俺と虹花
俺の好きな人は、ひとつ年下の男が好きらしい。
「虹花ちゃーん」
「何?」
俺の前世の初恋は虹花ちゃん
現世の初恋も虹花ちゃん
虹花は、俺の全てだったりする。
「そんなに幸村がいい?」
「うん」
「即答ですか、そうですか」
虹花は可愛い。
ゲームよりだいぶ辛辣で、だいぶお姉さんに厳しいけど。
「優羽くんの魅力がわからないとは」
「俺はあいつじゃねぇからな」
もっともらしい意見をペッと吐くと、
ちょっとばかり機嫌が悪くなって顔を背けた。
優羽っていうのは、幸村優羽。
一年生の攻略対象で、
いつもはヘタレ、でもやるときはやるカッコカワイイヤツ。
大きなお姉様に人気だと聞いている。
「私の中では、あんたの好感度もグングン上がってるけど」
「ま、じ、で」
「まじで」
そういってヘラッと笑われると、やっぱり愛しくなる。
何この子。
ほんと末恐ろしい。
「俺、やっぱ虹花ちゃんが好きで好きでしょうがないわ・・」
「気持ち悪」
「辛辣!!」
たぶん、ゲームの通りにはならないんだろうけどさ
それでも、虹花ちゃんと一緒にいたいと思う。
なんか、ほんと
好きで好きで仕方ないんだ。俺は。
虹花ちゃんは、俺がもし姫蘭梨におとされたら
ちゃんと泣いてくれるのかな。
まって霧生くんって、言ってくれんのかな。
言ってほしいなぁ
「・・・そんな心配しなくても、アンタが姉さんにオトされたら、泣いてやるわよ」
「え?」
「全部声出して言うの、やめてもらっていいかな」
あっ、と思って口を押えれば、
虹花は面白そうに喉を鳴らして笑った。
ああ、やっぱり虹花は俺のお姫様。