第26話 幕間 SS ミリアさまの宝石箱
「アンナ、ちょっとこっちにいらっしゃい。」
部屋の掃除が終わったところで、ミリアさまに呼ばれた。またお菓子が貰えるのかな、とワクワクする。掃除道具を片付けて向かう。
「はい、ミリアさま。お待たせいたしました。」
ミリアさまは、テーブルに置いた綺麗な箱を開けながら、わたしをみる。
未だにまっすぐ見つめられると、顔が熱くなって、赤くなっちゃう。
「これ、見てごらんなさい。」
それは、ミリアさまが着ける装飾品が入った宝石箱だった。
名前はわからないけど、赤、青、緑、白、色んな色の透き通った石が金や銀で飾られている。
窓から差し込む光を受けて、複雑な輝きで彩られていた。
「わぁ……!とても、キレイ、です…。」
こんなにキレイな世界は初めて見た。
ずっと見ていたい。
すると、ミリアさまは、赤い石がついたネックレスを手に取り、わたしの胸に当てた。
「んー、ルビーは少しちがうわね…。」
え?どういうことなの?
「サファイア…、んー、アンナにはもっと色味が薄い方が似合いそうだけど、アクアマリンは持ってないのよねぇ。」
え?え?わたしに似合うもの?
わたしは人形のように固まってしまった。
「ねぇ、アンナ?あなたはどれが好み?」
好みも何も、宝石なんて見るのもはじめて。どれがいいかなんか、考えたことない。
「あ、あの…ミリアさま。それは、どういうことで…」
ミリアはいたずらっ子みたいな顔をした。
「もうすぐ10歳の誕生日ってきいたわよ?私からのお祝い、ね。」
とんでもない言葉にわたしは驚いて、言葉を紡ぐ。
「ああああ、あの、そんな、わたしには、ももも、もったいないですぅ!」
そんなわたしの様子にミリアさまが弾けたように笑う。笑い声も優しい。
「あはははは!いいのよアンナ。さあ、選んで?」
なんとしても選ばせたいみたいだ。
「あ、あのそれなら…」
そういって、わたしはミリアさまが今つけている髪留めをおずおずと指差す。普段使いしてるものなら、そこまででもないだろう。
「ん?これ?んー、使い心地がいいから、気に入ってたんだけどな…。うん、いいわよ。誕生日がきたらちゃんと綺麗につつんであげるわね。楽しみにしてらして?」
そう言って、ミリアさまは微笑んだ。
明日、ミリアさまは、教会でなにか大変なことをするらしい。
帰ってきたら、せいいっぱい、労おう。
また、この笑顔をみたいから。




