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本日5本投稿予定です。

 



「お、おい。フラン。もうよくねえか?」

「まだまだ~! 後は~、カーテンでしょー。カーペットでしょー。あ、お洒落なスタンドライトも欲しい~」

「お前ってけっこう金遣い荒いんだな······」

「でもギャンブルじゃないもーんっ」


 そう言って軽やかなステップを踏んで俺の前を行くフラン。


 その両手は買い物袋を飼い慣らしているが、俺の方も、両腕と胸を荷物という恋人が独占している。


「な、なあ。少し返却しないか?」

「駄目っ! どれもこれも私が厳選した物ばかりだもん!」

「厳選ねえ······」


 両腕いっぱいのこれが選ばれし精鋭か。リミッターの外れた俺の幼馴染みはレベルが違うぜ。







 ワイバーン討伐を果たした俺らは、三日間休んで過ごした。ここんとこ働き詰めだったのと、ワイバーンとの戦いでの疲労を癒すためだ。


 討伐の翌日にマルセが報酬金を持って来てくれたのも大きい。これだけ金があるなら少しは休むか、という心境になったのだ。



 そして今日。フランが報酬金を早速使って酒場のリフォームを仕上げようと言い出して買い物に来たのだ。


 百貨店から商店街まで、とにかくショッピングモードに入ったフランは手がつけられず、荷物持ちの俺はギブアップ寸前だ。




「んじゃー、次は食料品かな。瓶詰めとかみたいな保存食買おっ!」

「高級品だなあ」

「もしもの時のためにね」

「ていうか、もうそろそろ持てないんだが」


 財布が軽くなるにつれて、俺の荷物は重くなるんだが。


「そだね。なら、一旦荷台に戻ろっか」

「うい」


 大量の荷物を持って、通りの端に停めてある荷車へと戻る。


「あっ、お帰りなさい」

「ごめんねー、待たせちゃって」

「いえ」


 荷車番をしていたナズに手伝って貰いながら、大量の戦利品を積んでいく。


「どうだ凄いだろナズ。ショッピングワイバーンの素材だ。これを集めるのは苦労したぞ」

「ふふ、お疲れ様ですトレイルさん。でも、フランさんもとっても楽しそうです」

「だな」

「ふんふふん、ふ~んっ! あはっ!」


 買った品を手に取りながら笑うフラン。鼻歌交じりの超ご機嫌だ。


「そんじゃ、一旦家に戻るか。ターナの奴も首を長くしてる事だろうし」

「そうだね。ふふっ、これターナちゃん用に買ったんだ!」

「底が深くてでかい皿だな」

「ターナちゃんはモリモリ食べるからね」


 俺が戦利品を載せた荷車を引き、その横にフランとナズが買い物メモをあれこれ書き込みながらついてくる。


「しかし、よく買ったなー。フラン、いくらぐらい使ったんだ?」

「2,000ゴールドくらい」

「マジかよ。パーっと使ったな」

「まあまあ、ほら、トレイルも言ってたじゃん。先行投資ってやつ」


 確かに。若干フランの趣味は入ってはいるが、買った物の大半は生活必需品や、酒場をまともな場所へと復活させるようや物ばかりだ。


 俺らの店も、ついでに酒場本来の機能を取り戻せたらいいなと話してたからな。


 しかし、酒場なのかモンスター討伐依頼所なのかよう分からん空間になっちまうな。


 まあ、これと言った決まりもない謎の商売なんだし、そういう変わったワークスタイルでいくのもアリだな。



「あ、おい。あそこ行くのって、ワイバーン倒した奴じゃ······」

「お、ほんとだ」


 歩いていたら、そんな声が聞こえてきた。


「あの二人がワイバーンを倒した二人か?」

「そうらしい。なんでも凄腕のハンターだとか」

「聞いたとこによると、貴族お抱えの傭兵らしいぞ」

「二人で倒したってのはデマで、本当はあの二人は騎士団の団長で、ナイト数十人を率いて討伐したって話だ」


 好奇の目と、勝手な噂が交わる中をフランはくすくだったそうに笑っていた。


「すっかり有名人になっちゃったね」

「だな。宣伝効果はバッチシ。と言いたいところだが、俺の店の話は立ってないようだなあ」


 俺らは有名人になったようだが、スレイヤー屋の名前は出ていない。少し複雑だ。





 家に着くと、やはりと言うか、ターナが庭先で待ち構えていた。


「みんな~! お帰りずら~!」

「ただいま~! ターナちゃん、お土産たくさんあるよー!」

「ほ、ほんとずら? 楽しみずら~」


 荷車を停め、皆で手分けしながら買い物品を酒場へと運び込んでいく。


「はい、これはナズちゃんとターナちゃん用のシーツ」

「ほんとですか? ありがとうございます! いいのかな、こんなに良いのを貰って」

「て、手触りがスベスベずら! これ、絹って奴ずら!?」

「あはは、絹ではないけど良い生地のを選んだよ。トレイルがね、どうせ長く使う物なら良いのを買おうってね」

「睡眠の質を上げる。それも仕事だ」


 まあ、関係ないと思うけど。

 個人的には、しっかり寝ると仕事が捗る気がするんだが、そんな妙な理論無いもんな。


「それじゃあ、フラン。レイアウトの構想は頼んだぞ」

「うんっ、任せておき!」

「店長はどっか行くだかや?」

「他にも買わなきゃいけない物があるからな。ターナとナズも一緒に来い」

「私達もですか?」



 留守はフランに任せ、俺らは荷車は持たずに普通に三人で買い物へ出た。


 まず向かったのは書店。魔道書や図鑑、さらには小説なんて洒落た物も売ってる。


「本を買うんですか?」

「オ、オラ、あんまし難しい本は読めねえだよ」

「字なら俺もフランも読めるから教えてやる。特にフランなら専門書レベルも読めるから安心しろ」

「トレイルさん、小説でも買うんですか?」

「俺の買い物じゃない」


 首を傾げるナズとターナ。


「この間ワイバーン騒ぎで有耶無耶になったんだが、今後の事を考えて専門書でも購入しとこうと考えていてな。ナズ用のポーションの本。それに、ターナ用にもモンスターの素材の保存法の載った指南書とかな」

「わ、私達のために?」

「本を買ってくれるずら?」


 驚く二人。


「でも、本は高級品ですよ? 特に専門書となれば······」

「だが、それに見合うペイバックは期待出来る。ナズがもっと色んな薬の知識を得て、それを使ってモンスターの素材をターナが保存加工すれば、今よりももっと稼げる。そうすれば二人の収入も増えるぞ。あ、そうそう。その辺りの事も帰って話そう。加工した素材を売った場合の分け前とかな」


 まだ戸惑うように、遠慮するような二人を促して一緒に本を見ていった。



お疲れ様です。次話に続きます。

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