生徒会長補佐。
『おい生徒会からの要請で生徒会長補佐の仕事を指名で頼まれた。たったの一週間だから担任判断で許可したけど文句無いだろ?』
有無を言わさぬ圧力で言い放つ者を誰が女と言えるのだろうか。
本人は否定をしているが彼氏居ない歴が齢と同じの《男装の麗人》と名高い担任教師である。
私が知っている限り受け持ちの生徒を売る様な真似はする人では無いし、生徒会との仲も不仲では無いが良好な関係では無かったはず。
「先生。生徒会から何か見返りを?」
「ん?何だ人聞きの悪い!アレだ………先生も聖職者に恥じぬ言動を心掛けている……うん」
先生の目を見る様に真っ直ぐ覗き込むと視線だけ反らされた。
嘘が苦手なら吐かなきゃいいのに。
「先生にも事情があると思いますから仕事として引き受けます」
「おぉ!やってくれるかぁ!今日の放課後かららしいから詳しくは生徒会長に聞いてくれ」
「悪いですが、貸し一つですよ!」
正直昨日あんな事をされて生徒会長には会いたくは無かった。
きっと行けばまた………。
「そう考える私の方が変態なのかも……」
・・・・・・・
「きっと来ると思っていたけど安牌狙いでクラス担任を買収させて貰った」
「……それでも私は帰るって選択肢も有ったんですよ?」
「キミに切札を使わずに済んだのは良かったよ」
「………切り札?」
「あぁ断ればキミの家に居る可愛い犬ちゃんに間違いがあるかもしれなかったからね」
「あの……ウチには飼い犬は居ませんけど?」
「それなら安心したまえ!直ぐにハウスと食料と一緒にキミの家に届けるよフフッ……まぁ三日もしたら愛着も出るだろうさ。それからでも遅くないからね」
「………なんて酷いことを!」
私は生徒会長の策略に恐怖した。
「………おっと手が滑った」
生徒会長からこぼれ落ちた紙が私の目の前で止まった。それは1枚の写真だった。
二人の女生徒が抱き合っている写真。
見た瞬間昨日の生徒会室での事がフラッシュバックして眩暈がした。
「………これは?」
「すまないとは思うが、誰かがあの部屋に盗撮用のカメラを仕掛けたみたいでキミとの関係の公表を控える条件に……」
「待って………待って下さい!じゃあ………あの日の事を………」
「全部見られてしまっているし、この様に証拠も押さえられている。言わば我々は被害者であり運命を共にした仲間となるのだ」
「………それで犯人は誰なんですか?」
「悪いがプライバシーの観点から言えないが、犯人の要求はキミと仲の良さを観たいと言ってきた」
「でも……あの日、私とは付き合って居ないって言ってくれる約束だったじゃないですか!」
「おいおい、私だって生徒会長の立場上本当は無理強いして付き合うつもりは無かったけど脅されている以上写真の様なアピールは今後も必要になってくる………下手すると……」
「………嫌です!なんで私が!」
そうなのだ。生徒会長があの時私にキスさえしてこなければこんな事に成らなかったのに。私どうしたらいいの?
「取り敢えず、犯人の要求が治まるまで要求を飲もうと思う。悪いけど協力して欲しい」
本当になす術も無いと言う生徒会長の言葉は私の頭の中で反響し幾重にもこだました。
次に私に出来る事は………頷くしか無かった。
「手初めにお願いしたいのだが……」
スカートの後ろ側の裾を両手で握って次の言葉を待った。
生徒会長の後をついて行くと別室にて会議用のプリントをホチキスで止める作業を頼まれた。
表紙には体育部と文化部の合同文化祭の企画資料名を打っている。
「えっ?」
「……スケベ。………でも半分当たり………だよ」
「……どう言うこと……なんです……か?」
「考えてもみたまえ、既に我々はキスもした仲ではないか!……それも濃厚なね」
昨日の生徒会長からの言動と今の言葉遣いに少々違和感を覚えないわけでは無かったが、確かに傍から見たらキスをした関係で間違いない。……でも、あんまりじゃないだろうか。
「犯人の要求だって来ているんだ」
「………要求なんて私知らない!」
こんにちは?
こんばんわ?
まぁどちらでも良いですが、何となく続けてみました。
僕の中での初エルフに期待した方には申し訳ございませんが今回出番なしです。
では、また。