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 今しがた入った依頼内容を簡潔に伝え、すぐにメンバー決めをする事にした。


「おそらく、下級モンスターばかりとは言えかなりの数を相手にする事となる。そこで、俺らも早期解決のためにそれなりの人数で行きたい。まず、参加希望の者」

「はいっ、オラずら、オラずらっ!」

「おーっほっほっ! 私が居ない戦場など太陽の無い晴天みたいな物ですわ~!」


 やはりと言うか真っ先に挙手する二人。

 そして続くフラン。


「私もサポートしないとね!」

「よーし。それなら今回は俺ら四人で行くか。フルト、ここの留守を任せていいか?」

「ああ、任せてくれ」


 よし。これで決まりだな。


「あのー。ちょっといい?」

「ん?」


 早速準備に取り掛かろうとしたところでシヴィが手を上げた。


「その仕事さ、あたしも参加しちゃ駄目?」

「なに?」


 取り繕うように手を横に振るシヴィ。


「いやいや、別に報酬金よこせーっとかって話じゃないんだ。ただ、興味があってさ。どう? 自分で言うのもなんだけど結構やるよ」

「ふむ······」


 確かに。こいつの実力は未知数ながらもかなりの物だと思っている。もし手伝ってくれるなら頼もしい戦力になるだろう。


「力を貸してくれるなら俺らも助かる。が、いいのか?」

「もっちー。あ、その代わりと言っちゃなんだけどさ、今日も泊めて貰えたりしないかな~、なんて」

「それが目当てかい」


 まあでも、ぶっちゃけ報酬金を渡してもいいしな。俺の独断による額になるだろうが。


「なら、今回は特別に客人シヴィに手伝って貰おう」


 こうしてメンバーは決まった。

 俺、フラン、ターナ、ヴィオラ、そして特別ゲストのシヴィの五人だ。


「ルッカ、ナズ。フルトに変な事されたらすぐ俺に言うんだぞ」

「トレイルさんじゃないし······」

「フルト君はそんな事しないよ······」

「いや、分からんぞ。男はみんな羊の皮を被った狼なんだ。フルトだって狼だ」

「人の風評を悪くしないでくれ」


 戦闘があまり得意ではない三人には留守を任せ、俺ら討伐班は早速出発した。




 南門にたどり着くと、衛兵達から「討伐隊は先に出た。すぐに追いかけてくれ」と言われた。


 門から出てそのまま街道を下る。真っ直ぐ行けば湿地帯となり、さらにその湿地帯を抜けると川の中洲的な場所にある交易所に着く。


「いつ戦闘になるか分からんから今の内にフォーメーションを確認するぞ。俺、ターナ、ヴィオラが前衛。そしてフランとシヴィが後衛。これでいいな?」

「おっけー!」

「よろしくてよ。でも、貴方は後衛でも構いませんわ。私が全てのモンスターを一身に受け止めてあげますもの」

「オラも、ずく出すだ!」


 前衛三人、後衛二人。少数隊のフォーメーションとしては悪くないバランスだ。


「ところでシヴィ。お前は弓だよな?」

「そうだよ」


 背中のコンパクトな弓を傾ける。


「援護射撃なら任せてよ。それに、あたしのスキルにも期待していいよ」

「スキル?」


 スキル持ちだったのか。


「何のスキルだ?」

「あたしは『探知』と『陽炎』スキルを持っててね。いいっしょ」

「ほう、二つ持ちか」


 たしか、陽炎は姿や気配をくらませる事の出来るスキルだ。


「探知って何だ?」

「そのまんまの意味。例えば人とか、モンスターとか、魔力とか、そういう気配を感じ取る能力。便利だよ~、これがあればモンスターを避けながらお宝探し出来るからね」

「なるほど」


 姿や気配を隠し、さらには相手の位置はいち早く把握出来る。斥候に特化したような能力者だ。


「だからあたしは不意打ちが得意でね。ちょこーっとカッコ悪いかもだけど」

「戦いにカッコも何も無いからな。勝てばいいんだ」

「まあ、正面から勝つのが強者の美学でしてよ?」

「お前のは脳ミソ筋肉って言うんだ」

「おほほっ! 脳ミソ性欲の貴方には言われたくありませんわ~!」

「あはは、この商売してる人間は愉快だねえ」

「もう、恥ずかしい······」

「賑やかなのは良い事ずら~」


 少し気の抜けるような空気だが、それでも武器などの点検は怠らない。

 俺達はそれぞれの得物の最終チェックを済ませた。


「シヴィ。早速その探知ってスキルでモンスターどもの位置を探ってくれ」

「りょーかい」


 シヴィの身体からスキル発動時に見受けられる淡い光が滲みだす。


「············もう少し前方に行った辺りに多数の気配がするね。人間が数人。モンスターがうじゃうじゃ。魔力も大きく乱れてる」

「あ、魔力の乱れは私も感じた!」


 フランも声を上げる。

 俺にも、何か直感のような物が芽生える。この先で戦闘が行われている、と。


「よし、急ごう」


 フランが肉体強化の魔法を俺らにかけてくれる。全員で軽く駆けて現場へと向かう。



 ややして、衛兵らの怒号などが聞こえ始めた。


「あそこだ!」


 街道と、その脇の森。そこらで衛兵らとモンスターらが戦っていた。


「うおおおっ!」

「でりゃあー!」

「突撃いいっ!」


 気合いが雄叫びとなり、剣や槍が重い音を立てて振りかざされ、魔法の炎や電光が飛び交い、血が地面を汚す。


 ゴブリンが斬り捨てられ、スライムらが魔法に蹴散らされ、アーミアントが槍に串刺しにされる。

 アイアンバグの体当たりが兵士の鎧を凹ませ、ゴブリンの木製ナイフが兵士の足に突き刺さる。


 まさに乱戦状態だ。


「ターナっ、俺がお前に合わせる! あまり前には出過ぎるな! 味方からの誤射に気を付けろ!」

「あ、あいっ!」

「フランっ、ヴィオラのサポートは任せた!」

「おっけー!」


 俺らも散開し、茂みから飛び出すグラブホッパーや、倒れた兵士に追い討ちをかけようとするゴブリン達を撃破する。


「はっ!」


 ──ズバッ──


「だりゃ~!」


 ──バコオンッ──


「せいやあっ!」


 ──ズダアンッ──


 モンスターらが切られ、潰され、吹き飛ばされる。


「サンダーアロー! バースト!」


 ──ズドドドドドドッ──


 森へと吸い込まれるように放たれるフランの波状魔法。何体ものアントやバグが焦げてゴロゴロと転がり出てくる。


 ──ヒュッ、ビュンッ、ドッ──


『グギッ······』

『ジュッ······』

『ギリリッ······』


 遠巻きに構えていた敵には風を切って駆ける矢が突き刺さる。シヴィの狙いは的確で、各モンスターの急所とされる部分を貫いている。


「だりゃあ!」


 ──ボゴオンッ──


「いいぞターナ。その調子だ」

「あいっ!」


「お、おおっ、あれがスレッター屋か!」

「噂通り凄い奴らだ!」

「我々も負けるな!」


 俺らの加勢に勢いづいたのか、衛兵隊もより気合いを入れてモンスターらに猛攻を開始した。




お疲れ様です。次話に続きます。

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