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昭和から来た男7/9

日の出と共に農作業小屋を出る。群がっていたモンスターのうち、アンデット系は朝日に照らされ燃えていた。くもやクリーパーらは軽くひねって倒してしまう。


昨日はあのあと、マサキ・ヤスヒコは泣き続け、しまいには寝やがった。いびきがあまりにも五月蠅いんで頬を張ったけど、ウィードのせいか全く起きやがらない。


しょうがないんで、二階に上がって寝ることにした。そこでは銅ゴーレムがせわしなくラージチェストの整理をやっている。気になるかと思いきや、キュッポ、キュッポ、キュッポと鳴る足音に癒され、かえってよく眠れた。


すがすがしい気分で昨日言われた森の整地を始める。森の伐採や土地を平地にするのはレシピブックを使えば簡単だ。ただし、繰り返しの単純作業に嫌気がささなければ、ではあるがね。


僕は大丈夫な方だ。単純作業の中でも楽しみを見つけられる。上空から見れば分かるように木の伐採あとをニコちゃんマークにするとか、インベントリの一スロットを何分で一スタック埋められるとか。


もちろん、湧き潰しも並行してやっていく。松明の材料である石炭は農作業小屋の二階で大量に確保していた。棒は森の伐採で事欠かない。


湧き潰しをやってたとしても、モンスターの襲撃がなくなるってわけではない。森の奥からやって来る。森を切り開いていけばいくほど襲撃の頻度は減ってくのではあるが。


作業は順調で日が天頂にあがる頃、森の整地は完了した。マサキ・ヤスヒコはというと起きていた。農作業小屋の中でネームタグに動きがあることは把握している。


あっちの方もあっちの方でこっちが気になるのか、うろうろ歩き回っていたと思ったらちょくちょく農作業小屋から顔を出していた。整地が終わったのも分かっていて、早速僕の前に現れる。


「よくやった、死刑囚改め下僕。次はここに動物小屋を建てろ。ここら一帯の動物を全てここに集めてその動物小屋に入れるんだ」


そう言うとマサキ・ヤスヒコは農作業小屋にはいかず農道を進んで行った。道すがら設置されている鐘という鐘をガンガン鳴らして行っている。遠くから鐘が鳴る感じからハトヤに戻ったのはうかがい知れる。


「ウィード畑を広げるんじゃなくて、動物小屋?」


ちょっと拍子抜けした。農業の方が順調なんで畜産でも始める気かね。


作業台でクラフトした柵を整地した土地にぐるりと大きく巡らす。さらにそれを柵で短冊状に六等分した。


六つの区画のおのおの半分を、日の当たるスペースにする。残りは雨除けのスペースにするため柵の外側どうしを跨ぐでっかい平屋を建築し、その屋根で全ての区画の半分を覆う。


箱が出来たからには早速入る動物だ。農作業小屋にいく。二階で糸を大量に手に入れると作業台でリードを一スタック、クラフトする。


走り回って動物を探していたらそれこそ何日もかかる。飛翔魔法で上空高く舞い上がった。辺り一面を見回す。牛の群れ、豚の群れ、羊、ヤギ、馬、鶏と、それぞれの生息位置を確認した。


まず、牛だ。そう遠くない野原に三十頭ほど集まっている。そこに舞い降りると片っ端からリードを掛けていく。


群れからちょっと離れていたやつも含めて結局三十二頭いた。レシピブックでクラフトしたリードの効力で牛はなんら抵抗せずに素直に僕に従う。


大勢引き連れて動物小屋に着く。柵を開け、全頭を一区画に入れる。次は豚だ。今度は飛ばず、俊足を生かして現地に赴く。そうそう飛翔魔法は使えない。マサキ・ヤスヒコにでも見られたらやっかいだ。そうやって豚、羊、ヤギ、馬、鶏と次々に動物小屋の柵の中に移動させていった。


日は西に傾いていた。夕方までにこの辺の動物は全部集められたと思う。ガンガンと遠くから鐘を鳴らす音が聞こえた。マサキ・ヤスヒコが今日の成果を確認しに来たのだろう。鐘の音はどんどん近づいて来る。


「なんじゃこりゃぁ!」


動物小屋を見たマサキ・ヤスヒコは剣を手にすると僕に切りかかって来た。当然、僕は避ける。勢い余って剣がズガッと地に刺さる。


なんで? 普通、喜ぶでしょうが。おまえならこんなん一日で出来やしない。


「どういうことですか。一生懸命やりましたが」


「思ってたのとちがぁーうっ!」


えっ?


「鶏は別だろうがよ!」


はぁ?


「鶏は卵を産む。な、そうだろ」


あ、哺乳類と鳥類を分けろってことか。けどそこ、こだわるとこか?


「三分間待ってやる」


えっ?


「鶏を移せ」


マサキ・ヤスヒコは少し離れた空き地を指差した。


「鶏小屋はあそこだ」


あそこに作れっていうのか? 今すぐに?


「スタート!」


ついうっかり、反射的に走り出してしまった。鶏小屋の建築に取り掛かる。材料はある。けど、いきなり鶏小屋っていってもな。案の定、出来上がったのは豆腐建築。


動物小屋に戻り、鶏区画に入ると鶏に片っ端からリードを掛けていく。


柵を五グロックほど記号化してインベントリに収納、鶏の通す道を作る。四十二羽全て連れ立って鶏小屋に入った。


「よし、三分!」


勢いでやらされてしまった。マサキ・ヤスヒコはというと面白くないようだった。腕を組んで、ふんと鼻を鳴らす。


「次! 朝までにダイヤ三十個な」


「えっ? えええええ!」


のんびり農家、ブラックで草


「スタート!」


今度は乗らない。


「あ、いやいやいや。行けっつったって。ツルハシとか、装備とか、準備が」


もちろん言い訳だ。そんなの無くたってどうにでもなる。


「四十秒で支度したくしな!」


四十秒ってなんなん。キモイ。三十秒でいいじゃん? しかも、語尾が女言葉!?


あ、でたよ! あれな。宮崎駿のセリフ名言集。


女海賊船長で草


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