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本日3本投稿予定です。
──ズダアンッ、ズオオッ、ドオオンッ──
「さあっ、高貴なる者の力を見なさい! 今日は身体が軽くてよ~!」
ヴィオラの豪快な剛撃により、あっという間に四頭が屍と化す。
「俺も負けてられんな」
『ブモオオオッ』
──ズドッ──
正面から突っ込んでくる槍のような牙を躱し、首に風属性の刃を刺し込む。
勢いよく噴き出す血を避けながら、別方向から突っ込んでくる奴にも同じように剣を突き刺す。
『ブモオッ』
「はっ!」
こちらに向かってきた最後の奴の突進は、ジャンプして避け、飛び越しざまに氷属性の一撃を眉間に叩き込む。
──ズガッ──
『ゴッ······』
鋭い刃によって脳天まで急激に冷やされたドンボアは一瞬で絶命し、噴き出す血が水晶のように凍り付いて倒れた。
「終わったな」
「あら、もう終わりですの?」
俺らを発見して襲いかかってきたドンボア達は全滅した。全部で七、八頭ほどだ。
「呆気ないですわね?」
「いや、これは一部だろう。まだ居るはずだ。このまま捜索しながら進もう。ナズ、平気か?」
「は、はい。あの、お二人の戦いが凄すぎて何も出来なくて······」
「おっほっほっほ! 私の流麗で華麗な戦いぶりは見惚れて当然。遠慮せずに鑑賞なさって」
「は、はいっ」
ナズのポーションと補助魔法のお陰だろうか。ヴィオラに疲れた様子は無い。これならこのまま強硬していい。
「よしっ。気を抜くな。まだ何体居るか分からないんだからな」
再び前進。辺りを警戒しながら奥へと進む。
周囲はドンボア達によってかなり荒らされていた。
土を掘り返され、新芽が踏み荒らされ、収穫出来るまでに育った作物は食い散らかされており、辺りには破片や欠片が落ちてる。
「酷いですね······」
「これでは町の食糧生産率に響くかもしれませんわね」
「そうだな。半分······とまでは行かないかもしれんが、三割くらいの作物がやられたのかもしれん」
放っておけばこの農園は全滅するだろう。依頼主からの話では四日程前から出没するようになったという事だから、その短期間でこれだけやられてしまったのだ。
「おっと。見つけた」
被害の生々しい爪痕を眺めていたら、案の定まだドンボアを発見した。
「三、四、五······五頭か」
少し離れた所で一ヵ所に固まるドンボア。五頭居る。
「腹一杯になって昼寝でもしてるのかもしれんな」
「それでは参りましょう」
「今なら纏めて殺れる。静かに接近して一気にいくぞ」
ヴィオラと共にそっと近づく。まだ気付かれてない。やはり眠って休んでいるようだ。
俺らは間合いに入った辺りで、互いにアイコンタクトをとって呼吸を合わせた。
「──ふっ!」
「──せいやあっ!」
狂う事なく、同時のタイミングで不意打ちをかける。
──ズダアンッ、ズバッ──
ヴィオラの重い一撃、俺の鋭い一刀。
最初の攻撃で三頭があっという間に屠られる。
襲撃で起き上がった残りの二頭にも二の太刀を浴びさて鳴き声一つ上げさせる事なく葬る。
「上手くいったな」
「ご覧になって? 私が三頭倒しましたわー!」
「そうだな」
俺より多く倒せたのが嬉しいらしく、ヴィオラがオッホッホッホと高笑いを上げる。
「おーっほっほっほっほー! トレイルさん、これで長きにわたる因縁にも少しだけけじめをつけられましたわね! やはり、私の方が一枚上手でしてよー!」
「お、おい。あんまし大声上げんなって」
が、時既に遅し。
ヴィオラの高笑いに気づいたのか、それともさっきの攻撃の音に寄せられていたのか、肥料の山の裏側から数頭のドンボアが現れた。
『ブモオッ』
『フゴオオッ』
既に戦闘態勢に入っている。興奮した鼻息がこちらにまで伝わってくる。
「まだ居たな。油断するなよヴィオラ」
「貴方こそ、無理してはいけません事よ?」
『ブモオオオオッ』
横に隊列を成すようにして突っ込んでくるドンボア達。
「ちっ!」
避ければ後方のナズに狙いを定めるかもしれん。
ここは正面から受けて立つ。
「はあっ!」
こちらから距離を詰め、炎属性を纏った剣を振り上げる。
「バーンエッジ!」
そして火力を一気に解き放って、爆炎の重撃を横一線に薙ぎ払う。
──ドオンッ──
火薬の爆発のごとく炎が逆巻き、三頭が火だるまになる。
それでも止まらない突進を跳躍して躱すと、既に意識を失ったのだろう。火に包まれた奴らはそのまま土にめり込むように転倒した。
「はいやーっ!」
ヴィオラの気合い。それと同時に鼓膜を震わす落雷のような音。
その一撃で三頭が倒れる。
向かってきたドンボア達は全滅した。
「ふう。今のは少し危なかったな」
「おっほっほっほ! これしきの事で音を上げる貴方ではないでしょう?」
また高笑いを上げるヴィオラ。しかし、その額や首筋には汗が光っている。そろそろ限界のようだ。
「さあ、もう少し進もう。まだ居るかもしれんし──」
と、歩きかけたその時。プレッシャーのような気配を肌に感じた。
「! ヴィオラっ、ナズ! 気をつけろ! まだ居るぞ!」
俺が声を掛けた辺りで、地面がドドドと細かく震えた。
──ドオオンッ──
そして、近くの巻き草の山を吹き飛ばして巨大な影が現れた。
『ブルモオオオッ······』
巨大な牙を4本怒らすように震えさせ、ドスドスと、足で地面を蹴る巨大なドンボア。
灰色の体毛、その牙、そして他のドンボアよりも巨大な体躯。
間違いなく、群れのリーダーであるボスボアだ。
「お出でなすったな。行くぞヴィオラ。俺が注意を引き付けるから、お前は一撃で決めろ」
「まあっ! 私に指図する気?」
「そうじゃない。一度この目で見てみたいのさ」
今にも突進してきそうなボスボアに剣先を向けながらヴィオラからゆっくり距離を開ける。
「お前の異名“赤雷”をな」
「! ほほほほっ! よろしくてよ!」
その高笑いと同時に俺からボスボアに斬り込む。
『ブモオオッ』
厳つい4本の牙がグイッと目の前に迫る。
「はっ!」
跳躍して躱しざま、鼻面に風属性の一刀を入れる。
けたたましい鳴き声を上げて血を撒き散らすボスボア。
着地して振り返ると、相手も土煙を上げながらターンするところであった。
──ドドドドドドッ──
足裏に伝わる巨体の疾走。迫る猛々しい牙。
「今だ!」
「下がりなさいな!」
横から大剣を振り上げながら飛び込んでくるヴィオラ。それと同時に俺も一気に飛び退く。
「ご覧あれ! これぞ誇り高き竜族の力! 天を割る一撃『レッド・ライジング』!!」
ドラゴンスレイヤーに稲妻が纏わる。
それはバチッと白く弾けた後、一瞬で真っ赤に色変わりした。
大剣が、赤い稲妻が、まさに落雷の如く空を切ってボスボアへと落ちる。
──ズッドオオオオオオンッ──
目も眩むような赤い閃光と、凄まじい爆音が辺りに満ち溢れ、ボスボアの身体がそれに飲み込まれて見えなくなった。
お疲れ様です。次話に続きます。




