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プロローグ
雷鳴が、黒雲を裂いた。
静まり返った黒曜石の間。
重厚な扉は開かれ、勇者が一歩、また一歩と歩み寄る。
床を打つ足音だけが、広い空間に響いていた。
勇者の眼差しの先には1人の男が立っていた。
漆黒の衣を纏い、王冠にも似た二本の角。
永い時を生きた者だけが宿す、静かな眼差し。
男はゆっくりと顔を上げた。
勇者を見つめるその瞳には、怒りも、憎しみもない。
ただ、どこか懐かしむような優しさだけがあった。
勇者は剣を構えた。
「魔王――!」
その名を呼ぶ声が、黒曜石の間に響き渡った。
魔王は静かに剣を振り上げた。
そして、小さく息を吐いた。
「……これで、終わりだ」
———その姿は、闇か光か——




