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第6話 錬金術師のお仕事その2

 祖母と朝食を取り終わったので、テテノが片付けを終わらせ工房に入ると祖母が、錬金組合からの依頼を見ていた。


「う~ん。私の時代とはかなり変わったけど良い依頼を選んで来たじゃないか」


「それ。職員さんが選んでくれたヤツだね。今、組合は人が多いから貼り付けてある掲示板も人が多くて……」


「なるほどね~いい職員じゃないか。でもね、毎回とは言わないけど、貼り付けられた依頼を見るのも一つの勉強だからできるだけ見ておく様にしときな」


「そうなの?」


「そうだよ。依頼を書くのは依頼者だからそれだけで色んな情報があるからね。慣れてくればどんな人か分かったりもするよ。ゴタゴタも避けたりもできるからね」


「そっそうなんだ……できるだけ見るようにしておこう」


「まぁ私を筆頭に錬金術師って変な奴も多いからね。近寄らないのも全然ありだけど」


「他の錬金術師とあまり関わりがある方じゃないけど、普通だと思うけどね」


「普通だったら娘に借金押し付けて男と逃げないよ」


 そう言われては何も言い返せないのでテテノは苦笑いをしながら仕事の準備をしようとするとテーブルの上には依頼品の材料が全て準備してあった。


「お婆ちゃん材料を出してくれたの?」


「テテノの仕事に口を出すつもりは無いけど手伝える範囲で手伝ってあげるよ。あんたがSクラスの錬金術師になるまでは鍛えてあげるよ」


「がっ頑張る」


 祖母が材料を出してくれてあったがもう一度、依頼の品とその材料が合っている事を確認しテテノは錬金術に取りかかった。


「見られていると妙に緊張が……」


「口出しはしないつもりだからいつも通りにやんな。仕事してる最中にあーだこーだ言われても鬱陶しいだろ?」


「お母さんには仕事以外の事は色々言われた記憶が……」


「……ほんとに何処で育て方間違ったんだろ……」


 祖母の視線は気になったがそれで失敗していては話にならないのでテテノは気持ちを切り替えて、ハイポーションや魔力回復薬などの薬を手際よく作り始めた。


 祖母も言っていた様にテテノの作業には口を出さずに真剣な眼差しで見続ける。


 それから雑談をしながらもテキパキと作業を進めたのでお昼には薬剤関係の錬金は終わった。


「確かテテノはCクラスの錬金術師だったよね?」


「うん。そうだけど……何か間違ってた?」


「いや、Cにしてはかなり手際がいいね。Bクラス辺りの錬金までは私がとやかく言う事はないかもね」


「えっ?そうかな?作るの遅くない?もっと早く作りたいんだけど……」


「私の時代のCとかBと比べたら十分に早いと思うけどね……早く作って粗悪品を出したら意味ないし今みたいに丁寧に作りながら自分で早くする方法を考えな」


「はーい」と返事をし、続けて冷風箱の制作を始めようとした所で祖母から待ったがかかる。


「私、……お腹減ってない」


「テテノが減って無くても私が減ってるんだよ。昼食にするよ」


 祖母が昼食を作り出したのでテテノは制作を中断し、手を洗ってからテーブルの上を拭いたり食器を出したりした。


 それから二人で昼食を取りながら錬金術の事や今日作った物で悪かった所などを話し食事を楽しんだ。




 昼食を食べ終わり少し休憩してからテテノは冷風箱と冷蔵ボックスの制作を始めた。


「まだまだ暑いから冷風箱かー……この依頼を見なくなったら温風箱の時期に……冷蔵ボックスは年柄年中使えるし商人さんが使うのかな」


「テテノ……誰と話しているんだい?」


「え?独り言……」


 テテノが錬金を始めた時からの癖で母親からも特に何も言われなかったので錬金を始める前は今の様によく独り言を言っている。


(色指定がないから何でもいいのかな?後で塗ったりするんだろうから両方とも無難に薄い灰色にしておこう。こういうのって指定された方が楽でいいよね……)


 薬剤関係が置いてある棚と別に涼しい風が出る冷風箱や食材を冷やしながら運べる冷蔵ボックスの様な生活品は別のアイテムボックスの中に魔石や材料を仕舞ってあった。


 そのアイテムボックスから外装に使う木版や氷の魔石や風の魔石を必要数ほど取り出してからテーブルの上に並べた。


 そして冷風箱の方がすこし簡単なのでそちらから制作にかかった。


 何でもかんでも錬金釜にぶち込んで魔力を流せばできあがりと言うような事は無く、テテノが呪文を唱えると両手がうっすらと青く光り始めた。


 その状態のまま木板に触ると木が水を吸い上げる様に木板にテテノの魔力が流れていった。


 魔力が木板に流れ渡ると非力なテテノでも簡単に形を成形できた。長四角になる様に木板を曲げていき、つなぎ目に根張り樹液を塗り結合させた。


 形はできたので灰色の塗料を手に取ると魔力の流れに乗ってゆっくりと灰色に染まっていった。


 外の側ができたので中に風の魔石と氷の魔石をバランス良く配置し、その魔石に魔力を送るパイプを取り付ける。


 魔力を溜める事のできる魔石を氷と風の魔石に魔力が行く様に魔導管を先ほどの木板と同じ様に柔らかくしてから繋いでいく。


 そして蓋を閉めて魔石に魔力を溜められる用に小窓を作り、試作運転をしてからようやく完成した。


「ドワーフが作る方が速いのに……錬金工房に依頼が多い」


「連中は武具大好きだからね。人のように指先が細くないから魔導管辺りが少し面倒なんだろね」


「あー。熱かけると駄目なものも多いからその辺もありそう」


「そういうこった。テテノの錬金をみてたら私も何か作りたくなってくるね」


「え?じゃあ、我が家秘伝の強化の丸薬をお願いしたい。あれなら登録してないからお婆ちゃんが作っても怒られないしね。ほとんど毎日使うから幾つあってもいいし」


「よし、分かった。私は強化の丸薬作ってるからテテノは冷蔵ボックスを作っちまいな」


「うん、分かった。お婆ちゃんお願いします」と祖母に頭を下げてからアイテムボックスに中の物を冷やす機能がついた冷蔵ボックスの制作に取りかかった。




 Cクラスの錬金術師でも作れる事は作れるが、空間と空間を繋ぐアイテムボックス系のアイテムは作るのが少し難しいので並のCクラスは作らないが、錬金大好きっ子のテテノは失敗することも無く冷蔵ボックスを完成させた。


 全ての依頼品を完成させる頃には陽が傾いていたが夜には少し早い時間だった。


 錬金組合もまだまだ開いている時間だったのでテテノは祖母に留守番を頼み、納品に行く事を伝えた。


「お婆ちゃん。錬金組合に納品に行って来るけど留守番を任せていい?持ち込みの依頼は無いと思うけど」


「いいけど、夕飯はどうするんだい?また外で食べるかい?」


 そこで、うん! とでも言おうものならまた、美味しい以外の台詞が言えない様な所につれて行かれそうだったので、戻って来てから家で食べると伝えた。


「一時間くらいはかかりそうだし適当に市場で何か買って作っておくよ。テテノも昨日いったみたいに張り出された依頼を見ておきな」


「がっ頑張る」


 夕食を作ってくれるという祖母に礼を言ってから、アイテムバッグに依頼品をつめてテテノはいつもの様に錬金組合へと向かった。


 少し遅い時間だったので学生達はいなかったが荷物を持った二人のメイドさんの話が聞こえてきた。


「アレに意識のようなものがあったのが驚きですわ……」


「お父様の事ですから何か仕掛けてあったんでしょうね。義兄さん、毎日吹っ飛ばされてますからね……」


「貴女は……いつまでその呼び方をするんですの?」


「今の成長速度なら一年もしない内に勝って姉さんと結婚しそうなのでずっとですよ?」


 その台詞で髪の長いメイドさんが顔を赤くしたので、小さい方が姉で背の高い方が妹だと言う事が分かった。


(あのメイドさん……結婚するんだ。こう物語みたいに反対されてるのかな?娘が欲しかったら私を倒していけ!みたいな?)


 私もいつかは結婚するのかな?とテテノは未来をの事を考えたが未来でも借金を返済しながら錬金してる自分の姿しか想像できなかった……


「……考えるのは止めよう。何か辛くなってきた」と独り言を言っていると見慣れた扉が見えてきたので中へと入って行く。


 錬金組合の建物に入ると前回来た時よりは人が少なかったがそれでも少し人が多かった。


 テテノが納品の受付を見るといつもの職員さんがいたのでまずはそこに向かった。


 忙しい時間は過ぎていた様であまり待たずに納品を終える事ができた。


「いつも早く依頼を達成してもらいありがとうございます」


「いえ、私の方こそ借金の返済を待ってもらってありがとうございます」


 お互い頭を下げ合うのがおかしかったのか二人で少し笑っていた。


「冷蔵ボックスなどは作るのが難しいはずですが、無理をしていませんか?」


「はい。大丈夫ですよ。お婆ちゃんが帰って来てくれて家事を手伝ってくれるようなので今までより健康になりそうです」


「テテノさんのお婆さんですか……私は見た事はありませんが、すごい錬金術師だったとお聞きしますのでもう一度錬金術師になりたいと思ったら是非おねがいしますね」


 等と話ながら依頼の品を全て提出しいつもの様に職員さんがチェックシートに丸をつけていく。


 特に問題も無かったので職員さんはテテノに話しかける。


「テテノさん。今回の料金はどうしますか?」


「まだ手持ちもいくらからあるので全額、返済でお願いします……」


「分かりました。次の依頼はどうしますか?」


 そう尋ねられたが、祖母に言われた事思い出したのでその事を伝えてた。


「せっかく言ってくれているのにすみません……」


「いえいえ大丈夫ですよ。変な依頼は組合の方でも省いていますが、判断が付かない時は遠慮無く聞いてくださいね」


 テテノは立ち上がってから礼をいい依頼表が貼ってある場所に向かった。


 昨日より人は少なかったが、十数人の錬金術師や薬師が真剣に張り出されている依頼表を見ていた。


 テテノもその輪に無理矢理入り依頼を見たが、簡単で儲けが出そうな物は無くなっていたがまだまだかなりの数の依頼が残っていた。


(この人は字が綺麗とかちょっといいインクを使ってるぐらいしか分からない……)


 そんな事を考えながら薬剤を作るものや日用品を作る依頼を何枚か剥がして行くと一枚の依頼票がテテノの目に止まった。


「お?魔抜き灰の依頼がある。う~ん……報酬は結構いいけど難しいし時間がかかるんだよね……どうしよう」


 その依頼を手に取りながら悩んでいると少し前にイオード商会の商会長とその護衛の人と話していた事を思い出す。


(そっか……死の沼の泥を使えば数日は短縮できるから……冒険者に依頼してもかなり利益がでる)


 材料が違っても量の多い少ないはあるが同じ物は作れるのでテテノは簡単にだがどれだけ利益が出るかを計算し、十分に儲けが出る事が解ったのでその依頼を手に取った。


 そして数枚の依頼票が間違っていないかを確認してからいつもの職員さんが丁度あいていたので依頼を受理してもらいに向かった。

ご飯ばっかり食べてる回になってしまった……お話書くのは難しいですね。

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