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催眠術師の端っこ教室  作者: ぴあす


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第三話

その果実は数瞬浮遊し、瞬く間に膨張し破裂。張り裂けるような閃光を放ち師匠の目を眩ませた。フリーズには弱点がある。発動条件が対象を目に捉えることだ。一見簡単に思えるが、逆に言えば隠れてしまえば発動はできないということだ。濃霧を発動したタイミングで時間をかけ成長し身を一発打ち出す植物を生成する魔法「花火草<ファプア>」を事前に設置しておいたのだ。フレアは飛翔を解除。地面に着地し魔術を発動。「雷駆<ラッシュ>!」身体に雷光を纏い瞬時に師匠と距離を詰め接近戦に持ち込むことに成功した。まだ視界を奪われたままの師匠にフレアの得意魔術を最大出力で放った。「近接魔剣斬撃<リ・レルザス>!」蒼い両刃の大剣を杖に形成し師匠に向け振り払った。「惜しかったな」師匠の声が聞こえるとともにフレアの胸を黒い茨が貫いた。フレアは椅子から滑り落ちた。目が覚めたか、師匠の声が聞こえる。フレアは慌てて貫かれた箇所を触り風穴がないことを確認しほっと胸を撫で下ろした。「死なないことを言い忘れていたな。あそこでは死の概念はない死んだらここに戻る。だがあっちのが面白いだろ?手を抜いた戦いなんて児戯に等しいからな」ヘラヘラと師匠は言った。確かに面白かったのは事実だ。本気で戦ったのは初めてだし、自分の実力もまだまだ未熟だと理解できた。やはり魔法は面白い、フレアの顔から笑みが溢れた。楽しかったようだな?、そう言うと師匠はまた鼻歌を歌いながらチェス盤を片付けだした。「私も手伝います。あと‥どうでしたか私の魔術は。本気で対人をしたのは初めてで」落ちていたナイトを手渡し、師匠を見上げながら聞く。「まだまだ未熟だが、頭はいいようだな。花火草には驚かされたよ。君の実力なら、そこらの中級、いや下っ端の上級魔法使いならいい勝負ができるだろうな」なんだか素直に喜びにくい言い方だが師匠なりの褒め言葉なんだと思った。「あ、あと最後の‥‥」質問を言いかけたフレアの顔を光が照らした。朝日だ。大慌てで懐中時計を見ると時刻は6時10分。起床時刻数分前だ。「や、やば!帰ります!今日はありがとうございました!」借りた杖を机に置き急いでドアを開けようとドアノブに手をかけた。待て!、師匠がフレアを呼び止めた。なんだか照れくさそうにしている。フレアは焦りからその場で足踏みをしている。「....次はいつ来るんだ?」背を向けたまま師匠は言った。そんなことかとフレアは安心し今日です!と一言だけ言い急いで寮に戻った。道中歪んだ鎧がまだ蠢いており、片付けし忘れたことを思い出し血の気が引いた。しかし片付ける時間はない。重いドアを開き自分の寮に戻る。早起きの生徒たちはもうすでに朝の支度に取り掛かっていた。「おいフレア!足が笑ってんぞ!また鎧に追っかけられたのか?」友人のキーランだ。息を切らし返答する余裕もないフレアはぎこちない笑みを浮かべ、ランニングに行ったという分かりやすい嘘で誤魔化した。自室に戻り、寝間着から制服に着替え魔導書と朝食を持って教室に向かった。教室に向かう途中妙に視線を浴びたのは目のクマのせいだろう。授業中フレアは眠気との戦いに必死だった。授業の内容は呪術師の歴史についてだった。魔術師の道を外れ世に仇なす存在。フレアはどうでもいい話だと思い眠気に屈服した。最後尾だったため快適な眠りにつくことができた。「起きろフレア」机から立ち上がり飛び起きた。クラスメイトの視線がフレアに集中した。「大丈夫かフレア。急に立ち上がったりして」先生が心配そうにフレアに言う。くすくすと周りから笑い声が聞こえた。「ダイジョウブデス」顔を赤くしながらフレアは席についた。さっきの声は一体何だ。確実に聞こえた。恥ずかしさと不思議な気持ちでフレアは混乱した。おい、後ろから聞き覚えのあるのある声がした。ゆっくりと振り向くとそこには師匠が立っていた。え!?と大きな声を出しそうになったが師匠に口をふさがれた。「安心しろ。他のやつには見えてないさ。私がいることが普通だと思うように思考を書き換えてある。呪術師の授業で爆睡とはなんとも無知なやつだな。結構面白いぞ?」窓枠に腰掛け窓の外を眺めながら言った。「なんで来たんですか?夜まで待てなかったとか?」フレアの質問を師匠はすぐ否定した。「何!?違う!私が待てないだと?冗談も程々にするんだな」師匠はふん、とそっぽを向いてしまった。ではなぜですか?、フレアが聞くと師匠は指を鳴らし昨日借りた杖と魔導書を出した。「くれてやる。本当は朝渡すつもりだったがお前が大急ぎだったから渡せなかったんだ」師匠は外を向いたままだったが風に髪が揺れ隠れていた耳が見えた。その耳は赤く染まっている。授業は残り20分。することもないのでフレアはまた机に突っ伏した。「おい!せっかく私が来たっていうのに寝る気か!?」師匠はフレアをゆする。「構ってほしいんですね」ボソっとフレアが呟いたが師匠は気づいていなかった。「じゃあなんかお話でもしますか?」「いいだろう。お前がそう言うなら付き合ってやらんでもないぞ!」そこからの授業では終始師匠との会話に花を咲かせた。出身はどこか、友人の話、実に他愛もない話だ。師匠のことをすこし知ることができた気がする。夜になり皆が寝静まった。昨日と同じく魔物室を目指した。昨日と違うことそれは一人じゃないこと。

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