第23話 結合、協会に入る
「うわーっすごい!」
監視室のガラスの向こうは工場だった。そこでは何体もの自立歩行戦闘機F135通称『アースセイバー』が今も次々に組み立てられている。これは自衛隊の正式採用機であり、六ッ菱重工の主力商品でもある。こういった兵器・武器を国内外に製造販売しているのが六ッ菱重工なのである。
メカステファニーとの決戦の次の日の日曜日。私と姫子、そして睦子さまとるるりんは京葉工業地域の六ッ菱重工の施設群、その地下にある兵器工場の監視室に居た。
そしてこの監視室は仮の姿、「協会」の六ッ菱支部であるというのだ。
「『協会』はその名の通りいくつもの団体が協力する事で成り立っている。その団体の一つに六ッ菱も名を連ねているのさ」
振り返るとそこには金髪で真っ黒なサングラスをかけたスーツの女性が立っていた。
「失礼。君が結合くんだね?私のことはそう…『M』と呼んでくれたまえ」
Mねえ…。さっき睦子さまが母さんって呼んでるの聞いちゃったんだよなあ。というかニュースでもよく見る顔だからバレバレだよ…。この人の正体は六ッ菱重工の代表取締役社長、六ッ菱美々子さん。MはマザーのMか美々子のMか。
「今日呼んだのは他でもない。姫子くんの定期メンテナンス、それから結合くん、君の所属を明らかにするためだ」
「所属?」
「そう。聞いての通り今まで協会は君の事を君に気付かれないよう守ってきた。機関も手を出しあぐねていた。だが君が覚醒し、戦禍に巻き込まれるようなになった今!君を今までのように野放しにしておくわけにはいかなくなった」
「はあ…」
「そこで、結合君。今日から君は六ッ菱の傘下に入ってもらう。何故ならそれが一番都合がいいからだ」
言ってる事はわからないではないが、いきなりすぎて何と返事したらいいのかわからない。誰かに相談した方がいいのだろうか。そうだ、ばあば。協会の有力者だという話のばあばに一度相談して…
「結合、これは決定事項。ばあばにも許可は貰ってある。ちなみに私の所属も六ッ菱。定期的にメンテナンスして貰ってる」
私の横で話を聞いていた姫子が言った。どうも逃げられないらしい。優柔不断な私はいつかこうやって怪しい壷やら絵画やらを買わされてしまうのだろうか。
「ま、悪いようにはしないから。むしろ支援が受けれてラッキー!くらいに思っときゃ大丈夫。ちなみにもちろん私もるるりんも六ッ菱所属よ。蛇苺は魔女ギルドだけど」
睦子さまがそう言って呵々と笑った。うーん、不安しかない。
「何か質問はあるかい?」
美々…Mが腕を組みながら言った。
「質問…というか疑問なんですが。こんなにロボットあるんならこれで戦ったらよくないですか?そもそもなんで警察も自衛隊も出てこないんです?」
「自衛隊は御国を守る仕事があるだろう?極端な話、機関と自衛隊が戦っている間に外国が攻めてきたらどうする?…とはいえ、だ。勿論自衛隊が出動せにゃあならん状況も無くはないよ。例えばこないだの学校での戦い。あれが長引いて、警察への通報が無視できないくらいになったら出動要請が出てたかもね」
「揉み消してるんですよ、色々と」
るるりんが私に耳打ちした。
「それにこのF135は自衛隊は勿論、海外でも使われている兵器だからね。安易に使ったら国際問題だよ。どこの国の所属だ!ってね」
「そんなもんですか…」
「そんなもんです」
Mは腕組みしたまま鼻を鳴らした。
「じゃあ睦子さまの徳川、あれは一体…」
と言いかけたところで壁に備え付けられていたパトランプがけたたましい音を立てて回りだした。私がビックリしていると、
「見せてあげるわ、その徳川の真価をね」
と、睦子さまが舌なめずりをした。
▲M
▲F135アースセイバー(正面)
▲F135アースセイバー(背面)
▲F135アースセイバー(陸自仕様)




