第1話 「プロローグ」
ーーパニック
日本人は大きな災害時でもパニックに陥らず冷静に尚且つ他人を思いやり行動するーーそんなのはウソだ。
周りでは泣き叫び、悲鳴をあげ、怒号を喚き散らしながら我先にと他人を押しのけ、その場から脱出しようとしている。
紛う事無きパニックだ。
ーどうしてこうなった?、それを語るには恐らく30分前より以前の事を振り返らなくてはいけない。
何故30分前より以前と云う曖昧な云い方なのか?、それは単純な話で、記憶に無いと云うより気を失っていたからだ。
気を失う前は確か昼間、時間は午前11時半ぐらいだったと思う。
それは事故だった、後にすれば故障とも言える、原因は判らない、、、、でもそれを見た瞬間、自身にとって非常に不味い事だけは判った。
何せ、自分の乗っている飛行機の右翼側から濛々と黒い煙が上がっているからだ。
異変に気付いたのは周りより遅いかったと思う、僕はヘッドホンで音楽を聴きながら寝ていたからだ。
周りが何か騒がしく、五月蠅いなぁと思いながらも、尚且つそれでも無視をしていると、横の席に居たクラスメイト前田慎吾が僕を揺すってくる。
「〇△☆◆☓■!」
、、、、何?
必死な形相で僕を起こしてくる前田にイラっとしつつも、シートに沈み込んでいた上体を起こし彼が指差す方向を見た瞬間体が固まった。
、、、、え?
正にそれはに空白、頭が空っぽになった。
意味が判らない、何で?え?故障?火災?マジで?イヤ、、、、え?何が起こってんの?
思わず耳を塞いでいたヘッドホンを外しても尚、その窓から見える景色から目が離せない。
どれくらいの時間が過ぎたのだろうか?、時間にして2~3秒ごぐらいかも知れない、頭の中ががパニックになりつつも、窓から見える異常事態に目を奪われたまま放心していると、ポーンと云う気の抜けた様な音が鳴り、機内アナウンスが流れた。
「乗客の皆様に緊急連絡をお伝えします、現在当機OFー22便は左翼側第一エンジン故障に依る火災が発生しました。航行続行に支障の恐れがある為、お急ぎのところ真に申し訳御座いませんがーーー」と、機長による依る緊急アナウンスの放送中、ドンッ!!と音が鳴った瞬間、機体が急激に傾いたと同時に宇宙空間に叩き込まれたかの様な浮遊状態に陥る。
ーーうわっ!?っと思った瞬間、僕が最後に目にしたものは、あらゆる物体や人間が無差別に宙に舞う、異常空間だった。
僕、吾川流一は、私立明梟中学校に依るオーストラリアへの修学旅行の道中、エンジンの故障に依り墜落した。
そして、それは終わりでは無く始まりの序章に過ぎなかった。




