第20話 Dr.モルタリアの奇襲!
「あんたかーい!」
寝言を叫んで起きた。えーと、何だっけ。寝惚けた頭で辺りを見回したが一緒に寝ていたはずの姫子の姿は無かった。時刻は午前8時を回ったところ。いつもなら遅刻だと騒ぐ時間だが今日は土曜だ。何の問題も無い。
自分の部屋を出て1階に降りたが、姫子もばあばも見当たらない。社務所を出て授与所(お守りとか売ってるところ)に回ると巫女装束に着替えた姫子が暇そうに座って店番?をしていた。学校が休みの日などはこうやって私や姫子が神社の手伝いをする事がある。土日だろうが祝日だろうが、この馬鹿みたいに長い石段を登ってまで場末の神社に来る人なんてそうそう居やしないのだが。
「おはよー。ばあばは?」
「おはよう。ばあばは協会の本部に行った」
協会の本部?本部があるんだこの団体。蛇苺さまの話だと機関と戦うための能力者集団だという話だったが、結構規模の大きい団体なんだろうか。しかしばあばがこんな朝から出かける協会の用事ってのは何だろう。
「例の二人…李とあまねの自白から機関の支部の一つの場所が判明した。今日行われる強襲作戦のメンバーにばあばが選ばれた」
「なんかわからんけど、もしかしてばあばって結構強い?」
「つよい」
姫子がこくりと頷いた。と、境内の石畳を歩くコツコツというブーツの音が響いた。参拝客だ。珍しい事もあるもんだ。しかもこんな朝早くに。おっといけない、私も着替えて姫子の手伝いをしよう…と振り向きかけたその時!姫子が授与所の窓口から飛び出した。轟音と共に切り離された姫子の左手が参拝客の顔面を強打した。1メートルほど吹っ飛んで地面に倒れる参拝客。
「なにすんだい!いきなり!」
参拝客、汚れた白衣の女性が頬に手を当てながら抗議の声を上げる。白みがかった顔、ぼさぼさの髪。眼鏡で目元はよく見えないが不健康そうな様子が見て取れた。
「姫子!どうしたの!?」
「こいつは敵。李とあまねの仲間。手配書が出てる。ドクター・モルタリア。あのでかい怪物を作った張本人」
姫子の右目からレーザーが出て空中に手配書の画像が投影される。なるほど同一人物だ。姫子が私を守るようにドクター・モルタリアとの間に入った。
「いやあ、今朝から研究所の周りがキナ臭くなってきてね。もうダメだと思って研究所を捨てて逃げてきたのさ…そしてプロトエンジン!最後にお前を解剖するためになあ!」
モルタリアが指笛を鳴らすと、地面が揺れ、石畳が隆起して割れ、土埃の中から例の巨大怪物ステファニーが再び現れた。前回、蛇苺さまの攻撃でやられた部位は機械に置き換えてあり、不気味に光を発している。学校のグラウンドみたいな広い場所ならともかく、こんな狭い場所で暴れられたら本殿も社務所も無事では済まないだろう。
「行け!メカステファニー!」
モルタリアの命令で、ステファニーがのしっ、っと歩みを一歩進めた。
「エックス・キャリバー!」
姫子の右手がキャノン砲に変形し光り輝くと、青白い粒子を纏った光線がステファニー目掛けて放たれた。が、その光線はステファニーの装甲に当たり、反射して空へと消えて行った。
「はっはっは!以前ならいざ知らず、今のステファニーに粒子砲など効かぬさ!」
ステファニーの後方で高笑いするモルタリア。
「結合、これはダメかもしれない」
ステファニーの方を向いたまま、姫子が呟いた。
そんなぁ。
▲ドクター・モルタリア




