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最終話 錬金術師の返済はこれからだ!

 死の沼の地下にあった施設の全てを止めて、テテノ達は長い階段を上り地上に出てくると、ちょうど朝日が差し込む時間だった。


「これからどうしますか?王都まで戻ってこの施設の報告ですか?」とテテノが聞くとスティレが答えた。


「いや。私とソアレで王都まで転移して王宮騎士達に来てもらおう。その方が話は早いだろう」


「分かりました。ではすみませんがスティレさん、ソアレさんよろしくお願いします」


 そう言ってテテノが頭を下げると二人は頷いた。


「カーディフ。出来るだけはやく戻っては来るが、その間は任せたぞ」


「わかったわ。誰も来ないと思うけどほったらかしにしていい施設じゃないからね。任せときなさい。まぁ、よっぽど手に負えないのが来たら逃げるけどね」


「ああ。それでいい」


 カーディフにテテノの護衛や周辺の警戒を頼み終えると、ソアレが転移魔法を唱える。


 そしてその門にスティレとソアレの二人が入って行くと門は静かに消えていた。


 消えた門を方を見ながらカーディフがテテノに話しかける。


「しっかし凄い物を見つけたわね……」


「はい。……まさか死の沼が巨大な錬金釜とは思いませんでしたよ」


「犯人っぽいのも死んでたしおとなしく待っていましょうか……そう言えば何で花を供えたの?」


「え?……そうですねー。人としては尊敬できませんけど、錬金術師としてみれば死の沼もそうですがかなり凄い錬金術師だったので……私ぐらいは花を供えても良いかと思いまして」


 なるほどね~とカーディフが頷き、近くの木の根元に座ると沼の方に小鳥たちが飛んで行った。


 それから一時間もしないうちに巨大な転移門が現れ、中からスティレを先頭にソアレと

 続き、百近い王宮騎士や宮廷魔道士がやって来た。


 その人の多さに圧倒されテテノは後ずさりながら戻って来たスティレに話しかける。


「スティレさん。ソアレさん。おかえりなさいですが……多くないですか?」


「禁書が出たからな。まだ早朝だからこの人数で済んでるがまだ送り込まれてくるはずだ」


「なるほど……それでその禁書はどうなったんですか?」


「もう国王陛下が起きておられたのから、お渡しして側近の宮廷魔道士が封印し今日の午後にも焼却する予定だそうだ」


「だったら安心ですね」


「その禁書が新たな戦いの火種になろうとはテテノは知るよしも無かった……」


「……ソアレさん、何を言ってるんですか!変な事いわないでくださいよ!」


「これから大変なので場を和ますジョークですよ」


 テテノが何が大変なんですか? とソアレに尋ねようとした所でオリハルコンのフルプレートに身を包んだ王宮騎士がやってきた。


 丁寧な物言いで錬金術師の施設までの同行を頼まれ、それから先はソアレが言うように本当に大変だった。


 見た事も無いない魔法でテテノ達が別の禁書を隠していないか等を調べたり、調書を取られたりと色々な事がありテテノが家に帰れたのは三日後の事だった。


 三日しか経ってなかったが、長い間留守にしていた様な気になったテテノは少しうるっとしながら夕日があたる工房の扉を開けた。


 テテノがただいまーと言うと祖母のテラボアが奥からゆっくりと出て来た。


「おかえり。行って正解だったようだね」


「あれ?お婆ちゃんは何があったか知ってるの?」


「ああ。城の連中がテテノが凄い物を発見したからしばらくは帰られないから心配をかけないように伝えに来てくれたよ。話を聞かせてくれるかい?」


 テテノは笑顔でいいよ~と言ってから椅子に座り、テラボアは孫の為に飲み物を用意してから死の沼であった事を順に話し始めた。


 祖母と孫が楽しそうに話している気配を感じたのでその工房に用事のあった人物達は明日にしようとその場を離れる。


「いいんですか?」


「うむ。急ぎでは無いからその内でええじゃろ。話は聞いたがソアレも大変じゃったな~」


「活躍できなかったのが一番大変でしたね……ルディールさん。私から一つ質問いいですか?」


「うむ。なんでも答えてやろう」


「なんでもと言われると他の事聞きたくなりますが……我慢しましょう。ルディールさんの魔法を使えばテテノンの母親を発見できるのでは?」


 ソアレの質問にルディールは少し悩んだ後に答える。


「本人に言っては駄目だじゃぞ?もう見つけたわい。今は炎都におるのう。移動したかも知れんが捕まえようと思えばいつでもじゃな」


「……捕まえない理由を聞いても?」


「うむ。錬金組合の組合長とイオード商会の商会長と相談した結果じゃな。テテノの錬金術師としての能力を見る為なんじゃと。よほどの時は捕まえてくれと頼まれたがしばらくは見守るらしいわい」


「なるほど……」


「商会長もテテノの才能を認めておるからのう。本人には内緒じゃが組合の借金は商会長が肩代わりしておる」

「……商会長はメガネっ娘好きですか?」


「それ後で伝えておくからな」


「ルーちゃんやめろよ~」と言いながらソアレはルディールを肘でつつく。


「商会長の初恋の相手がテラボア殿なんじゃと。それが一番の理由じゃろうな」


「あーお婆ちゃんの姿してますが……超絶美人ですからね。テラボアさん」


「魔眼で見れるんじゃったな。テラボア殿にもお主達が死の沼に行ってる時に伝えたがしばらくはそれでいいじゃと言っておったわい。『私を超える錬金術師に間違いなくなるから、鍛えないとね』らしいぞ」


「なるほど。今回の事でその選択が正解だと言う事が分かりましたね」


「そういう事じゃな~」


「よし。私も今日の弟子の修行は崖から突き落とすぐらいの勢いで行こうと思います」


「やめてやれ……最近、ソアレの修行がキツいと言うておったぞ」


 等と話ながら二人は王都の中へと消えていった。




「それで釜の近くに赤ちゃんの遺骨があってやっぱりそれがお婆ちゃんのいう様に死んでたけど五十年前の錬金術師だった」


「命からがら逃げ延びたはのは良いけど不死になる前に力尽きたんだろうね」


「若返りの秘薬って死んでても効果あるのかな?」


「いや。無かったはずだよ。死ぬ前にあびてそのまま力尽きたんじゃないかね」


「……だからなんでお婆ちゃんはそんなに詳しいの……」


「詳しく聞きたいなら教えてあげるけど、知らなくても困らない事は多いものだよ」


 祖母の話を詳しく聞きたかったが、聞いた所ではぐらかされそうだったのでテテノは聞くのを諦め続きを話した。


 自分が人生の中でも一番の大冒険だったのでテテノの話は夜遅くまで続いた




 テテノが王都に戻って来てきて、錬金組合に魔抜き灰を納品したり依頼を受けてたりしてから数日が経った頃、錬金組合からの呼び出しの手紙が届いた。


「呼び出しだ……返済の催促かな……」


 テテノの不安そうな表情をみてテラボアが話しかける。


「どうしたんだい?」


「うん。錬金組合からの呼び出しなんだけど……返済とかだったらどうしよう」


「前から言ってるけどあんたはもう少し自信を持ちなこの前の死の沼の事だろうから自信を持っていってきな」


 内のお婆ちゃんは何でこんなに自信満々なんだろうと悩みながら支度をしてテテノは錬金組合に向かった。


 いつもの何気ない町並みを眺めながら進んで行くと錬金組合が見てきたのでその扉をゆっくり開けながらテテノは中へと入っていく。


 中に入ると他の錬金術師達や薬師の人達がいつもの様に依頼を見ていた。その横を通り受付に向かうといつもの職員さんが丁度、空いていたので話しかける。


「こんにちはー……錬金組合の方から呼び出されたのできたんですが……」と言ってビクビクしながら手紙を職員さんに見せた。


「そこまで怯えなくても別に魔物の餌にされたりはしませんよ。少々お待ちください」


 と言って少し笑い、奥の部屋へと消えていき、すぐに戻って来た。


「ではテテノさん。ついてきてもらえますか?」


 何処へ連れて行かれるのかは分からなかったが、職員さんが笑顔だったので悪い事にはならないだろうとおもいテテノは職員さんの後ろをあるいた。


「何処へ行くんですか?」


「はい。錬金組合の組合長から死の沼の事でお話です。受付の方で話す内容でもないですからね」


 そう二人で話ながら廊下を進んでいくと、職員さんは扉の前で止まりノックをしてから話しかける。


「テテノ・フェリテスさんをお連れしました」そう言うと奥から「どうぞ」と返事が帰ってきたので二人は失礼しますと中へ入った。


 中に入ると書斎の机に老婆が座っており、職員さんは頭を下げてからすぐに仕事へと戻った。


「さてとテテノさん。貴女に会うのは初めてだけど悪い話では無いからそう緊張しなくていいよ」


「あっありがとうございます。貴女は?」とテテノが尋ねるとこの錬金組合の組合長だと教えてくれた。


「はっ初めまして。テテノ・フェリテスです……今日はどういったご用件でしょうか?」


 そう尋ねると組合長がソファーに移動しテテノも座るように言い、高級そうなテーブルを挟んで向かい合う様に座った。


「テテノさんはお母さんにはあまりにて無いけど、テラボア先生にはよく似てるね」


「えっ……そうですか?…………先生!?」


「ああ、私の錬金術師の先生はテラボア先生だからね。久しぶりに会えてうれしかったよ」と錬金組合のトップに言われてテテノは驚いたがそれ以上に嬉しかった。


 それから少し話をし緊張がほぐれて来た所で組合長が今日来てもらった事を伝える。


「まずは錬金組合の方の話だね。テテノ・フェリテスさん」


「はい」


「貴女をBクラスの錬金術師に昇格します」


 思ってもいなかった内容にテテノは頭に?を浮かべながらはいと返事をした。


「……えっと、この前の死の沼の事が関係しているんでしょうか?」


「そういう事です。あの施設の発見と行方不明になっていた錬金術師の発見で昇格です。本当ならAクラスでも良い様な内容ですが、私達は錬金術師ですから錬金の試験も見させて貰わないとダメなので今はBクラスになっています。試験さえ通ればすぐにでもAになれますよ」


 組合長の顔が冗談や嘘を言っているような雰囲気は無かったのでテテノは素直に礼を言った。


 そして組合長は立ち上がり厳重に封印がかけてあるアイテムボックスから数種類の物を取り出し机の上に並べた。


「まずは一つずつ説明するけどいいかい?」


「はい。お願いします」


「まず、これが国王陛下の感謝状。禁書の発見や施設の停止、錬金術師の発見の事が書かれていると思うから絶対に読んでおく事」


「わっ分かりました。何があっても読みます」


「そして次が錬金術師の懸賞金や賞金だね。全部で黒硬貨百枚だね」


 その金額に驚きっテテノは吹き出した。


「え!?多くないですか!?」


「安くはないよ。禁書の発見や錬金術師の発見もあるし死の沼も無くなったからね」


「そうですか……では後で一緒に行ってくれた冒険者さんと分ければいいんですね」


「いや、ここにある分はテテノさんの分だよ。少しは少なくなってると思うけど冒険者は冒険者ギルドからちゃんともらってるはずだよ」


「そっそうなんですか……凄いですね」


「それだけ凄い事をテテノさんが見つけたって事だよ」


 礼をいってからテテノは二十枚ほど黒硬貨を受け取り、後は借金の返済に回すと伝えた。


 組合長は責任を持って預かるよと言ってから、テテノに少し待ってもらってから職員を呼び、黒硬貨八十枚をテテノの返済にと言ってから手渡した。


 自身の返済がはかどったな~とか考えていると正面に組合長がもう一度座り、話の続きが始まった。


「それで続きだけこっちのアイテムバッグには地下施設にあった巨大な錬金釜が入ってるよ。他の器具は使用しては駄目な物や壊れていた物が多くて私が責任を持って処分したけどあの錬金釜は使えるから見つけたテテノさんの物だね。ちなみに冒険者の人達にも聞いたけどいらないっていってたよ」


 地下施設にあった錬金釜を思い浮かべながら家におけるかな……等と考えながら自身のアイテムバッグには入らないので、少しお借りしますといって受け取った。


「後はこれだね。冒険者の魔法使いの人から聞いたけど、テテノさんが錬金術関係の本が欲しいと言ってたらしいから。正直、錬金組合が欲しい本だけどこの中にまとめておいたよ」


「あっありがとうございます」


「器具と同じで危ない本は処分したけどね。その本がいらなくなったら是非、持って来てね。錬金組合が買い取るから」


「返済がとどこおったらすぐにもってきます……」


 テテノがそう言うと組合長は嬉しそうにいつでも持って来ていいよと、とてもいい笑顔だった。


 そこで組合長との話は終わり、先ほどとは別の職員さんにBクラスの錬金術師の注意事項やAクラスになる試験の事を聞いてから、錬金組合のロビーへと戻った。


 ロビーに戻り組合から出て行こうとするテテノがいつもの仲の良い職員が呼び止める。


「テテノさん。Bクラス昇格おめでとうございます」


「あっありがとうございます。これからもご迷惑をかけると思いますがよろしくお願いします」


 そう言ってテテノが頭を下げると職員さんが笑いながら、そういう所は変わりませんね。こちらこそよろしくお願いしますと丁寧に頭を下げた。


 そしてテテノは錬金組合を出て家に向かって歩いていると見知ったプリーストが声をかけて来た。


「フェリテスさん!おめでとうございます!冒険者ギルドでも話題になってますよ!」


「タリカさん。ありがとうございます」


「やっぱりテテノさんが言うように死の沼の底には何かがあったんですね~アスキス達が凄い悔しそうでしたよ」


「私だけではどうしようもなかったですね~」


 等と少し前にパーティーを組んだタリカとテテノの家に向かって歩きながら話をする。


「なるほど~と言うかフェリテスさんが火食い鳥に依頼を組めたのがすごいですね。Sランクパーティーでも上位ですよ上位。雷光のソアレさんとかXランクの実力があると言われていますからね~格好いいですよね!」


 火食い鳥のリーダーのスティレなら分かるが豹変したソアレが格好いい? 学生時代のソアレは確かにかっこよかったが今は……とは言える訳でもないのでテテノはタリカに同じクラスだったのでと伝えるととても驚いていた。


「そういえばフェリテスさんもAクラスって言ってましたね~。火食い鳥にいれてもらえないかな~」とタリカが言っているとテテノの家の前にテラボアと話をするルディールとその話を面白うに聞いている火食い鳥の姿があった。


 火食い鳥を見てタリカが慌てて早く行きましょうテテノさんと走った。


 自分の視界に映る光景を見ながらテテノは、こんな感じで楽しく返済していけたらいいな~と、タリカの後を追う様に走った。




 おしまい

来週から仕事が忙しくなって時間を確保出来ないので完結にしました~。また何処かでお会いしましょ~。

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