表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/24

第16話 我儘の代償

立ち登った火柱の圧力と熱の勢いに、ミリアは半ば吹き飛ばされ、尻もちをついた。

熱風が髪を乱し、肌を焼く。


「…ようも、ここまで…。派手にやったものよ」

手品師は感心半分、驚き半分の声色で言う。


それなりの時間火柱は立ち上っていたと思っていたが、尻もちをついたとこで魔術が切れたのか、実際には一瞬のことだったらしい。

周囲の人々は、それぞれお気に入りの芸人に喝采し、こちらを何も気にしていない。


「ありがとう、なんとか…間に合ったわ…。」

この手品師がいつまでこの街にいるのかは知らない。最初に会ったときに数日といっていたから、明日にはいないかも知れなかった。

自由に動ける時間を作ったかいがあった。


「ねぇ…、手品師さん。今さらだけど、どうして、魔術、教えてくれたの?何の関係もない、小娘に」


「勘当されるから教えてって言いに来た令嬢の言葉ではないな、ふぉっふぉっ」

愉快そうに肩を揺らして笑う。そして、後悔してるような、他の誰かに語りかけるような口調で続ける。

「儂の身勝手な想い、じゃよ。何もできない自分の、悲しみと、…贖罪かの…」


この手品師の過去に何かあったのだろうか、急に重くなった声に、ミリアは口を閉ざした。


「魔術の基礎は、もうわかったじゃろ。これからは、ひたすら、世の理を見据えることじゃ。

……お前の、お迎えがきたようじゃ。自分の道をゆけ」


ミリアは後ろをみる。そこには、ハンスと使用人達がいる。傍らには、頬を赤くしたアンナが泣きじゃくっていた。


「ねぇ、手品師さん。お菓子、もらえる?」


ため息をついて、手品師が焼き菓子を差し出す。


「逃げ出したいわけじゃないのよ」

それを受け取り、アンナの元へ歩いていった。


「お嬢様、こんな所で何をなさっているのですか?屋敷に戻っていただきます」

ハンスは不機嫌さを隠さない。それもそうか、出し抜かれた形なのだ。


ハンスを無視して、アンナを抱きかかえる。

「アンナは私に命じられただけです。これ以上の罰は許しません。」

ハンスを睨みつける。


一瞬怯んだハンスだったが、見下すような目でミリアを見る。

「ここまでして、やりたかったのが、大道芸の観覧ですか。高尚なことですね。」


カチンとくる言い様だ。だが最低限の目的は達したのだ。悔しくとも何ともない。

「あら、多分、これからの貴族には必要なことよ?」


「アンナ、ありがとう、あなたのおかげよ、何もかも。」

赤くなった頬をなで、手にお菓子をもたせる。

「もう、取られちゃ駄目よ」

アンナの目から涙が溢れた。


「お嬢様には、旦那様の決定が下るまで、自室から出ることは許されません。部屋の外に監視をつけさせていただきます。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ