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今週の土日のどちらかで終わる予定です。

 



「次は迷子の保護があたしらのクエスト?」

「そうだな······」


 モンスターは上級含めかなりの数を討伐した。俺らもそこそこ疲れてきている。しかし、依頼主からの頼みだ。


「パーヴォンを探そう。さっきの場所に居るはずだ。俺らも兵士を援護してやるぞ」

「あんたって意外に真面目だよねえ」


 すぐにさっきの激戦区へと戻ると、戦火はさらに拡大していた。


 ──ズドオオオンッッ──


 砲弾が物置小屋を吹き飛ばし、その破片と一緒にモンスターの肉片が散らばる。


「味方からの誤射で死んだら死にきれん。まずは兵士達と合流だ」

「おっけー」


 民家の屋根の上に登り、屋根づたいに走って兵士達の陣地へと接近する。


 遮蔽別の裏で弓矢をつがえていた兵士の一人が俺らに気づいて矢先を向けてくる。


「おーいっ! 人間だー! 射つなー!」


 こちらの呼び掛けが届き、他の兵士らも気づいて武器を別の方向に向ける。

 俺とシヴィは堂々と接近し、下へと降りて防御陣地に入った。


 すぐに近くの兵士が駆け寄ってくる。


「民間人か?! ここは危険だっ、あっちの避難エリアに向かえ!」

「俺らは冒険者ギルドってとこのもんだ。ついでに、俺は元軍属。この町に数ヶ月前まで居たぜ」


 そう言うと兵士が驚いて俺の顔を見た。


「あっ、そう言えばお前はどっかで見た覚えが······」

「トレイルって言うんだ。いや、そんな事より、戦況は──」


「ギャアアアアッ!!」


 戦況を細かく確認する間も無く、すぐ近くから恐ろしい悲鳴が上がる。


 振り返ると、前線に張っていた兵士の一人が地面に倒され、その上に覆い被さる茶色の体毛と四肢を持ったモンスター。


「デ、デスウルフがまた攻めてきたぞ!!」


 兵士らの間に恐怖が伝染していく。

 一頭だけじゃない。あちこちの陰からも殺気と眼光が鋭く瞬く。


「話は後だ!」


 兵士と別れ、群れて迫るデスウルフを迎撃しに走る。


「ぎゃあっ! た、助けッ······」


 また一人別の人間がその牙にかけられる。


「くっ!」


 全てをカバーする事は不可能だ。

 俺は一番近い砲兵を襲っているデスウルフへと肉薄した。


「せやあっ!!」


 目の前の獲物の肉に夢中になっていたウルフは俺の剣を避ける間も無く、急所を切断されて即死した。


 その下に埋もれた兵士の顔色を確認したが、その瞳は何も見つめておらず、最期の痙攣が始まり出していた。


「······」


『グオオウッ』


 背中に迫ったプレッシャーに身を捻りざま光の剣を振り抜く。


 小間切れになって落ちていくその肉を掻い潜り、さらに追撃してくる別の凶獣にも光刃を滑らせる。


 再び血が空も大地も染め上げて、次の唸り声が襲いかかってくる。


「ライトレイ・バニッシュ!!」


 その三頭目を二つに割った辺りで、ようやく迫る殺気は消えた。


「っ······!」


 他のウルフは未だ交戦中なのも居れば、シヴィの矢によって仕留められたのも居た。


『ウオオオオォォォン······』


 遠吠えが日没の底に響き渡ると、生き残った僅かなデスウルフ達が逃げ出した。

 ウルフだけじゃない。何体か残っていたモンスターらがその場から敗走を始めた。


「今だっ! 敵は崩れたぞ! 追撃だ!」


 指揮官の男が叫び、兵士が十数人ほど陣地から飛び出して追いかけていく。


 周囲の兵士達が負傷者を運び始める。


 辺りにはむせ返るような硝煙と血の匂いが漂い、苦痛のうめき声が夕闇の中を這いずり回っていた。


「はぁ、はぁ、はぁ、ふぅ······」

「おつかれ。大丈夫?」

「ああ······」


 シヴィが水筒を差し出してくれたので、ありがたく貰う。


「ンクンク······ぷはあっ。生き返った」

「珍しいね。あんたが息上がって冷や汗だなんて」

「ああ······。流石にな」


 まだ速い動悸を何とか落ち着かせる。


「ライトレイシリーズはとんでもない威力を誇るが、やっぱり負担はでかいからな。この町に来てからずっと連戦で、そこへきての使用だ。けっこう疲れるぜ」

「······そーんな事言わないの」


 パシッと背中を叩かれる。


「そんな弱音吐いてたらお父さんに笑われるよ?」

「いや、弱音っつうか······なんで親父?」

「なんでも。あ、そうそう。あっちに中隊長とかいう人が居るみたいだから、パーヴォンさんの事を聞きに行かない?」

「おう、そうか」


 陣地の奥に露店を使って作られた簡易的な拠点があった。至る所にシーツが敷かれ負傷兵が寝かされている。


「そこの裏に居るってさ」

「······」


 中隊、隊長。ルゴダ······。


 嫌な予感がするな。


 簡易本部の裏側に回ると、やはりというか、何と言うか。


「うぅ~、ぐうぅ~、ひ、ひいぃ~、し、死ぬうぅ~、だ、誰か、誰か~······」


 そこに居たのはかつての俺の上官。俺の属していた中隊の隊長ペストだった。

 簡易ベッドの上に寝かされ、血だらけの足を押さえてヒィヒィ泣き喚いている。


「し、死ぬ、死ぬっ······あ、足が失くなってしまう~っ、は、早く病院に連れて行ってくれぇ······」


「あー······。この人、かな? 隊長って」

「一応な」


 何とも言えない感情が湧いてきたが、かつての上司だ。一応話しかけてみる。


「あー。すんません、ペスト隊長。大丈夫っすか?」

「だ、大丈夫な訳ないだろう! 誰だっ、ふざけた事を抜かすやつ、は······?」


 俺の顔を見るやペストが固まり、目をひんむくように大きくした。


「げええっ?! ト、トレイル!? な、なぜ貴様がこんなとこにっ?!」

「あー、まあ色々あって。それより、戦況を聞きたいんすけど──」

「き、貴様のせいだっ! 貴様が軍を抜けたりしたからこうなったんだぞ! き、貴様が軍から居なくなったから俺がこんな目にっ!」


 クビを通告したのが誰なのかもう忘れたらしい。ボケるには早いな。


「えっと、隊長。ここに執行議員のパーヴォンって男性が来ませんでしたか? エルフの男性なんすけど」

「し、知るかそんな奴! 俺はそれどころじゃなかったんだ! し、死にかけたんだぞ俺はっ!」

「はあ」


 どうやら時間の無駄になりそうだ。


「仕方ない。探そうシヴィ」

「オッケー」


 そうやってその場を去ろうとした時だ。


「く、くそうっ、ス、スティングの奴っ······何が万事上手くいくだっ、ぜ、全然話が違うじゃないかっ······モンスターは我々には本気で攻撃してこないって言ってたくせにっ······」


 妙な事を口走るペストに思わず立ち止まる。



お疲れ様です。次話に続きます。

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