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技術都市アズール

「すごい人の数ですね」


「噂には聞いてたがここまでとはな...技術都市アズール」


ファルティーヌ大修道院の比較的近くに存在する技術都市アズール、グランバニア王国の技術革新は全てここで起こると言われているほどに研究が盛んな都市。

軍事関連から民間のものまで幅広い道具を日々開発している。

アズールには城壁は存在していない、その理由は少し前にアズールが街として始動を始めたときに現代の市長が城壁に金をつぎ込むよりも研究に金をつぎ込もうと言ったかららしい。


そんなアズールは今、街が始まって以来の空前絶後のお祭り騒ぎ中である。魔族との戦争中だというのに王国中から科学者やその熱にあてられた者たちが集まりつつあった。


ニルスとリイラは人の濁流となっている大通りを書き分けて進み、宿を目指していた。

「なにかすごく画期的な発明をしたらしいですよ、内容は分かりませんが」


「その発明も気にはなるけど...これ宿屋空いてる気がしないな、せっかくフカフカのベッドの上で寝られると思ったのに、まさか祭りと被るとは」


そんな他愛のない会話を鼓膜を突き破るような轟音がかき消した。


「なんだ!?」


少し離れた街の中央部に近い場所からこの世の地獄を体現したかのような炎が燃え上がっていた。

ニルスたちは慌てていたが、アズールの住人は慌てることもなく冷静に日常を満喫していた。

その理由は火事が起きてもすぐに消せる手段があるからではなく、アズールの住民は実験により起きる爆発や火災などを日頃から経験しているからであった。

だが今回のものは、いつもとは違った。

唐突に肺が押しつぶされるような威圧感と共にさっきの爆発の数倍の轟音がこの街を支配した。それは爆発の音ではなかった、それはこの町を壊滅させんとする竜の咆哮であった。


「...竜だ...」


「竜が出たぞ!!」


「なんでこんな内地に竜が?」


「防衛隊はどこに?」


「兵はみんな前線に駆り出されちまってるよ!」


街の中心に現れた竜から逃げようとしている人々の悲鳴と怒りの声が響き渡っている。


「行きましょうニルス、民を守らなくてはいけません」

「私たちは勇者と騎士、これ以上竜討伐に最適なメンバーがいるでしょうか?」

そう言うとリイラは人々の波に逆らうように街の中心部にある広場に一人向かっていった。竜と民という単語はリイラの騎士道精神をくすぐってしまったらしい。

ニルスは正直竜なんかと戦うのは御免だったがリイラが行ってしまったからには、行かないわけにはいかなかった。


ニルスが中央の広場に着いたころには既に戦闘が始まっていた。


竜は翼がついていない四足歩行の地竜、地竜は翼がない代わりに、鱗の堅さは空を飛ぶ竜、飛竜を大幅に上回るとされており剣での正面切っての戦闘は不毛だとされている。

竜は漆黒の鱗で覆われており、まるで買ったばかりの新品の剣のように滑らかに輝いていた。


「やっと来たのですか、遅すぎです、それと私の剣では傷がつけれないので決定打はそちらに任せます」

「期待してますよ、魔術師さん」

リイラが皮肉った眼をしながらニルスに視線を一瞬向ける。


ニルスは深呼吸を数回した後気合を入れなおす様に叫んだ。

「ああ!任せろ!」


ニルスの両手の平、そしてそれぞれの足を中心とした周囲の地面に魔力で作られた錬成陣が展開される。


竜討伐が始まった。


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