そしてアタシは帰路につく
河原さんはセンセーお手製の『オムライス』をがっついて食べている。
その食べっぷりはまさに豪快! の一言。
王子様ががつがつと食べているさまは、なんと言うか――圧巻?だ。
あのあと河原さんは急にセンセーの方に振り向いたかと思うと、
両肩をがしっと捕まえて「腹減った」と一言。
センセーはやれやれ、といった感じで「ちょっと待ってろ」と台所からふわふわオムライスを持ってきた。
――センセーったら、おかわり有るとは言ってたけど、すでにつくってあったとは!
脱帽でございます。
「ふぅ~ 食べた食べた」
河原さんは紅茶を一口で飲み込むと、満足そうにおなかをさする。
……嗚呼。
何もしなければ『王子様』なのに。
行動が、言動が、実に残念なわけで。
でも、それでもついつい目が離せないってのは、やっぱり美形オーラのせいなのかな?
その時、アタシのケータイが鳴った。
ピンクのケータイを開けると、Eメール1件と表示されてる。
嫌な予感がして見てみると、アツムからのメールで、
『ごめん
予想より時間が掛かりそうだ。
今日は無理だと思うので、帰ったほうがいい。
夜、連絡する』
な、な、なーーーーっ!!
なにそれ。なにそれ。なにそれ~!
せっかくどきどきして、オクションまで来て、
変なオバサンに色々言われて、なぜかセンセーに助けられて、
……ご飯まで食べさせてもらっちゃたけど、
それもこれも全部アツムに会いたいからなのにぃ~~!!
アタシはがっかり、がっくり、ぐったりして、センセーの家のテーブルに突っ伏した。
「咲ちゃん? 」
そんなアタシを河原さんが呼ぶ。
「あ、あはは……」
アタシは力なく笑うと、センセーと河原さんに挨拶をする。
「用事が――用事がドタキャンになっちゃったんで、アタシ、帰ります。
あの、センセー。
さっきは助けてくださってありがとうございました……
オムライス。すごくおいしかったです」
ぺこりと頭を下げたアタシにセンセーは「気をつけて帰れよ? 」と気を使ってくれ、
河原さんは「もっと咲ちゃんと話したかったなあ」と残念そうに言ってくれた。
アタシは、仕方なく。
仕方なく、家に帰ることにした。
朝に見た見知らぬ風景は、あんなにもきらきらと輝いて見えていたのに、
帰りの景色は、何処となくくすんでいて、アタシは思わずため息をつく。
――アツムの……ばか……。




