第十七話「変わり者鍛冶師ワグナ」
工房がある区画にむかうと、鉄をうつ音が響き武器や防具を売る店が軒をつらねる。
「とりあえず、片っ端からきいてみよう」
「なんだその注文? そんなでかいの誰がつかう?」
「お前のような子供にそんな武具いるわけないだろ? 冷やかしなら帰んな」
「こっちは職人だ。 使い手もわからんのにつくれるわけないだろうが」
「そんな数、バカにするするつもりか!」
そう口々にいわれ拒否される。
「はぁ、無理だな。 売ってももらえない」
「ええ、つくってもらう要望も普通の人間用ではないですか、からかってるように思われたのかもしれません」
「かといって本当のこといって協力してくれるか?」
「亜人種族にといえば、こちらを魔人の手先だとおもうかもしれませんね。 やはり一軒から少しづつ普通の武具を買い取るしかないのでは」
「それもおもったが、多分すぐ他の店が怪しむ。 役人にでも告げ口されたらことだ」
「確かに......」
「お二人さん武具にお困りかい?」
そう声をかけられた。
奥にある古い工房の前にドワーフがいた。
「どうやら、他で断られたようだな。 なんなら俺っちが、作ってやろうか」
「作ってくれるのか!」
「ああ、おれっちはワグナ。 あっ、やべ! じゃあ夜に酒場にきてくんな!」
そういうと走り去っていった。
「ワグナのやろうどこいきやがった!」
ワグナがさったあと、人相の悪い男たちが店をのぞいて、舌打ちすると去っていった。
「なんだ?」
「でも作ってくれるようですね」
「ああ、夜に酒場にいこう」
「おいおい、あんたらワグナに武具を作らせるつもりかい?」
そう前の店のドワーフがあきれたようにいった。
「ダメなのか」
「あいつはろくなもんをつくられねえぞ」
「腕がわるいのか」
「そうじゃねえが、普通のものが作りたくないんだとよ」
「普通のものを作りたくない?」
「......あいつの祖父がドワーフ一の名工だったからだよ」
もう一人のドワーフの老人がいう。
「ドワーフの名工......」
「ああ、そのじいさんにならび称されたいがため、普通の武器を作らず、つくったもんは売れやしないから借金だらけさ。 頼むんなら普通の武器をつくらせな」
そうあきれたようにいった。
「どうしましょうシンゴ?」
「普通のものをつくりたくない...... か。 ぼくらは普通のものでは使えないが、ただ変なものをつくられてもな」
「ではやめましょうか」
「ただ、他のドワーフたちは作ってもくれない。 しかたない、一応話してみよう」
ぼくたちは夜、酒場に向かった。
「おうダンナ、こっちだ」
酒場の奥にワグナがいて手招きしている。
「それでおれっちに作らせてくれるのかい?」
「そのために一度きてもらうことになるけど」
「工房はここだぞ。 炉や金床だってある。 いくったってどこに?」
「いやがった!」
「やべっ!!」
男たちが店にはいってきて逃げようとするワグナを捕まえた。
「まってくれ」
「あん? なんだてめえは」
「借金だろ。 ぼくたちが払う」
そういって金のはいった袋を見せた。
「ほう」
「助かったダンナ恩に着る!」
「まず、ぼくたちについてくるかどうかだ。 こないなら渡せない」
「ええ!??」
「ワグナどうすんだ。 金がねえなら、てめえは一生鍛冶屋の下働きだ」
男たちは凄んだ。
「わかった! わかったよ! ついていく!」
「そうか、じゃあこれを」
男たちに袋を渡すと、男は袋の中身を確認してうなづく。
「よし! ちゃんとあるな。 いいぜそいつをもっていきな」
「ただどうせ使いもんにゃならねえけどよ」
「俺たちもいい武具作らせるために金を貸したが、ごみみてえなもんしかつくりやがらねえ」
そう男たちは口々にいいながら、店をでていった。
「ふう、助かったぜ......」
「じゃあ行こうか」
「さっきもいったがそこにゃ炉があるんだろうな」
「ない。 がワグナなら作れるだろ?」
「ねえのかよ! まあ素材がありゃ作れなくはねえが......」
「早速、道具を工房からもってきてくれ、馬車を回す」
ぼくたちは馬車でワグナの工房から、道具を運んだ。
「それでどこまでいくんだ? かなりはしったけど、もう朝だ」
「ああ、港にむかう」
港までつくと、船に乗り島をめざした。
「おい...... ここって死霊島じゃないのか」
「知ってたのか。 そうだよ」
「ふざけんなよ! バケモンの島だぞ! こんなところで鍛冶なんてできるか
!」
「もうアンデットはいないよ。 倒したからね」
「倒した...... あんた子供のくせしてあんな大金もってるといい、なにもんだ」
怪訝そうに水をのみながらワグナはこちらをみている。
「さあついた」
「おかえりなさいませ」
「ぶおっ!」
亜人種族が迎えにきたのをみてワグナは吹き出した。
「なんだ!? ゴブリン、ドラゴニュート、マーマン、トロールか! なんだここは亜人種族の島!! まさかお前、魔人かよ!」
逃げだそうとするワグナをギンチヨは捕まえ浜に下ろした。




