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カバンの中には現代兵器  作者: アンケン
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謝礼

「改めて、この度のドラゴン討伐及び帝国軍侵攻の撃退においての活躍、王国を代表いたしまして感謝いたします」





 メガネの青年…レイシルが頭をさげる。


 場所は変わっていつもの面会室。

 俺たちのマイホーム……だった場所で声をかけてきた男。自らを情報局の長官だと名乗った男が話しがしたい、ということでこの場所に戻ってきたのだ。


 ……情報局と聞くと、CIAみたいな物なのか?

 まぁ、領主に一言で面会室を借りることが出来ているあたり偉いさんだということはわかる。






「大したことじゃありませんよ。自分のできることをやったまでです」




「ご謙遜を。加えて、聞く話によると襲撃してきた帝国軍の特殊戦闘部隊も殲滅したとか。重ね重ね感謝いたします」







 そんな偉いさんが目の前で何度も頭をさげるもんだからどうすればいいのか迷ってしまう。

 何か裏があるんだろうが……。








「言葉はこれくらいにして、今回私がこの場へと来たのは、もちろん感謝を伝えるだけではありません。トーヤ様には謝礼として用意したものを受け取ってもらいたいのです」






 その言葉で後ろから現れる木の箱。

 そしてそのまま、外見からして高級感あふれるその箱をスッと差し出してくる。



 ……え、どうすんのこれ?






「どうぞ、中身をお確かめください」






 あ、開けていいんだ。

 その言葉で目の前にある箱へと手を伸ばす。


 直前で少し躊躇い、レイシルの方を見ても、相変わらずにこやかな笑顔を浮かべるだけで、何も読めとれやしない。

 ……とりあえず開けてみるかぁ。



 心地よい手触りの箱に触れ、扉を開ける。


 中にあるのは1つの袋と……何かの用紙だ。

 袋は少し口が開いており、中から覗かせる金貨から、お金であることはわかる。


 そしてこの和紙にも似た感触の用紙が3枚。だが、文字の読めない俺は理解することが出来ない。




 そんな俺を見かねてか、レイシルが口を開く。






「そちらの用紙は一枚目がこの国での全ての免税、生活補償などの証明書。二枚目は今後トーヤ様が行う全てのことにおいて要請があれば国が助力する、という旨の誓約書。三枚目が爵位授与に関する書類になります。今回トーヤ様には伯爵の席をご用意しております」



「伯爵!?」




 驚いたのは同席していた領主である。

 その声の大きさに、視線が一斉に集まり、すぐに縮こまる。



 ……ワシより上、という言葉は聞かなかったことにしておこう。







 さて、思考は目の前の用紙へと切り替わる。

 実質、これを受け取れば俺は王国の国民となることになる。まぁ国民の義務のほとんどは免除されるようだけど。

 だが、レイシル……もとい王国が俺に求めるのはおそらく俺の戦闘力だろう。


 そりゃそうだ。自分で言うのもなんだが、こんな巨大な戦力があればすぐにでも囲い込みたくなるだろう。





 だからこそ、悩む。

 別に俺はこの王国に味方しても良いからだ。


 俺が重視するは俺たちの自由。そこさえ確立していれば、他は特に何でもいいのだ。

 ……というか、この国と攻めてきた帝国以外の国をほぼ知らないのだから、何とも言えないのが事実である。





「1つ、俺がこれを受け取ることによって、あなたたちは俺たちに何を望む?」




「単純に、王国に敵対しない、ということを誓っていただきたい」






 ……お?

 王国の味方をしろ、ではなく敵になるな、と来るのは意外だった。





「誤解されるのもこちらの意思ではないので、しっかりと伝えておきますと、トーヤ様がこの国にいる、というだけで発生する'抑止力'が我々は欲しいのです」







 ……ぶっちゃけたなぁ。

 まさかここまで本心を表すとは……いや、本心じゃないからか?

 まぁいい。つまりは俺に核兵器になれということだろう。




「もちろん、国防での戦闘に関してはトーヤ様の任意となります。貴族としての王族からの招集や命令に対しては二枚目の用紙にありますよう、拒否する権限もございますので。ですが、戦闘へ参加してくださった暁にはそれ相応の報酬を用意することは確約いたします」







 そして最後にという風に一言。

 ここまでは圧倒的に俺有利の条件で交渉が進んでいる。

 正直、今の状態で受けないという理由も特に見当たらないだろう。





 だが、俺たちには、まだ確認すべき、大切な点が1つあった。






「用意できると言った俺たちの家は?」




「もちろん、トーヤ様がお好みの場所を選べるように複数用意しております。北方にある有名な避暑地、西方の豊かな自然、南方の海に接したリゾート地、東方の温泉街。国内でも有数の……」




「今、温泉って言ったか?」






 レイシルの言葉を区切る。

 並べられる言葉の中、この言葉だけは逃すことが出来なかった。





「え、はい。東方にあるツェルスト山脈の麓に温泉と呼ばれる暖かい湯が湧き出る場所があります」





 その言葉を聞いて歓喜する。

 俺は日本人だ。今までこの世界ではシャワーしかなく、温泉という言葉はかなり魅力的だった。

そうなれば、することは1つだった。







「行こう!温泉へ!」





 様子が変わった俺の姿に周りが少し唖然とする中、俺は高らかと宣言するのであった。

作者、実は温泉好きでして、結構色んなところ行ってたりするんです。もちろんリナのような美少女と……すいません妄想です毎回1人です(泣)


7月11日、少し変更を加えました。

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