14話ー会談②
アロンに30分かけて話終えた後、俺は紅茶を飲んで喉を潤した。そのあと、アロンに異常はないかと言われたが、特に何も起きなかったので、何もないと言った。
「そうかではお前は真実を言ったのか。」
「え、そうだけどなんで?」
「うむ、わしの『真実』は、相手が嘘を言えばその嘘に見合った罰が下される。例えば、花瓶を割って親に怒られた時に「やっていない」と嘘をついた程度では少し腹が痛くなるくらいじゃが、人を殺しておいて「やっていない」と言えば、かなりの頭痛がするだろう。まあ罰はその時によって違うからなんとも言えんが、お主が今言ったこととなれば尋常じゃないほどの罰が下るじゃうな。」
「俺が今言ったこと。父さんが死んだとか?」
「そうだ。お主からすればそれで済むかもしれんが、わしらからやこの世界すればかなりおおごとだからの。」
なんか便利なスキルだな。このスキルがあれば地球に警察いらないな。でも今の俺は全属性が使える。その気になれば「真実」も使えるかもな。今度教えてもらおう。
「そういえばユリウス、お主は異世界から来たと言っておったな。確かロマノフのところにも異世界人はおってよな。」
「ああ、レスとウォントが確か地球人だとか言っていたな。」
「マジで!?そっかー。じゃあ今度会ってみよ。」
そうして話はひと段落つき、2人は何か話していた。その間なくなった俺は煎茶風味の紅茶を作った。時間が経ってちょうどいい感じにできて、コップに入れていると、アロンが質問して来た。
「そういえばお主の父はヴェルハザードと言ったな。じゃあ、母は誰なんだ?ヴェルハザードの相手となるとちょっとやそっとのやつはできんぞ。」
「ん?ああ、そういえば言ってなかったね。母さんはマリンだよ。」
「マリン…。まさかコマ・マリンか!?」
「そうだけど知ってるの?」
「知ってるも何もマリンは我がイグリス王国の英雄だった人物だぞ。体が弱いから緊急時以外は戦わんかったがかなりのもんじゃった。しかし、あの森の調査に行く時どうしても行きたいと言って来たから、連れて行ったんじゃが、それ以来帰ってこなくなって、てっきり死んだのかと思ったわ。しかしマリンがのう。ありえなくはないがのう。」
「え、なんで?」
「イグリス王国は一部の魔物なら入国を許可しておる。それを行った中心人物がマリンだ。マリンは魔物とも平等に接し、徐々に国民も受け入れた。」
へー、母さんがねえ。意外だねえ。強かったんだねえ。
あ、そうだ。ここに来た目的を忘れてた。
「話は変わるけど、昔、人魔対戦があったんだよね。そのこと詳しく聞きたいんだけど。」
「ん?人魔大戦か、人魔大戦は1000年以上前に人類と魔王軍が戦ったことだ。しかし、人類は魔王軍の幹部でさえ苦戦して、その間に魔王が人類を滅ぼして行った。何もなくなったが、幸い全滅はしていなくてなんとかここまで待ち直した。そんなとこだ。なぜそんなことを聞きたがる?」
「実はね父さんが言うには人類が負けたのは当たり前だって。」
俺が今の言葉を発した瞬間、2人の雰囲気が変わった。
「詳しく聞こうか。」
「うん。父さんが言うには人類と魔物が協力して戦えば勝てたかもって。」
「協力して戦う、だと?」
「そう、人間と魔物はもともと持っている身体能力が違う。平均すると2倍は違う。比率でいえばここで1:2。ただ人類は全員が戦えるわけではない。戦えるのはスキルを持ったものと兵だけ。それに比べて魔物は常に周りと土地や食料のことで争っている。だから圧倒的に戦えるものは魔物の方が多い。ここで1:4くらい。そこに俺が加わる。自分で言うのもなんだけど、多分魔物全員でかかってもおれは勝つ。あんた達がここで俺を敵としたら、1:8以上。おれが中立の立場になっても1:4。単純に計算しただけでも魔物は人類の3、4倍の力を持っている。」
「確かにな、言われてみればそうだ。」
「んー、お主、国を作る気はあるか?」
「国?いきなり何?」
「お主が1人にして一国の王になるのだ。どうだ?」
「おい、アロン。どういう事だ?」
「考えてもみろ。こいつは1人で余裕で人類に勝つ。魔物もな。しかも国として扱えば『永遠の約束』が使えるのだぞ?」
アロンが言った瞬間顔をしかめ始めた。かなり考えている。
しかし「永遠の約束」ってなんだ?なんかロマンチックだけど。聞いてみると、
「『永遠の約束』とは国同士の条約の時にのみ使うことが許される秘術だ。その術で約束したことを破れば約束したやつは死ぬ。」
おお、おっかないな。
国同士か。たしかに俺を一国の国王とすればその「永遠の約束」?で、我が国に絶対に攻めてこないとかいう条約を交わせば自国に攻めてくることはまずない。攻めたら死ぬからね。
でも、国王にするにしても問題は国が俺1人だということだ。おそらく交わした条約は国民に知らせなければならないだろう。国民が俺しかいない。しかも魔物。これを国民が認めるわけがない。だからといって隠しても隠し通せる保証がない。バレた時には国王としての品格が損なわれる。
さあ、どうする。
「どうだ。わしのところはもともと魔物がおるから、一応隠すが、バレてもそんなに問題は無いと思う。じゃからわしは条約を交わすぞ。」
「んー。私のは、んー。」
アロンは即決のようだ。しかしロマノフはかなり悩んでいる。やっぱり気にしているのか。
「ロマノフ、お主もわかっておるじゃろう。ユリウスを敵に回すよりも絶対に戦わない関係、あわよくば、共に戦ってくれる関係になれば、絶対と言っていいほど、ここの国の安否は保証されるぞ。」
「んー、わかっている。わかってはいるけど。」
ロマノフは俺を見た。その顔はかなり悩んでいた。俺はそれに、大丈夫という気持ちを込めた表情をした。
「はー、仕方ない。わかった、条約を結ぼう。」
「いいの?国民にバレたらやばいんじゃない?」
「貴様が気にすことではない。そのことに関しては私がなんとかする。」
そうして晴れて一気に2つの条約を結ぶことになった。こんなにいい出だしはないだろう。




