姫子死す!
姫子が幾度も砲撃を仕掛けるも、装甲に弾かれかすり傷ひとつ付かない。
ステファニーが触手を振るうと授与所が吹っ飛んだ。姫子に守られながらなんとか瓦礫を回避する。私も戦わなきゃ。でもどうやって?ここには蛇苺さまも居ないのに!
ステファニーの機械化された顔がぴくりと動き、その口を大きく開けた。
「来る。伏せて」
言うが否や、灼熱のレーザービームが飛んできた。外れたレーザーが本殿を破壊し炎を上げる。
「食らったらアウト」
「ひいい」
あんなのどうやって避けるんだ、と思っていたら、姫子がすっくと立ち上がって私を守るように両手を広げた。
「大丈夫。結合は私が守る」
ステファニーが咆哮する。またあのレーザーが来る!
「マックス…キャリバー!」
今までに聞いたこともない姫子の叫び声。それはステファニーの咆哮にも劣らない。姫子の体が光り輝き、体全体からエネルギーを放出する。そのエネルギーがステファニーのレーザービームと衝突した!
拮抗するエネルギーの奔流。姫子が出力を上げると姫子が纏っていた巫女装束は消滅し、肌が吹き飛び、マシンノイド本来の金属部品が露出した。押されまいとステファニーも出力を上げる。メカ部分が赤熱し、逆流したエネルギーが装甲の隙間から炎を上げる。新造したメカの触手が吹き飛んだ。それでも。ステファニーはレーザーを吐き続けた。拮抗していたエネルギーは押され、最大出力のレーザーが姫子に襲い掛かった。爆発する姫子。
「姫子ぉぉぉ!」
姫子が守ってくれたのだろう。私には傷一つ無かった。ごろんごろんと何かが転がってくる。それは姫子の頭だった。
「ごめん。負け…た…」
露出した金属部品の目。その光がだんだん弱くなっていく。死ぬな姫子!いや、死なせない!姫子の頭を抱きしめる。
『そこに愛はあるかい?』
脳裏にはまたあのフレーズ。あるさ。姫子とはずっと一緒に暮らしてきた。同じ家に住み、同じ食事をし、風呂も寝るときも一緒だった。
愛ならここにある!
───家族愛───。
姫子の頭を掲げて、それからキスをした。やっぱり人と同じでその唇は柔らかかった。
体に炎が走る。体の内部から湧き出るそれは着ていた服を燃やし、赤い衣を形作った。
溢れる炎をステファニーへ投げつける。ステファニーが慟哭したが、止めのダメージにはならなかった。
その時、燃える本殿でキラリと何かが光った。それはこの大郁子神社の御神体の剣。普段は目にする事もできない品だが、私と姫子は子供の頃に言いつけを破って見た事があった。
「来い!」
呼ぶと、その剣は本殿の屋根を突き破って飛んできた。長巻ほどに柄の長い七本の刀身を持つ剣。云われは知らない。だがその剣は私の手に吸い付くように馴染んだ。姫子の頭部をそっと地面に置き、剣を両手で握る。これならステファニーはおろか山一つ真っ二つにできそうな気がした。
▲結合 (アマテラスフォーム)
▲御神体




