神々
コツコツと薄暗い廃墟に靴音が響く。
辺りには誰も人は居なく、寧ろ誰も通りはしないだろう。
そんな廃墟の一室のソファに少年が寝そべっていた。
本を開けたまま顔に乗せ、寝ている。
少年は何かに気づいたのか、本をどけて起き上がる。
すると錆び付いたドアノブが動き、ドアが開く。
「やあ、待っていたヨ」
やはり少年の片言口調はなおらない。
少年が持っている本をチラリと見るなり、男は静かに壁にもたれる。
夜の暗さの所為か男の顔は見えない。
「僕の言いたいこと分かるヨネ?」
男は顔をしかめた。
少年にはニコニコ笑っているが、内心は怒りを抑えていた。
『実の双子の弟』が仕出かしたことに。
「涙、のことか」
「そう。なんでいつも邪魔するのサ」
「あんたの思惑を潰すためだからだ。ルークス」
「へえ、双子の弟であり同じ『神』であるキミがボクに刃向かうノ?」
「刃向かったらどうなる?」
「ボクの片翼でもあるキミを潰すヨ?」
男の背筋に悪寒が走る。
少年は永遠にニコニコと笑っているがとんでもない殺気を纏わせていた。
「これは最後の忠告だよ。ボクの邪魔はしたら……殺すカラね、『ヴァトラー』」
そう言うと少年はトン、と足を鳴らし消えた。
そして男は苦虫を潰した顔で部屋を出るなり、何を覆い隠したように巻かれた包帯を強く結びなおした。
「ルークス……やっぱり君の好きな通りにはさせないよ」
ただ、そう呟いた。
。。。
「うわ、ありえん。か弱い女子にこの資料を完成させろってか!?」
「当たり前だ」
いつもの紫とのやり取り。
これは一日一回はしている。
「ホントにそれで異世界の天下を取るの?」
「ん? あぁ? 成り行きだよ、時間が何とかするって」
「これはダメダメ女王だね」
「うっさいな、あのな言っておくけど私はこれでも負けたことがないんだからな」
「知ってるよ。その絶対的自信があるから女王になったんでしょ?」
そう。
私は女王だ。チェスにおいてもだが女王は強い。あのキングよりもだ。
だったら、私だって強い。当たり前だ。
それでは、物語を語るとしよう。
『新たな女王のーーー涙の帝国の物語を』




