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知らぬ間に強くなっている皆

 ローズとアイリスの武器を買ってやろうと、色々と見ながら考えている。


 今は少しだけ問題が判明している。それはなにか。


 サイズが合わない。


 ローズにはダガーが似合うし使いやすいと思うので、問題は無い。


 あるのはアイリスの方だ。


 短い武器だと彼の戦闘スタイルに合わないし、斧の方が良いんだろうが、そのサイズがない。子供サイズが無いのだ。


 モンスター用の武具を用意してもらう事は可能ではある⋯⋯のだが、その場合アイリスを他の人に見られてしまう。


 それは困る。


 せめてアイリス達のような進化の方法が確定してありふれるまではできない。


 「困ったな」


 ライムに食べさせてサイズ調節してもらう事は可能だろうか?


 「お客さん。どうしたんだいそんなに真剣に悩んで」


 「あーえっとですね。⋯⋯子供サイズの戦斧ってありませんか?」


 「そんな探索者になれない年齢に合わせたサイズなんて、当然あるさ」


 あるのか!


 ギルドはダンジョンの総合管理を行っており、どんなサイズだろうが一応はあるらしい。


 ドワーフの種族などは低身長になる傾向の種族や、身長が伸びない人達のために用意されているらしい。


 これはありがたい。


 「だけど、誰が装備するんだい? ダガーも同時に買うようだが」


 「えっと⋯⋯」


 テイムしたモンスター⋯⋯で良いのかな?


 「探索者の手の内を聞くのはタブーだったな。世の中には知られたくない能力とかを持っている奴も多くいる。そう言う奴ほど出世するもんだ。頑張んな」


 「ありがとうございます」


 俺にそんな隠したい特別な力ってのはないんだけど⋯⋯隠したい秘密はめっちゃあるね。


 ダンジョンに入って、周囲を見渡せばユリ達が揃っていた。


 アイリスに斧を、ローズにダガーを与える。


 「すげぇしっくりくる。これならゾンビも真っ二つにできるぜ!」


 「感謝いたします主人。これを糧によりいっそうの⋯⋯」


 「おお! 重いぜ!」


 「お前も少しは礼を述べろ!」


 ローズが堅苦しい感謝を述べているのを、アイリスのテンションが邪魔をした。


 頭のてっぺんから生える角を捕まえて、無理やり俺に頭を下げさせる。


 「別にそんな堅くならないで良いよ。上下関係は薄くて良いんだ」


 「いえ。それはダメです主人。我々は主人が主人だから、常に強くあろうと思えるのですから。それに、そこまでかしこまってませんよ。壁を作るのは、自分も辛いですから」


 薄ら笑ったローズに俺は少し嬉しくなり、頭を自然と撫でてしまう。


 昔の妹を思い出しながら⋯⋯ユリが嫉妬の目を向けて来るので長くはできないけど。


 「良いな。姫様俺もっ!」


 「頑張ったらね」


 肩をポンポンと叩いて、ライムを抱き抱えて俺達は下の階層を目指す。


 配信を始めつつ、二層、三層へと降りる。


 「ヒャッハー軽い軽い!」


 アイリスが斧をブンブン振って、ゴブリンもウルフも真っ二つにしている。


 最初に仲間にしたコボルトも戦いたいのかうずうずしているので、ユリに視線を送る。


 「はい。仲間の管理は右腕である私の役目です」


 “頼もしい”

 “いつからそんな言葉を覚えたのか”

 “ユリちゃんも魅了に参加させたいな”

 “どうするんだろ?”


 ユリが高速でアイリスの背後に移動して、踏みつけた。


 ユリの仲間を管理する方法は⋯⋯基本暴力で沈める事だ。もちろん加減とかはしている。


 あくまで興奮を諌めるための攻撃である。


 「落ち着いた?」


 「⋯⋯はい」


 ユリの手加減(?)の攻撃を受けて落ち着いたアイリスを慰めるホブゴブリン達。


 その姿を鼻で笑うローズ派のホブゴブリン達。


 仲が悪い訳じゃないが、やはりホブゴブリンの中で派閥がある気がする。


 「これも進化に影響があるのかな?」


 分からんな。


 とりあえずアイリスに斧の感想を聞いてみた。


 「バッチリだぜ! 軽すぎないから重心が安定するっ!」


 暴れまくったアイリスは満足した様子でコボルト達にも自慢を始める。


 羨ましいそうだな。コボルトとゾンビだけで戦わせてみようかな今度の敵は。


 背後から魔法が接近して来る感覚がしたので、剣を抜いて斬り裂く。


 「これは懐かし⋯⋯そこまで時間は経ってないか」


 ダークウルフがそこにはいた。


 ホブゴブリン、ウルフ、コボルト、ゾンビなどの総勢30は超えている群れに良く飛び込んで来たな。


 感心しながら俺は近づく。


 “え、魅了しないの?”

 “ダークウルフは皆殺しだよね”

 “しゃーない。さすがに古参勢は魅了しろとか言えない。でもゾンビソルジャーは良いよね?”

 “魅了成分をください”


 俺が歩みを進めていると、ユリが裾を引っ張って止めて来た。


 「ローズの新武器との相性、ここで試します」


 「ユリ?」


 ユリが短刀を抜いて、ローズがダガーを抜いた。


 「行きます。ダイヤ達は周囲の警戒。コボルトとゾンビ達はダークウルフ戦をしっかりと観戦しておくこと」


 それだけユリは告げて走り抜ける。


 参考までに運命の魔眼で勝率を確認しておく。


 『ダークウルフ勝つ99%』


 なんでそんなギリギリ足りないんだ。いや、そうじゃないか。


 ユリとローズだけでこれ程までの勝率の高さに驚くべきか。


 “え、速い?”

 “成長しているとは思ってたけど、なんか成長速度が最近飛躍してない?”

 “技術が向上してるって感じかな?”

 “二人で圧勝してるな”


 ローズがダークウルフを翻弄しながら攻撃を入れる。


 コボルトの剣は大きかったから、ローズの全力は見れなかった。


 しかし、小さい武器となった今ではローズの真価は発揮されている。


 速度と小回りを活かした一方的な攻撃。張り付たように一定の距離感を保ち攻撃を回避している。


 誘導は考えず、来た攻撃を全て回避する。


 「ユリ様」


 顎を蹴り上げてユリに託す。


 壁を蹴って加速し、その顎に深い一閃を走らせた。


 血飛沫が舞い上がり、顎を閉じる事ができなくなったダークウルフは逃げる体勢に入る。


 「ローズ」


 「もちろんです」


 逃がさない、二人の思いは一つとなってダークウルフを追いかける。


 疲れにくく、そして速い走り方を覚えているのか、俺の知っている二人のスピードではなかった。


 「速いな」


 “サキュ兄が認める速さ!”

 “ダークウルフはもう敵じゃないね(フラグじゃないよ)”

 “ホブゴブリン達の実力が心配になってくるな”

 “ユリ達が強くなりすぎた感じかな?”


 追いついたユリとローズがトドメを刺して、二人でダークウルフの死体を運んでいる。


 「アイリス、運ぶの手伝ってやれ」


 「はーい」


 アイリスに運ばれた死体はウルフ達に肉を食われ、魔石以外の残った部分はライムが食べた。


 四層へと移動して、すぐさまコボルトの群れと遭遇する。


 さて、そろそろ視聴者に俺の上達した飛行技術を披露する時だろう。


 実は俺も、早く戦いたくてうずうずしている組の一人だったりする。


 剣に手を伸ばそうとするが、ユリが素早く指示を出した。


 指示に従い、一番最初にテイムしたコボルトとホブゴブリンアイリス派の面々が突進した。


 コボルトが高い身体能力を活かして、一体のコボルトを武器ごと粉砕した。


 残ったコボルトもホブゴブリン達の連携と技術の差によって圧倒し、倒していた。


 アイリス派だけど、アイリスよりもしっかりとした技になっている。


 「もしかして、この中で一番アイリスが脳筋なのか?」


 すごくリーダーっぽい感じだったのに⋯⋯まさかな。さすがにアイリスも技術の高さを感じさせてくれる戦いをしてくれるはずだ。


 戦斧じゃなくて、大太刀の方が良かったかもしれないとか、考えるんじゃないぞ俺。


 “ごめんなさい”

 “ホブゴブリン達も普通に強くなってた”

 “一体でコボルトを普通に倒せるレベルの実力はあるよね”

 “力はあっても技がなければ意味がない、だけどホブゴブリン達は大丈夫そうだ”


 “あれ? サキュ兄なんもしてなくね”

 “ついに魅了に専念する日が来たか”

 “みんな強くなってて嬉しいなり”

 “進化してないコボルトもしっかり強くなってる。ゾンビも見たいな”

お読みいただきありがとうございます

評価、ブックマークとても励みになります。ありがとうございます

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― 新着の感想 ―
[良い点] 全体的に面白く素晴らしいです。
[気になる点] ダークウルフに勝つのか ダークウルフが勝つのかが わかりにくいのでもうちょっと詳しく確率を書いた方がいいと思う
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