表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『今日もシフト、被ってます。』  作者: ともり。


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
16/16

最終話 「今日もシフト、被ってます。」

## 最終話 「今日もシフト、被ってます。」


 春翔と付き合い始めて、一ヶ月。


 特別何かが変わったわけではなかった。


 同じ店で働いて、

閉店後に話して、

たまに一緒に帰る。


 でも。


 小さな違いは、確かに増えた。


「悠真さん、ぼーっとしてる」


「してない」


「今、俺のこと見てましたよね」


「見てない」


「嘘だ」


 カウンター越しに春翔が笑う。


 その距離感にも、

もう少し慣れてきた。


 ——いや、まだ時々心臓に悪いけど。


「二人、最近空気やばいよね」


 レジ横で後輩バイトがニヤニヤする。


「前より隠してない感じする」


「そう?」


「そうっすよ」


 悠真は否定しようとして、

やめた。


 たぶん最近、

顔に出ている。


 春翔がいるだけで、

普通に嬉しい。


 それを隠す意味も、

もうあまりなかった。


 営業後。


 最後の客を見送り、シャッターを下ろす。


「お疲れさまでしたー」


 他のスタッフが帰っていき、

店には二人だけが残った。


 静かな閉店後。


 最初の頃から、

ずっと好きだった時間。


「なんか不思議ですね」


 洗い物をしながら春翔が言う。


「何が」


「前とやってること、ほぼ変わんないのに」


「……まあ」


「でも前より、ちゃんと特別。」


 春翔は少し照れたように笑った。


 その顔を見るたび、

今でも胸が苦しくなる。


「悠真さん」


「ん」


「今日、シフト被って嬉しかったです」


 さらっと言う。


 本当にずるい。


 悠真は小さくため息をついた。


「……俺も」


「え」


「嬉しかった」


 春翔が目を丸くする。


「珍しい。ちゃんと言った。」


「たまには」


「やば。今日記念日だ。」


「大げさ」


 春翔が声を出して笑う。


 その笑い声が、

静かな店内によく響いた。


 たぶんこれから先も。


 就活とか、

仕事とか、

環境とか。


 いろんなものが変わっていく。


 でも。


 シフト表を見て、

同じ名前を探してしまう気持ちは。


 きっと、しばらく変わらない。


「悠真さん」


「何」


「来週も被ってますよ」


 嬉しそうに笑う春翔を見て、

悠真も少しだけ笑った。


「……知ってる」


 閉店後の静かな店。


 最初と変わらない景色の中で、

二人の距離だけが、

少しずつ変わっていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ