当する魔法すら難しいという話ですわ」


 と、ここでルイザは眉を寄せ疑いの目を向ける。


「ということはあなた、本当は私より年上じゃありませんの? こう見えて30歳とかだったりするのではないですか? ステラ“さん”と呼んだ方がよろしかったですか?」


 嘘を吐かれたと思って不愉快になったのかな?

 私もステラの年齢が本当に11歳かは分からないんだよね。ただしイブリンと違ってステラが11歳にしか見えないのは事実だ。

 こんな若々しい30歳がいるとするなら寿命1000年とかの長命種族――私から見れば短命だけど――くらいだろう。


(ルイザもイブリン達みたいなこと言ってるけど、実際どうなのステラ?)


(デシリアもなんてこと言うんだよ! 私は11歳だよ! 年不相応なことしてるのはデシリアでしょうが!!)


(はっはっは、冗談だよ冗談)


(家に帰れば学生証があるし、そこにちゃんと年齢が書いてあるからね!)


 ということらしいので年齢は証明できそうだ。


「ルイザ、私は11歳だよ。本当だからね。証拠なら学生証がエリンプスの自宅に行けばあるし、今度見せるから」


 私は学生証を見せると言ってエリンプスでステラとルイザがまた会うようにさりげなく仕向ける。


「あと、ほら、肌のつやだって30代には見えないでしょ?」


 私は素肌を晒した腕をルイザの方へ突き出す。


「肌の艶なんて言われても30代と10代の違いなんて私には分かりませんわ。後で学生証で本当に11歳か確認させて頂きますわね」


 子供には興味の無い肌の話題を出したから余計に疑われたかもしれない。まぁ私もイブリンのことがなければ肌のことなんか興味はなかったんだけどね。


「あと年齢が確定するまでは呼び捨てにしておきますわ」


(私が年上だったとしてもルイザちゃんになら呼び捨てさせるけどね)


 ステラは年齢に関係なくルイザに“ちゃん”づけさせたいようだ。そんな嬉しい物なのかな? その気持ちがよく分からない。


「正直な所、年齢に拘わらずあなたは異常ですわ。魔法で私の怪我をあっさりと治し、あれほどの爆発に耐える魔法を行使して、あの訳の分からない強さの男に勝利した。……とても信じられませんわね」


 あの自称勇者兼魔王はあの場にいた複数の勇者を退けるくらいだし、恐らくルイザよりは強いのだろう。

 そのせいで私の力がルイザにバレてしまうし、口止めという余計な仕事が増えた。ルイザと話をする機会が増えたのは嬉しい誤算ではあるけどね。


「つまり、あなたのその力の事を言い触らしたら私が馬鹿にされるだけでしょうね。だから言い触らすなんてことはしませんわ、安心してください」


 私の最初の予想通り、口止めなんかしなくても言い触らさなかったっぽいな。


「魔術であれほどのことをやるには多分ランク8はないといけないでしょうし、そうなると年齢は30代になってるはず。魔術士ギルドで子供にしては天才と言われる私でもまだランク5しかないのですわ」


「え、自慢?」


「あなたの前では全く自慢になりそうにないのですわ」


 イブリンが30代でランク8というのを考えるとルイザの年齢でそのランクはきっと凄いのだろう。知らないけど。


「年齢的な制限があるから私の年齢でもランク8には絶対届かない。ステラの年齢だとランク1相当の魔術を魔法で発動するだけでもとんでもないことですわよ。あなたの魔法はおそらくランク8以上の魔術くらいにはあると思いますわ。これだけ言えばあなたがどれだけ人間離れしてるかが分かるんじゃないかしら?」


 もちろん自覚はしてる。生前でも私のこの力が異常なのは知ってたからね。1割程度の力すら出す機会がないほどだったし。


(何言ってるか詳しくは分からないけど、デシリアが凄いってのは伝わって来たよ!)


 人間換算だと私は多分30歳くらいだからね。それでも凄い事には変わらないけど。下手をすればステラは11歳にしてその視線を向けられてしまうかもしれないわけだ。


(私が凄くても、凄いと思われるのはステラだよ。今のあなただと外見から舐められて面倒事を引き寄せるってのは覚えておいてね)


 ステラと脳内で会話してる間もまだルイザは話を続けていた。


「だから、あの時あなたのことを化け物だと言ってしまったの……です……わ」


 そこまで言ってルイザは一瞬固まった。そして驚くように目を見開き、両手で口を押さえた。

 

「あ、違うの、悪気はないのですわ。あ、あの時は混乱してて、怖くて、その

悪い意味で化け物って言ってしまったけど……あ、あ、違うの! ご、ごめんなさい! そういえばまだちゃんと謝ってなかったのですわ~~!!!」


 早口で言った後ルイザは床に両膝でひざまずき、両目を閉じると頭を勢いよくゴツンとぶつけ、両手を合わせた。



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