特別枠で女王-4
「だが、残念なことにその恋を妨げる国境というものがある、差別というものがある、力の差というものがある」
また黙り込む。
『あの世界』でも同じだからな。この条件は。
「ならば私がそれらを無くそう。だが、勘違いはしないでほしい。…私が狙うのはただ一つ」
国民の胸に疑惑が生まれていることだろう。
だが、そんなもの関係ない。
だってーー
「この世界の天下だ」
私が良ければ全て良しだもん。
またブーイングがくるかと思ったら逆に『新女王万歳!!』のコールが鳴り響く。
「さてと…どう仕掛けてくるかなあ?」
。。。
「かっかっかっ!! お主も面白いこと言うな! 風来…いや、涙よ」
「ていうかあれ、口から出まかせだし。まあ、成り行きで何とかするつもりだよ。桜宮 菊乃さん」
「おい涙!! 社長には敬語を使え!」
「かっかっか、別に構わんぞ」
べしっとデコピンを紫から喰らう。
目の前にはあの純情幼女ではなく、花魁のような艶かしい着物姿。しかもご立派な谷間が見えて艶かしいさが際立つ。そして手元には煙管。
隣には赤い着物姿の小さな女の子がまるで社長の命令を待つかのように目を伏せて立っていた。
「何せ、涙女王陛下だからね」
「うっさいぞ、駿。次言ったらぶっ飛ばすよ」
女王になったあの日から、街中を歩けば女王女王と言われるので嬉しくはないのだ。
「じゃが、まとまりがないのう。お主達。せっかくコンビを組ませてたというのにのう。そう思わぬか、椛」
「はい、左様で御座います。マスター」
命令を受けた少女、椛は目を半分開け答えた。
実はというとセレモニーが終わってから私は女王という身なので常に紫と駿に護衛してもらうことになった。
それから社長が面白がってコンビを組めなんて言ってきたのだ。(ちなみにラティは杏って人と時雨って人とコンビを組んでる)
しかもコンビを組んだチームは一つ屋根の下で住むことになっているから、紫の家に住んでいる。だからなかなか自由にできない。
しかも何かと規則正しいことをしろってうるさい。
だから逃げて三戸さんの家に泊めてもらうことが多々ある。
「では今後の活躍、期待しておるぞ。涙、駿、紫」
「はいっ」と紫。
「はぁーい」と駿。
「ほいほい。ねえ椛ちゃん、プリンある?」と私。
げんこつが飛んできた。