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カラクレナイ#6 10日しかないタイムリミット

「よし!吸血鬼になって3日目の朝!ついに吸血鬼の到達点である魔式の習得に移行するぞ!」


「え、到達点?魔式ってそんな大層なものなのか?血術が簡単だったからてっきり魔式もそんくらいのものかと。」


今日も朝から修練場に行きナイトメアに修行をつけてもらっているのだが、今まで開示されてこなかった魔式の情報が出てきて困惑する。いつもと同じ椅子に座って頬杖をつく俺は少し不満そうな顔をして、それを見てナイトメアは呆れたように言う。


「はぁ…血術は基本の魔力操作するだけでできると言ったじゃろう。基本はそりゃ簡単じゃよ。じゃがこれから習得しようとする魔式は、応用も応用。この前話さんかったか?魔式の使用者が少ない理由を。」


むぅ、そのような話もあったような?なかったような?とりあえず魔式は血術よりもむずい、それだけわかった。えっと血術が1日でできたから…魔式は10日ぐらいでできるだろ。


「血術が生まれた時からできるのに比べ、魔式はおよそ習得に何百年かかると言われておる。そのくらい難易度に差があるんじゃ。」


急に桁違いの数字が出てきた。えー、えっと何百年?俺が考えた予想の何倍だ?俺はこれから何百年も技術習得に全力を使わないといけないのか。そんな人生嫌だ。おそらく俺は今とてつもなくしょぼくれた顔をしているだろう。悲哀に溢れた男子高校生の顔を見てかナイトメアがこう言う。


「そんなお前に朗報じゃ。あいにくお前とわしには時間がなくての、魔式を習得する期間は何とあと10日ポッキリしかない。よかったのーうんびゃくねんも時間を短縮できたぞ。」


まさかの最初の予想があっていたパターンだったとは。言ってることは終わってるのだが。俺は今から何百年かかる技術をたった10日で習得しなければならないことになった。これから習う魔式が簡単であることを祈ろう。何百年圧縮されたスケジュールだがおそらくあいつの言い方的に何か大きなタイムリミットがある。それが俺に悪影響を及ぼす。だから心が痛むがこんな無茶なことをさせようとしている。と俺は信じている。


「圧縮しまくったスケジュールはいいとして…俺が10日でできなきゃいけない魔式はどんなやつなんだ?」


「よく聞いてくれた!!今から庵、お主が使うことになる魔式は…?もちろんわしが製作した完璧な魔式じゃ!!じゃがまずは魔式というものがどういうものか説明せんとな。」


「魔式とは魔術を組み合わせることにより、より複雑な現象を生み出すものじゃ。例えるなら電気製品のようなものじゃ。あれじゃって色々な部品を組み合わせて最後に動力である電気を流すじゃろ。あれと同じように様々な魔術を組み合わせ魔力を流し使うんじゃ。」


「魔術?」


「あー……別に理解しなくても大丈夫じゃ。わしの魔式は魔術使わないからの。」


だとしたら早くもさっき言った魔式の説明からはみ出した例外が出てくるのだが。

ガバガバ過ぎるだろ。魔式の定義。


「それじゃ、わしの魔式について話していこうか。じゃが言葉で話すより実際にやってみせた方がいいじゃろ。」


そういいナイトメアはホワイトボードを片付けていく。その過程で俺も立たされちょっと離れた位置にいるよう言われた。一体どんな魔式なのか期待が高まるが……


「わしの魔式は単純明快。二つのエネルギーを混ぜるだけじゃ。生命エネルギーと魔力。この二つのエネルギーは混ぜると原子炉のように少ない物質で莫大なエネルギーが得られる。このようにな。」


そういいナイトメアは手のひらに浮かべた二つのモヤを合わせていく。それにより手のひらから体全体にとてもデカいエネルギーのオーラが拡散されていく。ある程度広がった後、そのエネルギーは膜のようになってナイトメアを覆うように凝縮された。


「こうして出来たエネルギーを攻撃に転用するのがわしの魔式、クレナイじゃ。例えば、このように拳にこめてぇっ!!」


ナイトメアは拳にエネルギーを集中させそびえる岩壁にパンチを打ち込む。一瞬閃光が走り壁が割れる。その割れ目の大きさというと……岩壁の頂点まで綺麗に割れていた。ここまで激しくやったせいか、ゴロゴロと落石も落ちてきている。あいつはその落石も一つ残さず全て破壊していった。それもうとんでもないスピードで動きながら。で打ち込んだあとも体からデカいオーラが出ていてどうやら際限なく力が生産されているらしい。全部の落石を処理し終わって目の前に戻ってきたら、息継ぎもせずに話し出す。


「と、まぁこんな具合にどでかい一撃を喰らわせられるのだが、注意すべきこともある。この二つのエネルギーの比率を少しでも間違えれば…」


そのすぐあと、ナイトメアを中心としてとてつもなく大きい爆発が起きた。俺のところまでは爆風は届かなかったが、被害者のナイトメアは全身が焼け爛れてみるに耐えない姿になっていたが吸血鬼の再生力ですぐに元の姿に戻ってこう言った。


「こんなふうにどデカい爆発が起きる。この魔式は一見単純そうじゃがその実、とてつもなく緻密で繊細な力の制御が必要なんじゃ。じゃ、さっそく練習に移ってくれ。」


「いや、ちょっと待ってくれ。生命エネルギーって何だ?まずそこを話してくれよ。」


「生命エネルギーか?これは単純に生きるのに必要なエネルギーじゃよ。体を動かすエネルギー、頭を動かすエネルギー、体を作っているエネルギー全てを総称して生命エネルギーと呼んでおるだけじゃ。最も身近なものは脂質とかか?それをエネルギーとして取り出すだけじゃ。」


「はぁ……あっ、あとあんたがエネルギーの比率を教えてくれればさっさと終わるんじゃないか?」


「いやーわしもそうしたいんじゃが、残念なことにこの比率は人ごとに異なっておってのう。人によって魔力の性質が違うからじゃろうが……こればっかりはしょうがない。」


比率はわからない、と。じゃあ正しい比率が見つかるまであの爆発を何回も経験しないといけないのか。昨日の腕の欠損でもそこまで痛みは感じなかったし、もしかするとそこまで痛くないかもしれない……俺は忍耐力の訓練でもやるのか?


まとめると、第一に生命エネルギーを取り出せるようにする。次にそれを魔力と混ぜ合わせ、比率を調整する。最後にそれにより発生した莫大なエネルギーを利用できるようにする。か?まぁ問題としては途中の比率を調整するところで無限の可能性があると言う点と失敗すればどデカい爆発が起きるって点か。今からやる練習に全く気乗りがしない……だがやることもないしやるしかない……せめて範囲でもわかればまだ救いがあるもんだが。


「なぁちなみに聞くが、この魔式ってどんくらいむずかしいんだ?」


「そうじゃな。参考になるか知らんが、他の奴らからは最も習得難易度が高いとか言われてたり、これまででこの魔式を習得している人数は確か58人じゃったな。」


激ムズじゃねぇか!!魔式の中でも難しいと言われているって何百年じゃ済まないぞ。下手したらできるようになるまでに何千年とかかる可能性も…ひぃー考えたくも無い。


「あぁ言い忘れておった。これからわしはとても重要な用事があるから8日ぐらい留守にする。じゃから館にも帰れんから必要なもんはわしに今いうんじゃぞ。」


「はぁ?この魔式すごい難しいんだろ。せめてあんたの指導ぐらい無いとやってらんないだろ。」


「いやーでも本当に大事な用事でのう。わしが行かなくちゃ世界が滅びてしまうぐらい重要なんじゃ。そんな用事をすっぽ抜かしたらわしが殺されてしまう。じゃわしはもういくから、頑張れよー」


俺が引き止める間もなく、ナイトメアは裂け目に逃げ込んでいった。あいつ本当に行きやがった。嘘だろ。一応師匠として俺に指導してくれるもんだと思ってたが、ものすごい放任主義だなこの人。まるで俺に魔式を教える気がないようだ。


そんなこんなでこっから8日、1人っきりでこの魔式を使えるように修行するわけだが。いや、両親がいなくなってずっと1人だったから1人には慣れてはいる。


それよりも果たして10日で魔式が使えるようになるかが一番不安なことだな。まぁ始めてみないとわかんないか。比率を調整するのもパスワードを数打ちゃ当たるで探してるのと同じで、運が良ければ1発で行ける可能性もあるしな。ま、そんことは万に一、いや無量大数に一あり得ないことだが。とりあえず始めてみるか。


そう思いまずは生命エネルギーと言われてたやつの抽出からやろうと思ったのだが…肝心の抽出の仕方がわからない。あいつのいう通りに考えると脂質が生命エネルギー筆頭な訳だ。それを取り出そうと色々体を動かしてその時に使っているエネルギーを感じれるか試していた。


結論、全くわからない。吸血鬼は魔力の感覚は優れているようだが、こういうのは専門外だったらしい。体が動いている時に使う筋肉の一個一個まではっきりわかるが、生憎それを動かすエネルギーは感じ取れなかった。


結局何もわからぬまま1日目は過ぎてしまった。いったいどうやって取り出せというのか……10日ぐらいで何とかなるといいが。

ナイトメアさんが岩壁を破壊する時に使用した魔式は庵に教えたのとは別のものです。見栄を張りたいからクレナイの上位互換を使っています。大人気ないね。

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