偶然
「………」
「そんなのありかよ……」
俺とリナは2人、絶句していた。
襲撃から一夜がすぎた。
ツインテは特に外傷も無く、精神面もいたって安定してるらしい。
無事ツインテを救い出し、城に連れて帰った時の領主がややこしかったこと以外は、目立った弊害も無く、今回の騒動は終結した……はずだった。
「この家…住めるの?」
「住めるだろうけど……住みたくはないな」
目の前にあるのは念願のマイホーム。
結局その日も遅くなり、ホテルに泊まって明日改めて……ということになった今日の日。
話に聞いた通りのかなり大きな屋敷に広大な庭。粉々に破壊された玄関に穴だらけの部屋、終いには黒い服の死体に周りを囲む兵士の存在という、最悪な状態のマイホームがそこにあった。
すばり言ってしまうと、昨日ツインテが連れ去られた場所が自宅になる場所であった。ということである。
………偶然にも程があるだろう。
起こってしまった奇跡を呪いつつ、呆然と2人立ち尽くす。
「えっと……どう言えばいいのかのぅ……トーヤ殿。こうなってしまっては、この家、どうするのじゃ?」
そんな俺たちに話しにくそうに領主が聞いてくる。
……どうするって言われたってなぁ。
「リナはどうしたい?」
「私は……とりあえずこの家には住もうと思えない…かな」
そりゃそうだ。
壊れた外装もそうだけど、自分の殺した相手の死に場所を自宅にできるほど無神経でもない。
ならばこの家を取り壊してい新しく作り直す……となると、何年かかるかわからない。
別に完成まで旅をする、ということにしても良いのだが、それもそれで、せっかく手に入れたものをお預けにされた気分で嫌になってしまう。
……さて、どうしたものか。
「ならば、王都に来てはどうでしょう?トーヤ様に最高のご自宅をご用意する準備は出来ております」
そう悩んでいる時、声が聞こえた。
領主でもガリアでも無い、聞きなれない声。
そんな声に視線を向けると、そこにいたのは青年。
眼鏡をかけてキリッとした顔立ちで、身を包む服は軍服。胸元に光るのは勲章だろうか?とりあえずは軍人の中でも高官であるのは簡単にわかった。
「えっと……あなたは?」
「……!あなたが何故ここに!?」
俺の質問と同時に領主が驚く。
周りが皆一様にして驚いてるのを見るに、結構有名な人なんだろうか?
そう考えていると、青年が爽やかな笑みを浮かべて自己紹介をした。
「初めまして、英雄トーヤ殿。私は帝国軍情報局長官、レイシル・シェフィールド。以後お見知り置きを」
話を切りの良いところで句切ろうとしたら短くなってしまうのです。
読者さんはもっと1ページを長くした方が良いですかね?
意見によっては1話の内容を詰める方針も検討しますので、バンバン意見しちゃってください。