第12話「虐めに対する防衛後編」
いじめはどんな理由があろうと許されない。
こころ語録炸裂!
誰もいない体育館裏、
呼び出された都葉沙は女子達に囲まれていた。
「あの変な男つけたからっていい気にならないでよ」
「いい加減マサから離れなさいよ!」
「はっきり言ってお似合いじゃないのよ!」
罵声を浴びる都葉沙、
言いたい放題の女子達は手を出してきた。
「バシッ!!」
平手でたたく。
「痛い〜?痛いよね?マサ君諦めたら許すよ?」
「どうすんのよ?」
「私は・・」
拳を握り力を込めて、都葉沙は自分の思いを言った。
「私は!なんと言われ様と!マサが好き!殴られても!蹴られても!好きな気持ちは消えないあなた達に負けるような!そんな軽い思いじゃないのよ!!」
常に黙って、何も言い返さず、泣いていただけの都葉沙が、
力強く思いを述べた、真剣な思いで、女子達はあっけに取られつつ、
心に中に突っかかる何かを感じた。
「なによ、うっさいわよ!!」
一人の女生徒が拳で殴りかかる。
「よせ」
麗治が止めに入る。
「あ、あいつって」
「天才の沖田・・」
その後ろから将俊がやってきた。
「マサ!」
女子達が慌て始める。
「みんな、僕は、都葉沙が好きなんだ。悪いけど、全員を好きになる事はできない。だから、怒りたくなるのもわかるけど、都葉沙をもうこれ以上いじめないでくれ、お願いだ、僕ならいくら悪く言われてもいい、だから、もう、いじめないでくれ」
将俊は優しく言った。
女子達も顔をうつむき悩んでいる。
「でも、やっぱり辛いよ・・」
誰か一人が言った。
「そうよ!一人だけなのは分かるけど・・でも」
「私たちだって好きなのよ!!負けないくらい大好きなのよ!!」
「私たちの思いはどうなるの!これでお終いって言うの?」
将俊は困った顔をして、こんな自分を悔やんだ。
「ごめん・・」
そうとしか言わなかった。
「別れてよ!」
「一人だけって言わずみんなを好きになってよ!」
「そんなの本当の愛じゃない!!」
この修羅場で、こころは耐え切れず叫んだ。
「全員を好きになればいいなんて!そんな訳ないよ!!・・・確かに、確かに!!好きという思いがあって!でも!その恋が叶わないのは・・・苦しいよ・・分かるよ・・将俊先輩は、よく分かっているよ、でも!だからって!!将俊先輩と都葉沙先輩が別れて一人ではなくみんなを好きになるのは!間違っている!・・・思いは伝わっているんだよ、でも、どうする事も出来ないのは、わかっている筈だよ、第一!」
「他の幸せを壊して手に入れた幸せより、自分の力で手に入れた幸せのほうが、いいに決まってんじゃん、そうでしょ」
こころの言葉の後、女子達は泣いた。
そして都葉沙に泣きながら謝った。
もちろん都葉沙は許した。
屋上
「今回の依頼はキューピットの仕事だったんでしょうか?」
悠里は考えながら全員に訊いた。
「そ、それは・・・・どうでしょう?」
花鈴はあいまいに答える。
「まぁ、いいじゃないそこは」
茜がぶっきらぼうに言う。
「同意、大切なのはそこではなかろう」
はじめも頷いて言う。
「ま、お前は満足だろ?こころ」
麗治がこころに訊く。
「はい!」
こころは元気に答えた。
さて、次の依頼もがんばるか。
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この場を借りて礼を申そう。byはじめ