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「というわけで、ハル様とエドワード様が参加されます」
「なんでそうなるんだよ!?」
食堂で一緒に祭りを回る皆に当日の話をするとトーマスが一番に声を上げた。
年の割りに常識人なトーマスは納得いかないようだ。まだまだ少年なんだからやんちゃすればいいのに。
「まさか番様とエドワード様が一緒なんてねぇ」
「あたい、敬語ちゃんと使える気がしないんだが大丈夫かね?」
「エドワード様はお優しい方だから大丈夫じゃね?」
「ていうか、この流れなら飲食タダの可能性ありでは?」
「そりゃいいな!」
おっと、そこに気づいたか。
もちろんハル様に良いところを見せたいエドワード様は支払いをしてくれることだろう。
「そんで、エドワード様のことはなんて呼べばいいんだ?護衛になるんだろう?」
皆の反応に少々納得いかなげではあるが、こればかりは仕方ないと覚悟を決めたのかトーマスが聞いてきた。
「エディさんです!平民出身の護衛騎士に変装するので「様」呼びは禁止ですよ」
「平民出身てことは、敬語は?」
「もちろん、無しです。あ、でもハル様には敬語使って下さいね?お忍びの貴族のお嬢様設定なので」
この設定はとてもいいと思う。
お忍びの貴族のお嬢様と平民出身の護衛騎士。
普通にその辺にいそうだ。
「護衛騎士てことは、番様と近くで行動するってことか。…これ、チャンスじゃね?」
料理人である男が何か閃いたようだ。
「ちゃんす?」
「ここで番様とエドワード様の距離を近づけさせるチャンスだよ!」
「えー、でもエドワード様変装するんでしょ?変に仲良くなっても後で正体バレたらやばくない?」
「いや、逆に盛り上がっていい所に落ち着くんじゃねぇか?どんな姿でも貴方が好きっ!て感じにさ」
「そんなわけないじゃーん!嘘つく男は最低だよ」
「うぐっ」
皆でわいわい話しながらこーでもない、あーでもないとエドワード様とハル様の仲を取り持とうと盛り上がる。
この屋敷には二人が無事にくっつくことを祈ってる使用人がいっぱいいる。
私としても、執事さんに隙あらば仲を取り持てと言われているので、職務上は皆の力を借りられるのは喜ばしいことだ。
でも、それよりも。
「ハル様が楽しんでくれたらいいなぁ」
ポツリと自分の言葉が零れ落ちた。
私の言葉を聞いたトーマスが安心しろという顔をする。
「祭りを楽しくないと思うヤツなんていないから大丈夫じゃね?」
私の話をいつも聞いてくれてるトーマスには私の考えはお見通しのようだ。
私は普通に、ハル様には「楽しかった」と思える思い出をいっぱい作って欲しい。
そういう思い出を重ねて素敵な女性になって欲しいのだ。
まだハル様には恋とかは早い気がする。
初恋の人と別れたばかりなのだから。
しかも、最悪な形で。
エドワード様が竜族だからか、あまりハル様に同情する人は少ない気がする。
政略結婚をした旦那を殺された悲劇より、竜族の番として選ばれた幸運を喜んでるのだ。
私にはその辺がちょっと理解できない。
私には皆の認識を変えるようなことは出来ないが、ハル様の選択肢が増えることを祈って、一緒に文字の勉強を頑張ろうと改めて思った。
知識は裏切らないからね。




