いつかが来るのは突然だった
第1章 irregular
【2008年現代】
「うおっ、」
ベットから落ちて起床した青年は中肉中背で比較的平均的な体格をしている。顔立ちは整っているが幼さを残しており、いかにも高校生という感じだ。
彼の名前は神門治16歳で高校1年生だ。
「あいたたた」
頭を床にぶつけたのでガンガンする痛みを感じた。
枕元にあるスマホを見ると8時を回っていた。
「やばい遅刻だ」
夏休みも近く、暑さがむさ苦しく感じるがそんなことは言ってられない。テーブルの上にあるパンを咥えてギャグ漫画のように朝ごはんを食べる。
玄関を見ると、妹の久実はもう中学校に行ってしまったらしく靴がなかった。
広大な敷地と多くの研究施設を持つ国立東原学園は主に『執行者』と呼ばれる人材を育成している。
ことの始まりは第二次世界大戦、世界各国は兵器の1種として強化人間を競って研究した。
それはある生物学者が発見した細胞から始まり、名を進化細胞と言った。それは適合した個体の身体能力を高めそれぞれ特異な能力を持たせた。
しかし、突然持った能力を使いこなせる生物などほとんどいなかった。──人間を除いては
そして、すぐにそれは世界各国に知れ渡り、兵器として研究されるようになっていった。
戦争が終結し日本は敗戦国となったと同時に研究によって能力を発現した者はまとめられ、彼らの街が作られた。
政府は彼らの人権を保障して彼らだけの組織<善の執行者>を作り上げた。
<善の執行者>は時代が進むにつれて一般に公務員のような立場になっていった。
特異な能力を活かせる仕事はまとめられ、例えば治安維持は<善の執行者>の中の警察部門という風に細分化されていった。。
そして、<善の執行者>に所属する人を総じて『執行者』と呼んだ。
だが、一方では能力を悪用する組織が存在していた。
学校のチャイムの音が聞こえる。1回目のチャイムのはずだからまだ間に合う。と思う。
「ふうー、間に合ったぁー!」
教室に着いたのは8時39分だった。
「危なかったな」
後ろの席の友人『時芝信哉』がからかうように言った。
「余裕だって」
少し息切れしているが余裕そうに演出した。
「そういえば、今日はリヴェロンの訓練やるって。」
信哉が訓練と言って我に返った。だったら来なくても良かったと後悔した。
ホームルームが始まった。金森先生は背が低いので黒板を使う時は大変そうだがかわいいのでみんな見守っている。
黒板に『リヴェロン訓練』と書かれた。
「今日は、夏休み間近ですがリヴェロンの訓練をします。場所は第1戦闘施設です。みんな大変だと思うけど頑張って下さい♪」
普通ならブーイングが出るところだが金森先生だから許せる。チャイムが鳴ると先生はホームルームを終わらせて教室を出て行った。
ホームルームが終わったと同時にみんな移動を始めた。
「第1か遠いなあ・・・」
『はあ』とため息をつくもすぐに移動をどうするかで悩んだ。走るのもありだがかなりきつい。
(信哉に頼もうかな)
そう思った矢先クラスのリーダー格である桜井桜がやって来た
「リヴェロンも使えないのに訓練に来るつもり?邪魔だから使えるようになってから出直したら?」
「そうよ」
目立つようにわざとらしく大きな声で言ってきた。
取り巻きの同調も相まってさらに目立っている。
冷たい視線を感じる。
それも当然だ。
この学園では執行者を育成するため、リヴェロンを使える人間がほとんどだ。
唯一使えない自分を除いては。
『リヴェロン』とはかつて進化細胞に適合した先祖が使うことが出来た能力の事でその血を受け継いだ子孫も使うことが出来る。
一定の年齢で、進化細胞を覚醒させた者は通常の人間の5倍の身体能力を一時的に発揮させられる。
それ以外にも通常戦闘では手のひらで刀を形成させる。
これは抜刀と言い、それ以外にも個人で扱えるようになる能力があるが『リヴェロン』はこの能力のことを指す。
抜刀や、能力は危険なため私有地や学校などの限られた場所を除いて使用の禁止が定められている。
ちなみに、信哉曰く「抜刀は腕の血を絞り出すみたいで慣れない」らしい。
それを聞いて俺も出来るか試したが血は出ても刀にはならなかった──手に傷をつけて血を出しただけなのだけど。
この学園はさっき述べた能力を使える人が大半で、逆に使えないのは俺だけとなっている。
とりあえず無視をした。
取り巻きが授業に遅れるのを気にしたのか授業に行こうと桜井に促した。
桜井はそれに同調したようだった。
「ふんっ。せいぜい頑張りなさい」
そう言うと長い黒髪をなびかせて去っていった。
あの態度は憎らしいが美人だ。
毒さえなければ完璧なのだが。
「どうせ行くならおぶってこうか?」
後ろから信哉の誘いが聞こえた。
さっきのやりとりはスルーだ。
「えっ、いいのか?」
「どうせ身体強化できないんじゃ授業に間に合わんだろ?」
信哉に深い礼をした。俺に付き合ってくれる人は少ないから頼もしい存在なのだ。
信哉の背中で施設へ向かう。風を切る音が聞こえてくる。凄まじい速さだ。振り落とされそうで怖い。
目を閉じていたので、気づいたら到着していた。
どうやら第1戦闘施設が訓練場なのは教室から遠いが故にウォーミングアップも兼ねているらしい。
だが、自分に取ってはただの長距離ランだ。
第1戦闘施設はコロシアムみたいな風貌で、某世界遺産のようだった。
場所は知っていたが初めて来る。
入口前にみんな集まっていた。
リヴェロンの授業担当の華奢なクレア先生とは違い、なにやらいかつい先生が立っているが知らない先生だった。
「誰だろう?」
「俺もあんないかつい人初めて見た。」
準備運動をしていたはずの信哉がいつの間にか近くにいた。
少しのざわめきを破るように大きな咳払いが聞こえた。
「おーし、お前ら揃ったな。今日はいつもお前らを担当しているクレア先生が本国に招集されたから代わりにっ」
「ちょっと待って下さい本国に招集ってどういうことですか?」
クラスでも優秀な東叶月美が質問をした。
挙手の仕方がまっすぐで綺麗だった。
「アメリカで執行者が招集されたらしい。それ以上は知らないし、そもそも俺はここの教員じゃないからな。それに、個人的なことは聞くもんじゃないぞ。」
軽く注意をした。
「それ以外でなにかあるか?」
「いえ、もうありません。すいません話を遮ってしまって。」
東は小さく頭を下げた。
「では改めて、私は<善の執行者>反執行者排斥部門斥候部隊隊長多田羅堅二だ。今日は一日訓練だができる限りサポートさせてもらう。」
多田羅がそう言った矢先再びざわつき出した。
「斥候部隊隊長だって!なんでそんな大物がここに?」
「多田羅ってあの柔硬質能力の一族の?」
「今日はついてるーー!」
様々な声が聞こえるなか桜井の周りだけが異様な雰囲気に包まれていた。
「ねえ、治くん。」
右側から声が聞こえた。
振り向くと短い髪の可憐な少女がいた。
胡桃坂木葉だ。
落ちこぼれの自分に接してくれる数少ない友人だ。
幼なじみでもある。
「もし良かったら私の訓練手伝ってくれない?」
少し間が空いた。
「ごめんね。治くんの訓練の邪魔になるよね。」
こちらを気遣って誘いを自分で諦めてしまった。
ふと胡桃坂の手元にアタッシュケースが見えた。
「いいよ。俺でよければ。それに俺って訓練するにも筋トレくらいしかないし。」
自分で言って悲しくなるが、本当のことなのでこれくらいしないと存在意義を感じない気がして困る。
「信哉ゴメンな俺こっち手伝うよ」
「ああ、わかったよ。そもそも役に立ったことほぼないもんな。」
「それを言わんでくれ!」
信哉の言う通りなのが悔しいがしょうがないと割り切った。
「今回は午前中に抜刀と剣技の訓練、午後はリヴェロンの訓練を行う・・・・・」
関係ないからいつものように聞き流すことにした。説明はもううんざりだ。
「さて、入る前に左の入口が女子右が男子だ。入ると着替える場所があるから各自着替えるように。」
はーいとみんなで返事をしたあとにすぐに扉へ向かった。
胡桃坂にはまた後でと手を振っておいた。
施設の中は荒野をイメージしているかのように薄いおうど色の地面が広がっていた。
自分の戦闘服は全身を包むタイプだが、通気性がよく、柔軟性もある。
だが、自身のリヴェロンによってカスタマイズをする人がほとんどだ。
既に訓練用の荷物を持った者もおり場違い感が凄かったが胡桃坂のおかげで気が楽になる。
「では訓練開始!」
「それじゃ行こっか」
胡桃坂はまず抜刀した。
彼女の刀は白く美しい刀で印象的だ。
通常、刀の色は初めての抜刀時でも黒が混じって灰色になるがどうも彼女は違うらしい。
刀は当人の練度によって黒が濃くなるのだが、彼女のはずっと白いのでコンプレックスを感じている。
それに、彼女は刀が白い理由を知らないらしいのでこちらも深く聞くことはなかった。
だが、今は基礎訓練らしいのでサポートも出来ず暇である。
とりあえず寝転がり空を見た。
澄んだ青空が目に映ると眠くなってきた。時折吹く風が心地いい────
「ん?」
どうやら寝てしまったらしい。
空はまだ明るいがお腹が空いているということは昼くらいか?
そう考えていると刀同士がぶつかっている音が聞こえてきた。みんな訓練しているのが分かる。
「ねえ治くん、お昼も近いし・・一緒に食べない?」
寝起きなので目が開きにくい。
「ん、じゃあ信哉も呼ぼっか」
「うん。」
信哉は訓練に夢中なようで声がかけづらかった、というより近づけなかった。
が、こっちに気付くとすぐにOKをくれた。
「なあ信哉、抜刀のスピード上がったか?」
「いいや、全然」
剣技の練習で、地面から出ているホログラム使った練習は実体がないからやりにくいと愚痴をつぶやいている。
「けど技術だけは上がったはず。あの先生に稽古つけてもらったからな。けど傷1つ付けられんかったわー」
悔しそうな顔をしている信哉を見ているだけで俺も出来たらと思ってしまう。
進化細胞の覚醒及びリヴェロンの発現は8歳の間に起こるが、あきらめていないので筋トレを行っていつかに備えている。
「胡桃坂はどう?」
信哉が質問した。
「私は抜刀の感覚が苦手でそれしかしてないよ。やっぱりみんなみたいに早く出来ない。私って向いてないのかな…」
彼女は落ち込んでいるらしく俯いている。
「まだ時間はたっぷりあるから大丈夫だって」
「うん。ありがとう。」
3人で会話を挟みつつ昼ご飯を食べる。
朝急いでいて忘れてしまったので胡桃坂から貰うことにした。
胡桃坂の弁当はサンドイッチだった。
信哉はガッツリ肉食の弁当だった。
茶色が多くて目立つ。
午後の訓練が始まった。
午後はそれぞれが持つ固有のリヴェロンを用いる訓練をしている。
火が出たり地面がえぐれたりして物騒だ。
胡桃坂はまず、白い翼を広げた。
彼女のリヴェロンは翼、通常は黒や灰色の翼なのだがこちらもなぜか白い。
刀もそうだが彼女は白に愛されている。
その美しさからか、ファンクラブもあるそうだが当人は知るよしもない。
「治くんよろしくね。」
「任せといて!」
練習の手伝いといっても再び剣技の練習である。
午前中との違いは胡桃坂が翼を出したままにしている点だ。
翼は『作り出しているもの』なのでそれを維持するのが目的で、それに加えても模擬戦をするのが十八番なのだ。
だが、こっちは剣技の練習以前に身体強化なしで相手をするので恐怖でしかない。
女の子に力で負けるのは悔しいが、やるなら全力でやると決め腹をくくった。
「うおおおおおおおおお!」
胡桃坂は休憩している。
翼は出したままだ。
こちらは見事にボロボロになった。
胡桃坂は容赦なく攻撃してきた。
何度も走馬灯を見た気がする。
それに、模擬中の記憶が曖昧なのが怖い。
突如歓声が中央付近から聞こえた。
桜井と多田羅が模擬戦をしている。
「はあぁぁぁ!」
桜井が右下から切り上げた。
鋭いコンビネーションで多田羅に攻撃している。
流れるような剣さばきは壮観だ。
桜井の大振りを見逃さなかった多田羅は切っ先がスレスレで当たらないように後ろに下がり避けると同時にすかさず振り下ろした。
「くっっ」
桜井は振り下ろした刀をすかさず頭上に戻し受け止めた。
だが、多田羅の力の方が強く体制を崩した。
多田羅は間髪入れず再び振り下ろし、桜井の刀をたたき落とした。
「降参です。」
喉元に切っ先を突きつけられた桜井は諦めたように両手を上げた。
「いい勝負だったが腕力が足りていない。技術だけでなく力の源、筋肉を鍛えることも忘れずにな。」
「ご助言感謝します。」
桜井は息が切れて大きく呼吸している。
が、刀を拾い上げ再び構えた。
「もう1戦・・よろしい・・ですか?」
息切れしながらも再戦を要求している。闘志が疲れに勝っているようだ。
「いや、もう疲れているだろう。その荒い呼吸がなによりの証拠だ。もう休みなさい。無理をすると進化細胞のダメージで動けなくなるぞ。」
多田羅は桜井の心配をした。
多田羅にそう言われると桜井は素直に言葉を受け取り呼吸を整えた。
「模擬戦を引き受けて下さりありがとうございました。」
桜井はお辞儀をした。
多田羅も同様にお辞儀をした。
2人の刀が朽ちていく。
「桜井さん凄かったね」
胡桃坂が言った。
「ああ、天才はやっぱり違うな。」
現役の隊長を相手にしてあそこまで実力を発揮できるのはまさしく天才だ。
普通の生徒ならまず相手にされないだろう。
模擬戦が終了してから授業は自由解散となった。
リヴェロンに関わる授業はいつもこんな感じだ。
帰りは歩いて帰った。あの2人は研究部で用があるらしく先に帰ると言って行ってしまった。
振り返ってみたがもう誰も残っていなかった。
第1戦闘施設は校舎裏の森を抜けた先にあるので再び通らなければならない。校舎まで1キロはありそうだ。
突然、突風が吹いた。思わず風が吹いた方向と逆の方を向いた。
「ん?」
向いた方向に道らしきものが見えた。
いや、正確にはけもの道のようだがよく見るとコンクリートのようだ。地面の色に近づけて見つからないようにしてるように見える。
妙な冒険心が沸いた。
「ちょっと行ってみるか」
注意深く見ないと分からないが確かに道が続いている。まるで意図的に隠すような・・・
100メートルは進んだだろうか。急にひらけた場所に出た。
直径は10メートル程、中央にはガラス張りドームがキラキラと光っていた。
中に入ろうと思ったがドアノブは無い。扉らしき部分はあるのだが。
「もしかしてこれか?」
扉の横に手のひらを置くような部分があった。とりあえず手を置いてみる。
手から何かが吸われるような感じがした。
『リヴェロンの認証完了しました。扉を開きます。』
「へ?」
扉が右にスライドした。
次の瞬間、思わず目を疑った。
沢山の刀が飾ってある。
そのほぼ全てが黒刀だった。
リヴェロンで作られたものだろうか。
しかし、もしそうであるならあり得ない。
なぜなら作り出した刀は作り主が手を離せば数分で朽ちてしまうからだ。
また、任意でも消滅させることができる。
だが、それよりも気になるのは一つだけある白い刀だった。
「胡桃坂と同じ刀だ。」
手を伸ばして刀に触ろうとした。
「誰だい?君は?」
突然後ろから声が聞こえたので反射的に振り返った。
すると、長い髪と美しい顔が目に映った。背丈は俺より少し低いくらいだ。
何故か抜刀している。
「場合によっては容赦しないよ?」
やや迫力のある声で刀を向けてきた。
「ちょ、ちょっと待ってください!ここに来たのは偶然で、いや確かに入ろうとしたけどなんか四角い所に手を当てたら入れて」
「リヴェ認証が通ったのかい?そんなことは無いはずなんだけどな。ここに入れるのは私と理事長だけでリヴェロンの認証設定も2人のに設定してるから。」
彼女は刀を消滅させた。
「もしかしたら壊れてたのかもね。」
扉の横を見ながら言った。
「あの」
「ところでその刀が気になるかい?」
彼女は刀を指さした。何故か嬉しそうな顔をしていた。
「ええ。どうしてこの刀がここに?」
「ん?君はこの刀を知っているのかい?」
「いえ、幼なじみが抜刀するとこの刀と同じ色になるので。」
「へえ、それは面白いね。あの人と同じなんて。」
「それはどういう・・」
その先を聞こうとしたが辞めた。何か考え始めたからだ。
「ああ、すまない。自己紹介がまだだったね。私の名前は近衛椿、東原学園2年でこの刀研究部の部長だ。」
突然の事で驚いたが、ここが研究部室ということで刀が沢山あることに納得した。
「ここって部室だったんですね。」
改めて部室を見渡してみた。
そう考えると気にしてなかった真ん中の机もある理由が分かった。
さらに奥には小さな黒板もあるのが見えた。
「じゃあこの刀はニセモノなんですね。」
「いいやこれは本物だよ。私の時間固定能力で作ってもらった刀の時間を止めているのさ。」
彼女は得意げに言った。
「そうだね、例えばこれは先日卒業した鮫島虎二先輩の刀さ。」
入口前すぐ近くの刀を手に取って見せた。
「鮫島先輩ってあの守衛部隊に入隊した人ですか?」
「その通り。見事な黒刀だろう?」
確かに見事な黒刀だ。刀の黒さは強さを示すとされている。黒刀はその中でも最高位に位置するのだ。
だが、黒刀が作れる=最強という訳では無い。
「見とれているとこ悪いけどしまっていいかな?」
「ああ、すいません…」
「ちなみに君は何年かな?1年?」
「はい、そうです。1年の神門治と言います。」
「神門くんね。よろしく。もし良かったら私の部に入らない?」
突然の申し出に一瞬戸惑ったがどの部にも門前払いされて来たので光栄な話だった。
「俺、リヴェロンが使えなくて・・・それに進化細胞も覚醒してないら抜刀も出来ないんです。それでもいいんですか?」
「ん?ああ、もちろん!そんなことは関係ないさ。それに、実はこの部は私しかいないんだ。」
後半は少し笑いながら言っていた。
「え?」
「実は私は実技がからきしでね。特に剣技が苦手なんだ。だけど刀が好きで自分のリヴェロンも相まってこんな部を作っちゃったんだ。」
いきなりぶっちゃけられて正直困惑してしまったが、彼女は楽しそうに言っていた。
本当に刀が好きなのだろう。
「それじゃあ、お世話になります!」
「こちらこそよろしく。」
先輩は刀のメンテナンスをするために来たらしくまた明日来るように言われた。
来た道を再び戻る。多少遠いがそんなことはどうでもよかった。
なぜなら今日、新しく自分を受け入れてくれる人に出会えたのだ。こんなに嬉しいことは久しぶりだった。
けどこの時は気づかなかった。
もう1人森に人がいることに。




