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Staff Hero ― 支える勇者 ―  作者: 和泉發仙


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『旅路の章 ― 砂と風の短編集 ―』 ゴブリン防衛戦その4 “赤月の夜、時をかける者”

【前書き】


ゴブリンキングが姿を現した。

右斜面・中央・左防衛線がすべて崩壊寸前。

ジージーたちFランク、セルグレン、リゲロ、

そしてギルドのBランク《風切り》一行すら瀕死。


だが、真の脅威は――

キングの“奥”にいた。


ここからが最終決戦。


■ 1. 右斜面 ― 崩れかけた防衛線


ゴブリンの咆哮が、山肌に反響する。


右斜面の防衛線はすでに崩壊寸前だった。

D級の若手3名は盾を構えたまま膝をつき、

C級の弓手フェリクスは腕を裂かれ、

リーダー格の Bランク・ラウロ も肩口から血を流していた。


「ラウロさん、下がってください!!」


ジージーが叫び、棍を振る。


──カンッ!


棍の打ち上げでホブゴブリンの手斧を逸らす。

すかさずセルグレンがその隙に短剣を持つ腕をはじき飛ばした。


「押すな!ジージー、息を合わせる!」


「了解!」


だが敵の数があまりにも多い。

“風切り隊”は完全に押し込まれていた。


ラウロが奥歯を噛む。


「……ここまでか……!」


その瞬間、背後から声がした。


「まだ終わらすのは早ぇだろ、兄ちゃん」


リゲロが巨体のホブに飛び掛かり、

肩にかけた斧で渾身の一撃を叩き込む。


「ここは抜かせねぇ!」


「リゲロさん!!」


これで防衛線は一瞬だけ、息を吹き返した。


だが――


山の奥から、異様な気配が走る。


「……来るぞ」


セルグレンが低く呟いた。


■ 2. ゴブリンキング、顕現


樹々をなぎ倒し、

“それ” が姿を現した。


通常の3倍近い巨体。

角のような骨が頭蓋から飛び出し、

全身に黒鉄の鎧をまとっている。


ゴブリンキング。


背後の群れが一斉に吠えた。


「……っ、化け物じゃねぇか!」


「全員、構え直せ!!」


ラウロが叫ぶより早く、

キングが巨大な棍棒を振り下ろした。


ドッ!!


盾が粉砕され、衝撃で地面が陥没する。


ジージーは吹き飛ばされる仲間を必死に支えた。


(まずい……この威力……!)


C級では押し返せない。

Bランクのラウロでも分が悪い。


「ジージー!行くな!」


セルグレンの声が飛ぶ。

しかしジージーは一歩前へ踏み出した。


(あの時と……同じ……

 誰かが止めなきゃ……誰かが死ぬ)


棍を握り直す。


「止まれ!!!」


ジージーが地を蹴った。


──棍術・初段《拍入れ》。


棍を斜めに当て、キングの棍棒の軌道を半分だけずらす。


ガガッ!


衝撃が腕を焼くように走る。


だが、仲間の頭上からその一撃をそらせた。


「ナイスだ、ガキ!!」


ラウロが吠え、再び前へ出た。


■ 3. 総力戦 ― “風切り”たちの反撃


Bランク・ラウロ

C級弓手フェリクス

C級槍兵ローレン

D級の若手たち

そしてジージー・セルグレン・リゲロ。


全員が一列に並ぶ。


「行くぞ……一気に叩き込め!!」


矢が飛び、

槍が突き上がり、

リゲロの斧が唸り、

ラウロが斬り込む。


ジージーは棍でホブをはじき飛ばし、

セルグレンがその隙に喉元を切り裂いた。


(いける……!押してる……!)


一瞬だけ、風が味方した。


だが――


キングの咆哮が空を震わせた。


次の瞬間、黒い魔力が噴き出した。


「魔力?ゴブリンが……?!」


ラウロが驚愕する暇もなく、

黒炎が広がり、仲間の盾ごと吹き飛ばした。


一撃でD級の二名が意識を失う。


「なんて力……!」


ジージーが歯を食いしばる。


爆発の中心に立つキングは、

その背後に“別の影”を従えていた。


それは――人型。


しかし黒い全身鎧に身を包み、

紅い眼光を放つ。


「……やはり来ていたか」


セルグレンが、小さく唸った。


■ 4. 暗黒魔法騎士、降臨


黒鎧の男がゆっくりと前へ出る。


「愉快だな。

 人間ごときが、よくぞここまで持ちこたえた」


声は氷のように冷たい。


「誰だ、お前……!」


ラウロが叫ぶと、

男は剣を抜いた。


黒い炎が刃を包む。


「名乗る価値もないが……

 人間の言葉で呼ぶなら“暗黒魔法騎士”とでも言っておけ」


地面が黒く焦げ、

腐った匂いが広がる。


「ゴブリンキングは我々が与えた玩具。

 本命は――この町の防衛だ。

 滅ぼしておけと命じられている」


「ふざけんな……!」


ジージーが前へ出るが、


「退がれ!ジージー!!」


セルグレンが怒鳴った。


その瞬間、暗黒騎士が消えた。


次の瞬間――ラウロの剣が砕け散った。


「ぐっ……!!」


ラウロが崩れ、仲間全員が絶句する。


(速い……!)


その場の全員が確信した。


勝ち目がない。


圧倒的な力の前に、戦意が揺らぐ。


暗黒騎士の剣が、ジージーへ向けられた。


「小娘。お前から殺す」


ジージーは震える膝を押さえ、構えを取る。


(……怖い……でも)


(止めないと……!)


黒い刃が振り下ろされる。


――その瞬間。


時間が、止まった。


■ 5. 車椅子の音


静寂が訪れる。


風も、木の葉も、敵の動きも止まり――

ただ、小さな“車輪の音”だけが響いた。


キ……キ……


そして、光が弾ける。


「時、止まれ」


少女の声。


枯れ葉の舞う中、

一人の少女が現れた。


銀髪。

膝に毛布。

優しげな瞳。

そして、神々しい光を帯びた古い車椅子。


「な……?」


暗黒騎士がわずかに目を見開く。


少女は静かに、微笑んだ。


「間に合ってよかった。

 あなたたち、よく頑張ったわ」


ジージーが呆然とつぶやく。


「だ……誰?」


少女は車椅子を押しながら、

ふわりと浮くように前へ進む。


時の粒子がきらめく。


「私の名は――」


少女は指先を鳴らした。


時間が一気に流れ出す。


暗黒騎士の黒炎が散り、

キングの巨体が仰け反る。


世界が再生し、奔流が押し寄せる。


「セシリア・ワレンシュタイン。

 “時をかける勇者”よ」


雷鳴のような衝撃がフィールド全体を覆った。


暗黒魔法騎士が呻き、

初めて後退した。


「ば、バカな……!!

 何者だ貴様は!!」


セシリアは優しく言う。


「時空を超えて来たの。

 あの人を守りるためにね」


ジージーは、その言葉の意味を理解できなかった。


ただ…彼女からどこか懐かしいような?…何か不思議な感じがした…


セシリアは車椅子のブレーキに手を添え、

静かに宣言する。


「この戦い――ここで終わらせる」


時が揺れ、

光があふれた。


【後書き】


・ゴブリンキング決戦(総力戦)

・暗黒魔法騎士(黒幕登場)

・全員満身創痍

・そしてセシリア(時をかける勇者)乱入


という流れで、

今章の“超絶クライマックス”を圧縮でまとめました。


次からはこの事件の“後日談”として、

•治療シーン

•仲間たちとの関係強化

•セシリアの謎

•街の復興

•冒険者ランクアップ


————-となります。

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