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いつかお姫様と  作者: 清水 秋葉
6/10

解錠

-あわい-


女との監禁生活が始まった

同時に大学は活動が止まった

春休みになるのだろうか

始まるのも曖昧ならば、終わるのも曖昧だ

いつの間にか二年になる、三年になる

四年になったと気づいた頃には卒業している

そもそも、大学生に連休というのは

あってないものだろう

自由にサボることが出来て

自由に時間割を組むことが出来る

大学を遊びの場だと思っている輩はそれを

自主休講という

最もらしいことを言って休むが

ただのサボりだ

脳みそがたれ流れているかの如く

愚かな行いである

遊ぶために大学へお金を貢ぐ

おおかた、自分で学費は払っていない輩だろう

もしかしたら、生活費すら未だに親から助けてもらっている

そんな輩だろう

僕は自立しようと心がけているため

親からの援助は受けていない

一切ない訳では無い、仕送りはある

しかし一度も手をつけていない

できる限りは自分でするのだ

それが僕の格好つけ方だ


女はというと

親からの援助はなく

バイトと奨学金で過ごしているらしい

日本の奨学金制度なんて、聞こえの良い借金だ

あんなのは善人ヅラした闇金業者だ

本人達は罪の意識すらないだろう

それどころか、優越感に浸っているのだろう

むかつく、が話が逸れるので置いておく

女が僕の家に来てからは

家にいる以外、お互い自由に生活していた

一緒にどこかに行くわけでもない

部屋を貸しただけ、食事を作ってくれるだけの関係だ

僕は少しの寂しさに負け

夜は女と寝ることにしている

女を隣に、腕枕をして寝る

それ以外は何も無い、必要ない


僕らはお互いを干渉しないことが暗黙のルールとなっていた

授業が終わっても、研究室はあるみたいで

女は大学へいく

自転車で5分、歩いて15分

途中の坂道は自転車を下りなければママチャリにはキツい

女は自転車を持っていないので歩いていく

いつも同じ時間に行き、同じ時間に帰る

まるで門限を決めたかのように帰ってくる

そして必ず、買い物袋を手に下げている

僕の至福の時間が訪れる合図だ

それを知ってか知らぬか

女は必ず聞いてくる

「今日の晩御飯はなんだと思う?」

他愛もない、親子との会話と似てる

僕はそのやりとりでも心が落ち着く

そうか、寂しかったのか

僕は一人暮らしが寂しかったのかと

このやりとりが行われる度に痛感し、悲観する

女でなくてもいいのではないかと

女は言う、「私が良かったんだと思うよ」と

理由は知らないが、女は自信満々に言うのだ

僕は料理に惚れていたはずだ

しかし今は、女に惚れている

何故だろう、心を自在に弄ばれているかのごとく

僕の心は変化していく

暫くこの平穏な日常は続き

ちっぽけな自分ではなくなったと感じ始めたある日

僕は提案をしてみた

初めて、自分から女にお願いをした


「一緒に買い物に行ってくれないか」

日常のひとこまを書いてみました

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