表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/16

社会貢献を語る男4/10

インベントリのホットバースロットから鉄のツルハシを取った。人一人入れる大きさで壁を抜く。向こう側は真っ暗闇。全くの湧き潰しなしだ。


いよいよもって怪しい。鉄のツルハシを松明に持ち替え、くり抜いた入り口をくぐる。松明の炎で照らされたそこは巨大空間。底は真っ暗で何も見えない。松明を下にかざして覗き込む。


モンスターが地獄の亡者のようにうごめいている。広い洞窟なのに身動きが取れないほど溢れかえっていた。やっぱりだ。


モンスターハウスで草


それも超巨大モンスターハウス。金が取れるのでいい気になって掘り進んだらここにぶち当たった。おそらくは多くの鉱員たちがここで命を落としたのだろう。それでもローランド・アドラムはまだ諦めきれてない。


にしてもだ。僕は素人のていでこの開拓地にやって来た。その素人にこれはないだろ。“富裕層はお前に手を差し伸べるだろう”ってよくもずうずうしく言ったもんだ。やってることはごみを捨てるように人の命をポイだ。


ほら、言わんこっちゃない。モンスターたちは僕の存在に気付いたようだ。洞窟はすり鉢状にえぐられていて、まるで王都のスタジアムのよう。僕のいる位置はそれで例えるならコスパ最高の外野最上階C席。


悪路に強いクモが真っ先にすり鉢状の斜面を僕に向かって登って来る。体長は人ほどの大きさだ。頭胸部と腹部で構成された体から八本の足が生えている。全身真っ黒で光るガラス玉のような目を六個持っていて、クモの巣を張り、人の動きを奪う。


大きさはともかく、見た目はほとんどクモだ。ただ、普通のクモと違うところは暗がりに湧く。


歩くとカサカサ音がして、キーキー鳴き、ガーっと吠えるのもモンスターである所以だ。そのクモが一匹や二匹ではない。地面が真っ黒に変わるほどの数で押し寄せる。僕はまとっている魔力に火炎耐性効果を最大レベル+99で付与する。


更に魔法を発動した。砲丸投げの鉄球ほどの単純なファイヤーボールだ。それを六つ、頭上に浮かせる。


一個づつ、洞窟の底へ投じていく。一個落ちるたびに燃え上がる炎と闇に浮かび上がるモンスターたち。その断末魔が洞窟に響く。


六つ投じ終えると、洞窟の底は火の海だった。まだ多くのモンスターはすり鉢状の斜面に張り付いて生きながらえている。迫りくるクモなぞはほとんど無傷だ。


俱利伽羅龍王くりからりゅうおう


そう唱えると指先をくるりと回す。洞窟の底に広がっていた炎が一点を中心に渦を巻き始めたかと思うと上へ上へと伸びていく。劫火は柱状になって、壁にへばり付いているモンスターを吸い込んでいく。


凄まじい熱気が洞窟の中を焼いた。空気も膨張している。これ以上は洞窟自体を破壊しかねない。魔法を解く。僕の背中にあった壁がドンッと音を立てた。


壁は消えてなくなっている。吹き飛ばされたんだ。熱気は煙突効果で僕が来た洞窟を伝って外へと逃げていく。


凄まじい熱風の中に真っ向から立つ。僕の周りを灰となった多くのモンスターらが次々と飛ばされていく。


洞窟の底は元の真っ暗闇に戻った。ほっとしてはいられない。モンスターが湧く前に湧き潰しをする。すり鉢の上から緩やかな螺旋を描いておりつつ大量に持ってきた松明を等間隔で地面に刺していく。


かくして洞窟の底に松明の灯りが届く。もうすでにモンスターは湧いていた。ある程度はしょうがないにしてもどうだろう。明らかに、今湧いたにしては数が多い。


目を凝らして底の周囲を観察する。すり鉢状の斜面を透き通し、チェストをかたどって黄色にマークされた箇所が六つあった。


場所的には二つづつの三か所。ちょうど底付近に洞窟の口が二つ、少し上がったところに一つ。どの洞窟からも次から次へとモンスターが姿を現している。そういうことか。


スポナー部屋がある。それも三つ。


スポナーとはモンスターを沸かせる魔族の魔導具で、それが置かれた部屋には多分に漏れず一個か二個チェストがある。かつて繫栄した魔族の遺物だ。状況からも、もう間違いない。モンスターハウスの原因はそれだった。


湧き潰しはあくまでもモンスターが湧いて来るのを防止するためのものだ。湧いたやつを消すわけではない。明るくなったとしても巨大洞窟に繋がる洞窟にスポナーがあれば、巨大洞窟はまたモンスターハウスになる。


三つのスポナー部屋を潰す。先ず僕から一番近い位置の洞窟だ。出口から吐き出されているのはゾンビばかりだった。間違いない。ゾンビスポナーがあるスポナー部屋に繋がっている。僕はまとっている魔力を光属性に転化させた。


これで十分。後は何もする必要がない。ゾンビは僕に触れると勝手に燃え上がってくれる。太陽が弱点で、襲って来るのは複数同時。普段はうーうーうめいて、ダメージが入るとグワッと鳴き、断末魔はグガーだ。


狭いスポナー部屋にゾンビがひしめいていた。ちょいとごめんよってな感じでうーうーうめくゾンビにどいてもらい、スポナーの前に立つ。立方体の鉄かごの中に記号化したゾンビが浮いている。


そこにブスッと松明を挿す。これでゾンビの大量発生は止まった。スポナー部屋にいるゾンビはどれもグガーって叫び、燃え上がっている。せっかく来たんだ。チェスト二つとも中身を頂いておこう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ