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第十六話「ドワーフの国バルティカン」

「それでトロールは協力してくれるの」


「ああ、こちらからお願いしよう」


 ガイラがそういう。


「ガイザも本当にいいのか?」


「無論、この程度の実力で魔王になりたいなどと夢想をした自らが恥ずかしい」


 そうかガイザは頭をかいた。


「こっちは魔法を使ったんだ。 それでもいいのか」


「それならば我々の再生力も同じこと、負けは負けです。 到底、魔人には叶わぬと理解した。 我らはあなたに降ります」


「左様、我らトロールはシンゴに従いましょう」


 そうガイザ、ガイラがいったとき、その肩に紋様が浮かび上がった。


「眷族になった。 それでトロールはこの場所からはなれても大丈夫なのか」


「はい、もともと不毛な土地ゆえ細々と暮らしております。 離れることはかまいませんが、我らが移動すれば目立つのかと。 せいぜい山を降りて浜につくのが精一杯」


「確かに大きいからめだつな。 島までつれていく方法か」


「それならば大丈夫です。 一度島まで戻りましょう」


 ギンチヨにいわれ一度もどることにした。


「ちいさな船だとトロールはのせらないぞ」


「大丈夫です。 それよりどうやってガイザを倒したのですか?」


「ああ、腕に魔力をゴムのように弾力をもたせて威力を落とし、足のしたにも弾力のある魔力をおいてバウンドした。 


「なるほど、それであの跳躍と威力ですか。 足でも魔力を作れるんですか?」


「ああ、体からなら作れるがわかった」


「すごいですね。 そんな大量の魔力をだせるなんて」


「いや、そこまで一度にはだせない。 個体や液体にかえられるなら気体にもできると思って、事前に周囲にまいていたんだ」


「そうか、なるほどそれを使ったんですね」


 ギンチヨは納得したようにうなづく。



「なるほど、こういうことか」


 島に止めてあった船でトロールたちをのせていた。


「ええ、船はオールでゴブリンたちに動かしてもらい。 海中をマーマンとドラゴニュートに先導、護衛してもらいます」


「これなら座礁や転覆はなさそうだ」


 ぼくたちはトロールたちをつれて島にかえった。

 

「これで防衛はなんとかなりましょう」


 ブラスはそう喜んだ。


「それに怪力のトロールたちに手伝ってもらえば、防衛施設や他の建設をかなり早められるはずですね」


 シャスタもそういった。


「うむ、少なくとも滅びは回避できそうですな」


 バルスーンはうなづいた。


「ああ、だが攻められないわけじゃない。 我らが加わったことで支配したとき、えられるリターンがおおい。 大きな勢力が動くかもしれん」


 ガイラ、ガイザがそういった。


「そうだな。 もしくは危険だと認識される可能性もある。 他にうてる手はあるかな」


「やはり、人材、装備でしょうか。 我らトロールは人間用の武器はなんとか使えても防具はつかえません」


「そのことなのですが、シンゴさま」


「なに? バルスーン」


「ここのことを知った亜人種族がここへの住居を求めています。 いかがいたしましょう」


「それはすぐに迎えてくれ。 でもこの場所がばれているということか」


「さすがに死霊島といわれて人も近づかぬ島に船の行き来があれば、めざといものは見つけますね」


「やはり早急に使える武具だけでも手に入れたいな」


「シンゴさま。 それならばドワーフに手伝ってもらえばどうでしょう?」


 ガイラがそういう。


「ドワーフ?」


「亜人種族ですが、人間に容姿が近く、器用で鍛冶を生業にしている種族です。 

彼らは自分たちの国をもち、人間とも交易をおこなっておるとのこと」


 ガイザがいうとシャスタが首をかしげる。


「しかし我ら亜人種族に協力するでしょうか? 彼らは人間には人種と認められており、我らとは少し距離がありますが......」


「まあ、いってみればわかるよ」


「すべてお任せしてもうしわけございません。 我らもお手伝いできればよいのですが......」


 悔しそうにブラスはいった。


「いや、ぼくとギンチヨでいい。 ここが心配だ。 みんなに任せたよ」


「はっ!!」


 

「ここがドワーフの国【バルティカン】か」


 大きな岩山をくりぬいた城壁都市がそこにあった。 かなり人の数が多く、店も多く立ち並ぶ。


「すごい繁栄してるな。 人間も大勢いる。 あの背の低い筋肉質の人がドワーフなのか」


「ええ、あれがドワーフです」


「さて、どうするか? いきなり王に会うなんてそう簡単じゃないよね」


「そうですね。 ですが、大魔王なき今その座を狙っている魔人たちが動いてることを伝えるならば、ある程度の地位のものには会えるのでは」


「なら城に直接いってみるか」


 城へと向かった。


 巨大な白亜の城が矛をもつドワーフの衛兵がたっていた。


「とまれ」 


「この城に何のようか」


「実は重要な話がある。 偉い人に会わせてほしい」


「......残念だが、それはできん」


「許可のないものを通すわけにはいかん」


「緊急を要する。 魔王についての話だ。 中に取り次いでもらいたい」


「それもできぬ」


「そなたの身分がわからぬ以上、城にはいれるわけにはいかん」


 とりつくしまもなく追い返された。


「やはり、無理か」


「魔法がありますからね。 城にいれてしまえば危険なことを知っているのでしょう」


「うーん、どうしよう」


「とりあえず、武具を作ってもらえる人を探しては」


「そうだな。 やれることをさきにやろう」


 ぼくたちは武具をえるため工房へとむかった。

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