授業:体育
「………酷い」
体育館西側に更衣室が用意されているが運動系の部活棟が近くにあるので運動部の生徒は大体部室で着替える。
だから運動部に属する生徒はあまり使用しない為清潔を保っている。
私が驚いているのは更衣室でもロッカーの中でも無い。
先ほど手に持っていた体操着の入っていると思っていたバッグの中身についてである。
「ねぇどうしたの?」
細くて切れ長の瞳、シャープなラインの形の良い顎に薄い唇ソコに掛かる銀髪が美しいエルフの少女が私のロッカーをのぞき込んできた。
「体操着忘れちゃったの?」
「………違う」
バッグの中には切り刻まれて剥ぎれとなったジャージが併せて一式分入っている。
今の私には絞る様に出した『違う』の返答が精一杯だ。
このまま彼女の質問に答えていたら、いつ泣いてもおかしくない常態だからだ。
極めつけは今朝の生徒会長の前でスカートの中に両手を入れて下着を降ろしている最中の写真。
____い、いつの間に撮られたの?
写真は薄暗く如何にも盗撮しましたと思える写真で鼻から下、膝まで写っていて見る人には写真の人物が私だと分かるモノだった。
私は褐色エルフに見られないように恐る恐る写真を裏返した。
裏面には私宛のメッセージ《写真の存在が世間に隠したければ制服のまま体育に参加シロ》新聞や雑誌から切り抜いて文字だけを貼り付けたコラージュで文面は作られていた。
もし犯人からだとすると私に対してのファーストコンタクトだ。
「良かったらだけどワタシの体操服使う?」
私は首を横に振る。
もし犯人が体育の時間に紛れていたら私のあられもない姿がクラスメイト……もしかしたら全校生徒に晒される。
____それだけは何としても阻止しないと。
「ごめんね、私と貴女だとサイズが合わないから多分無理だよ。気持ちだけ戴きます」
心臓は破裂音を鳴らしていたが口元だけは笑を浮かべられたはずだ。
「体育の時間は見学?」
「制服でもバスケは出来るから………そうだ安全ピン予備とか無い?」
スカートの裾を安全ピンで止めて体側にピッタリ綴じた。
お尻のラインとか出て恥ずかしく無いワケもなく、ただスカートが捲れるのだけは避けたかっただけだ。
「あなた達もう遅いじゃないの授業始まってるよ!」
「あれ、先生は?」
「運が良いよ。点呼前に呼出されて行っちゃったから、私が出席簿預かってるからね」
「……じゃあ」
「二人共出席扱いにしてあげましょう……なんてね」
クラス代表はいわゆる委員長だ。
担任が『あ~なんだか委員長ぽいからお前代表なっ!』で決まった。
少々可哀想ではあるが本人もやる気あるみたいだから担任に人を見抜く目が合ったのか、彼女が委員長スキルを初めから有していたかは最早今となっては分からない。
「ねぇ?今日は合同って知ってた?」
「聞いていたけど何処と合同な……の」
私は体育館の中を見渡して時計の側で目線が止まった。
一人だけ学校指定のジャージでは無い黒一色の衣装。
運動をしやすい様に後ろ髪を一本で縛っている細身の長身。やや中性的ではあるが決して女性らしさが無いワケではない。
「………生徒会長?」
生徒会長と私達までの距離は遠いのに学友と談笑をしている会長が刹那的にコチラを見て笑った様な気がした。
「そういえば最近あなた生徒会長の補佐してるんだって?」
「………そんな凄いことじゃないよ」
「誰にも頼らないミスパーフェクトと名高い生徒会長様があなたに援護を頼んだのはもう奇跡よね!どんな魔法使ったのさぁ」
代表止めてよ!そんな話したら生徒会長がコッチに気付いちゃう!
「おや?キミのクラスと合同だったんだね。それなら話しやすいクラス代表折角だから上級生と下級生の垣根を越えて親睦を深める為にシャッフルで試合をやらないかい?」
「流石生徒会長!」
生徒会長のクラスと私達のクラスはシャッフルでメンバー分けをした。
生徒会長と風紀委員長とクラス代表と褐色エルフ……そして私がグループになった。
「………」
「下着無いのがバレない様にしたのだろうけど……お尻の形が分かって逆効果じゃないか?とても煽情的だ」
「そう思うなら返してくれてもいいでしょ!」
「犯人からの要求だから無理だと言ったよな?」
___そうだ、まだこの中に犯人がいるって可能性があるんだ。私は写真の裏のメッセージを思い出した。
多分待ってる人もほぼ居ないに等しい自己消化型ですが宜しくお願いします。
まぁ注意が来て消されるまでの実験ですからね。
安心してください!まだ大丈夫みたいです!
これから百合系を全年齢でやる方!
ここまでなら大丈夫と生存していたら保証します。