表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/15

第11話 休息は甘味とともに

隣の女の子の歩調に合わせて歩く…

いや、強がってない、断じて!

私は私のペースで歩いている。アンナが早いのだ、お菓子を貰って浮かれているんだ。そのうちバテるから、私がペースを制限しているのだ。行きは置き去りにされそうになって、ベソかいていたのだから。


「ミリアさま、だいじょうぶですか?お疲れなら、少しやすみましょう。」


アンナに気遣われてしまった。泣きそう。


手品師のところで、魔力が何であるのかを身に叩き込まれた反動か、全身に倦怠感がつきまとっている。

筋力と魔力は別のはずだが、一向に言うことを聞かない。足を前に出す度に、腕を振る度に痛みを伴って、軋むような音を立てているようにも感じる。

今まで魔力で体を動かしていたに違いない。

まだ、正午くらいだというのに、とてつもなくお腹が空いてきた。

そういえば、ここには食べ物があるではないか。


「アンナ…。貰ったお菓子、何か一つくれない?何でもいいから……」


「は、はい!……」

アンナは手に持っているお菓子を吟味し始める。どれならあげても惜しくないかを選んでいるのか、真剣な表情だ。


「これ……どうぞ、ミリアさま」

アンナが差し出したのは、メレンゲクッキー3個だった。

あまりお腹にたまらない気がしたが、今この場では、食べ物を持っている者が一番偉い。アンナ様が下げ渡してくれたのだ、ありがたくいただこう。


貴族令嬢としては、はしたないと思うが、空腹には勝てない。立ったままクッキーを口にする。

口に入れると、サクっと音を立て、軽い歯ざわりと共に、溶けるように染み込んでいく。

ほのかな甘みが優しい。

心なしか、疲労感が和らいでいく。

とりとめもない思考が整理され、足取りも少し軽くなる。

疲れた時には甘味が一番ね。

そう呟き、家に向かって足を進めた。

アンナは慌てて、早足でミリアを追いかけた。


フレアベット邸では、使用人達が駆け回っていた。どうやら、ミリアが家を抜け出したことがバレたらしい。

ミリアとアンナは何食わぬ顔で、裏口から入り、手入れがされ、今まさに咲き誇っている花壇を眺めている風を装った。


「ミリア様!」

ハンスが駆け寄ってきた。だいぶ探し回ったのだろう。息が上がっている。

「どこに…おいででした…か?」

ちょっと悪いことしたかな?と思いつつも、神妙な態度で誤魔化す。

「気分を落ち着けるために、お花を見て回っていただけよ…。ちょっと…、疲れたから、部屋で休むわね…」


そう告げて、その場を離れ自室に向かった。

怪訝な顔のハンスを残して。


屋敷に入ると、どうしたのかと聞いてくるメイドたちを誤魔化して、階段を登る。地味にきつい。


自室に入った瞬間

「もう限界…」

慌てるアンナを尻目に、ベッドに倒れるように飛び込んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ