「東の国」
城の広間。
東の戦線から兵が戻り、虎次郎も帰ってきた。
きらりは、戻ってきた虎次郎をじっと見ている。
「虎次郎」
「はい、姫様」
「東の国は強かったか?」
「……強かったです」
「やはりか」
「はい」
「どのくらい?」
「かなり、としか申し上げられません」
「虎次郎が苦戦するくらい?」
「私一人で戦っていたわけではございません」
「そうじゃった」
「ですが、手強い相手でした」
「卑怯なことは?」
「ありませんでした」
「ほう」
「正面から来て、正面から戦う」
「格好よいのう」
「……敵ですけどね」
「でも、正々堂々としておるのじゃろ?」
「はい」
「では、少しくらい褒めてもよいではないか」
「姫様は敵を褒めすぎでございます」
「強い者は褒めるものじゃ」
「そういうところは姫様らしいですが……」
「虎次郎は嫌いか?」
「東の国が、ですか?」
「うむ」
「敵ですから、好きではありません」
「でも、嫌いでもない?」
「……」
「どうじゃ?」
「戦ってみて、分かりました」
「何が?」
「強い相手には、敬意を払うべきだと」
「うむ」
「ですから、嫌いかと聞かれれば……」
「うん」
「嫌いではありません」
「そうか」
「ただし、味方になりたいわけではございません」
「そこまで言っておらん」
「姫様なら言いそうなので」
「失礼じゃな」
「申し訳ございません」
「では、東の国が降参したら?」
「そのとき考えます」
「私は仲良くしたい」
「まだ戦っております」
「そうじゃった」
「はい」
「では、もう少し戦ってから考えよう」
「……姫様、そういう問題ではございません」
「そうか?」
「そうでございます」




