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100万年後に幽霊になったエルフ  作者: 霊廟ねこ
2章 才色兼備の猫人魔術士
148/280

79 人違いじゃないですか? 2

「今ので確信した、やはりお前で合ってる」


 シェダールは今の私の動きを見て確信したようだ。


 って、何をだ?


 動きのクセから判断したというのなら私とステラは明らかに動きが違うので合ってるわけがない。攻撃を避けた事に対して言ってるなら私が憑依する前のステラはそもそも避けられないからそれも合ってない。


 つまり何も合ってないということになる。それとも他に何かあったのか?


「私はあなたのことは知らないです」


 ステラは私の発言に対して頭の中で「うんうん」と同意する。


「ただの子供が今の攻撃に反応できるわけがない。今のは勇者候補でも無理だ。つまり、お前は勇者並みの子供という訳だ。そんな存在は他にはいるわけが……いや、そういえばいたな。だがお前と同じ髪の色は他にはない、ということはお前はあいつだ」


 お前はあいつ……? ということはステラの親と関係があるわけじゃなくステラ自身に因縁があるということ? でも以前のステラなら今の攻撃は躱せない……はずなんだけど、ステラが私に実力を隠してる可能性があるのか?

 いや、そんなわけがない。もしそうなら屋敷から抜け出すために私に憑依してもらう必要性すらないし、得体の知れない私を拒絶するだろう。


 勇者並の子供と言えばイブリンが思いついた。いや、確かに外見は子供と変わらないけど、でも大人だ。

 イブリン以外にも中身は大人で外見が子供の魔術士や冒険者がいるかもしれない。イブリンでもかなり強かったし、彼女よりも魔術士ランクが上なら勇者並の可能性もあるだろう。シェダールはそういう人と見間違えてる可能性もある。


 やっぱりステラは人違いだろう。


「ちょうどいい、お前に勝てなければあいつには勝てないだろうからな。さぁ戦おうじゃないか! ……いや、お前を倒せばあいつと戦わずに済むかもしれないな」


 わけのわからないまま戦うことになってしまった。ここまで意味不明だと話し合いでの解決は難しそうだ。


「ちょっと待った! あなたって勇者なんでしょ? 勇者ランクを聞かせて!」


 勝てるかどうかはランクを知れば分かるだろう。どちらにしても自信はあるけどね。しかし絶対ではない。

 とりあえずはランクが闇の勇者以下ならまず勝てる。さっきの動きを見るにそのランクと同格くらいはありそうだ。


「俺の勇者ランクは星屑メテオだ。勇者としては最低ランクに位置する」


 最低ランクなら闇の勇者以下なのは確定だ。つまり私から見れば確実に勝てる相手。

 嘘をいていないなら、だけど。

 

「だが、この俺にはもはやランクなど何の意味もない。お前……まだ子供だというのに勇者ランクの存在まで知ってるとは。勇者についてどこまで知ってる?」


 子供だと知ってたらおかしいのか? いずれ学校で習うのかな。

 メイから聞いた範囲でなら知ってるけど勇者と関係があると思われない方がいいか。


「だってさっき盗賊達に勇者ランクを聞かれてたから気になっただけだよ! それで勇者ランクって何? 勇者って何ですか?」


「盗賊? ああ、勇者共のことか。確かにさっきの勇者共に聞かれたんだったな。……まぁいい。お喋りだけをするのもつまらんから戦いながら話すとしよう」


 さっきの盗賊は勇者だったようだ。最低ランクである星屑一人に負ける勇者の集団ってことは盗賊達もランクは星屑だったのだろう。シェダールが星屑の中で最強格ならそういう結果もありえるかもしれない。


「勇者って何をしてる人なの?」


「勇者ではないお前がそれを知ったところで何の意味もないぞ?」


 そう言葉を発するとシェダールは手の平をこちらに向けた。

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