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100万年後に幽霊になったエルフ  作者: 霊廟ねこ
2章 才色兼備の猫人魔術士
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75 ルイザ達を追いかけるステラ 3

 しばらく代わり映えの無い緑の風景を進んで行くと3つの人影が目に入った。


 ケミーとルイザ、キディアだ。3人は袋を抱えていた。

 その袋に魔石を入れているんだろう。かなり入ってるように見えるしもう仕事は終わったのかもしれない。ステラの出番はなさそうだ。

 あ、ステラって袋持ってないから間に合ったとしてもすることがないな。


(ん?)


(どうしたのデシリア?)


 3人の姿を見て何か違和感があったけどなんだろう。

 その違和感について考えているとケミーがこちらに気付いて動きを見せた。手が塞がってるからかピョンピョン跳ねて存在を主張している。

 そして3人は近くまで寄ると一旦立ち止まりケミーは困惑顔で言った。


「ステラちゃん……ちょっと遅かったね、もう帰ろうとしてたところだよ」


「あー、間に合わなかったかぁ……」


(デシリアが身体強化かけてくれてれば……)


 ステラは不満を頭の中で零したが私は無視した。


「あ、そうそうルイザちゃん、さっきアニータって人に会ったんだけど、ルイザちゃんにありがとうって伝えてってさ」


「……そう」


 そっけなく返すルイザは声だけでなく顔も疲れているように見えた。

 その横でキディアはケミーと話をしている。


「あ、あのケミー、重くない? 疲れたら無理しないで休んでもいいんだよ」


「う、うん。私みんなより体力無いから疲れたらそうするね」


 ケミーはキディアに少しぎこちないながらも嫌な顔をせずに返した。

 これが違和感の正体か。だけどたった数時間で何があればここまで変わるんだ?


(ねぇステラ。ケミーとキディアが普通に話してるんだけど、いつの間にか仲直りしたのかな?)


(本当だ、ルイザちゃんがきっと何かしたんだよ! どんな方法を使ったんだろう)


 ステラはそう予想するがルイザは二人が険悪だったことは多分知らないはずなんだよね。

 聞いたところで仲悪かったの? と逆に驚かれるに違いない。


「ねぇねぇルイザちゃん、ちょっと聞きたいことがあるんだけど……」


 ステラは口に手を当てケミー達に聞かれないように耳打ちしようと近づくがルイザは抱えた袋を突き出し接近を拒む。


「あの手には乗りませんわ」


「いや、叩くつもりはないから」


 昨日鳥バスの中でルイザはステラに耳打ちするふりをして叩いたので仕返しをされると思ったのだろう。

 ステラはルイザをケミーとキディアから引き離し、不思議そうな顔で囁くように尋ねる。


「どんな魔法を使ったの?」


「はい?」


「ケミーとキディアの二人のことだよ、何をしたの?」


「意味が分かりませんわ、尋ねるという事は私の知らない所で二人の間に何かあったのかしら?」


「え? ……ううん。ごめん、気のせいだった。あ、その袋持ってあげるよ」


 ステラは誤魔化すようにルイザの持っていた袋を強引に奪い取った。


「あ、ちょっと重いですわよ……って平気なの?」


「うん、確かに重いけどこれくらいなら持てるよ」


「ケミーがキツそうにしてたけど、あなた凄いですわね。それともケミーの体力がないのかしら」


「冒険者になるために体は鍛えているからね」


「じゃああなたに甘えてもいいかしら? 色々とあって疲れてますし。でも、もし辛くなったら言ってくれたら交代するから」


 ルイザは珍しく優しい顔をステラに向けた。


「任せて!」


 ステラはギルドに行くまでの間、私に身体強化を強請ねだって来たので見るからに疲れてるルイザのためにも少しだけ掛けてあげることにした。

 みんなと一緒に作業はできなかったけどルイザと少し距離が縮んだステラは満足したようだ。

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