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「つまり、軍みたいなのでもないし、ハンターでもないし、かと言ってただの商人でもない。今までありそうで無かった仕事って事?」

「そうだ」

「ちなみに、実績も多数あるよ!」

「へえー」


 スレイヤー屋の誕生経緯や、今現在やっている仕事の内容などを説明し終えると、シヴィは何か考えるように細い指先で顎を撫でた。


「モンスターの討伐。素材の活用。それに薬草などの採集。そしてそれを売ったり······。なんか、まるで冒険者だね」

「ああ、そう言われてみれば」


 たしかに。お宝目当てのトレジャーハントだけはやってないが、その他の内容は近い。


「たしか、冒険者も路銀を稼ぐために薬草のを集めて売ったり、モンスターと戦ったりする事もあるんだったか」

「そうだよ。ハンターと同じで儲けられる獲物に限定されるけど。あとは、旅路でたまたま居合わせた商人とかに警護を頼まれたりね。冒険者って一匹狼な人間が多いんだけど、その分腕に自信があるのが多いから」


 そう言うシヴィもなかなかの実力者のようだし、きっとそうなのだろう。


「しかし、要人警護か。そういうのも需要ありそうな気がするな」


 今後の事業のヒントになりそうだ。


「あんたら面白い事思いつくね。有料のモンスター討伐か。たしかに、軍がまともに機能しなくなってきてるこのご時世にはうってつけかもね」

「私は乗っかっただけだよ。トレイルがね、思いついたの!」


 えっへんと自慢するように言うフラン。


「それでね、今では仲間も増えてきたんだよ」

「へえー。スレイヤー屋かあ」


 そう言って、シヴィがふっと俺の事をじーっと見つめ出した。


「ん? どうかしたか?」

「······あんた······どっかで············」

「ふっ。俺に一目惚れか?」

「トレイルっ」

「冗談だ、冗談」


 しかし、シヴィは笑いもせずにまだじっと見ていた。


「······似てる」

「ん?」

「あ。ううん、なんでもないよ」


 少しの間、俺の事を観察していたが、我に返ったように小さく笑った。


「でも、そんな珍しい店ならどんな所か一度覗いてみたいね」

「だったら遊びに来てよ。私達、ここからすぐのパデスの町の北川にある林の奥まった所にある酒場で活動してるから」

「へえ、泊まる事も出来そうだね。ちょうど長旅で疲れてたし、泊めさせて貰おうかな」

「一泊200ゴールドだ」

「高くない?」

「だが、女の客は10ゴールドだ」

「安っ! でも、ラッキー」

「その代わり、俺の添い寝相手になってもら──いっででででっ?!」

「トレイル~!」


 フランに耳をつねられる俺を、シヴィは苦笑して見ていた。






「そんじゃあな。まあ、本当にパデスに寄るんだったら部屋は空いてる。一泊だけなら金も取らないから安心してくれ」

「助かるよ。あたしはもう少しこの辺りを探索するよ。もっと北東に行けば古戦場もあるしね」

「ああ、そういやあったな」


 魔王軍との激闘が繰り広げられた戦場だ。そう言えばこの近くだったな。


「じゃ、またねお二人さん」

「おう、気をつけてな」

「またねー」


 森の中へと颯爽と消えるシヴィ。森の民と言われるエルフなだけあって、軽やかに、速やかに消えた。


「さて。俺らも行くか。ここの連中は片付けたっぽいし、火も完全に消えたようだ。午後も仕事はあるから早く帰るとしよう」

「うん! おつかれトレイル」

「おう、おつかれさん」


 撃破したゴブリン達の数を記録し、その場を後にする。


 帰り道、歩きながらフランとシヴィの事などを話す。


「でも、冒険者なんて初めて見たよ私」

「本人も言ってたように儲からない職業だからな」


 その分ロマンがある。そんな事を俺の師匠が言ってたっけ。もしかして、師匠も冒険者だったのだろうか。


「しかし、冒険者か······」


 気ままに旅する分、苦労も多いだろうが、臨機応変に仕事もこなす。

 それこそ、腕に自信があれば俺らみたいな事だってやる。


 ······。


「似てるな。たしかに」

「え?」

「いや、要は冒険者ってよ、何でも屋やりながらお宝探しする旅人って感じなんだよ。俺らはお宝は探さないし、旅もしないけどモンスターの案件に関しては何でも屋みたいなもんだと思ってな」

「たしかにー。スレイヤー屋と冒険者。似てるのかもね」


 もしシヴィが本当に俺らん所に立ち寄るなら、普段はどんな事して生計を立ててるのか改めて聞いてみるか。

 今後の商売に活かせるかもしれないからな。






 町へ戻り、木こりの代表の爺さんの家に行き、仕事を終えた事を伝えると、喜ぶより驚いていた。


「もう終わったのか? 二人しか居ないみたいだし、今日は偵察に行ったんじゃ······」

「いや、聞いていた規模なら俺らだけで十分いけると思ったからな。二人で倒してきた。後で数を確認してくれ。そこから三体を引いた数が俺らの討伐数だ」


 三体ほどはシヴィが倒したので、それは討伐数にカウントしないでおく。


「まさかもう解決してしまうとは······スレイアー屋と言ったか?」

「スレイヤーな」


 もっと印象に残る名前は無いもんだろうか。





 報酬金は確認後に受け取る事にし、俺らは一旦拠点へと戻る事にした。



 拠点に帰ってみると、既に庭でくつろぐフルト達の班の姿が見えた。


「おーい、帰ったぞー」


「あ、トレイル、フラン君。お疲れ様」

「二人とも、怪我は無い?」

「ただいまお帰りずら~」


 三人とも怪我も無いようで、元気そうであった。


 俺らは互いに仕事の達成の報告を行う事にした。


「そうか、お前らも無事に済ませたか」

「ターナ君が強くてね。ほとんど一人で倒してたよ」

「あんや~、ドワーフは力はあるで。それに、フルトさんとルッカさんの援護のおかげずら」

「わ、私はそんな······」


 思った通り、組み合わせが良かったようだ。前衛は一人だが、後衛の二人のサポートはバランスが良い。


「僕らの調査したところ、壁には問題無かったんだけど、グリードモールが通したらしきトンネルがあってね。そこから小型モンスターが侵入してきてたようだ」

「そうだったのか」


 まず、その辺りの事を詳しく聞く事にしよう。


 その後、先ほど出会ったシヴィの事や午後の仕事のメンバー決めについて話すとしよう。


お疲れ様です。次話に続きます。

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