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視える転生令嬢は悲劇のヒロイン(!?)なお父様を救う為に魔女様に弟子入りします!!  作者: 彩紋銅
四部

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100 奇妙なメンバーでお出かけ

 ◇◆◇


 その週の土の日。


「ただいま、シンシア」


「おかえり、アンディ君」


 アンディ君が帰ってきた。

 数日ぶりに見たアンディ君は、ますます男らしくなっている気がする。

 貴族が着るような平服を着ており、アッシュグレーの髪は少し伸び、一つに結んでいる。

 リボンには、昔ネロに買ってあげた赤色の方の、お守りリボンを使っていた。ネロが貸してあげているらしい。

 青い方もあるからね。有効活用してくれて嬉しいよ。


 会う場所が王宮の客室というのも、なんだか変な感じだ。二年前の裁判のときを思い出すけど、本人は特に気にしてないらしい。

 まあ、二年も経てば内装も変わっているしね。


「シンシアの方は……」


 アンディ君が私の後ろを見る。

 その視線の先には、私の後ろにいるパーガトリー君がいる。


「アンディ君も……」


 アンディ君の腰の辺りには、白髪褐色の女の子が抱きついている。

 白い髪に褐色の肌、青い瞳の可愛らしい女の子だ。

 頭の上のケモ耳とフサフサの尻尾が、彼女が獣人であることを物語っている。


「なんだか……」


「お互い、大変なことになったよね……」


「お名前言える?」


 女の子に目線を合わせて、聞いてみる。


「あたち、プニャーレ! よろしく!」


「私はシンシア。よろしくね、プニャーレちゃん」


「うん」


「こちらは、パーガトリー君。カプセラ伯爵領で発見された、巨大ゴーレムの本体的な部分らしいわ。生体ゴーレムなんだって。

 パーガトリー君。こちらはアンディ君。私の婚約者よ」


「おお、主殿の婚約者か、よろしく!」


「よろしく。……主殿?」


「えーと、とりあえずお茶にしましょう」


 侍女さんにお茶とお菓子を用意してもらって、ささやかなお茶会。


「それにしても……この子が本当にネロなの?」


 プニャーレちゃんは、美味しそうにクッキーを食べている。


「うーん。本人というわけではなく……」


『オレ様の〝化身〟の立場を奪われた感じだな』


 アンディ君の影が、伸びて影絵のようにネロを形作る。


「あら、ネロ。元気そうね!」


『ちっとも、元気じゃねーよ! この状態だと、何も食えねーんだからな!』


「ダイエットね!」


『魔剣がダイエットして、どうすんだよ!』


「おいし〜」


『は? おまえ、早く代われよ!』


「やだ〜」


 影絵ネロがプニャーレを睨みつけているが、プニャーレちゃんはまったく気にしていない。結構肝が据わっている。


 あ、でもアンディ君の〝ネロ武器による試練〟は、かつてその武器を使っていた印象的な人物を複製して試験官(守り手)にしているってネロが昔言ってたから、この子もネロ武器を使っていた人物ってことよね?

 それは……


「それで、その、パーガトリー殿はシンシアとどのような関係なのですか?」


 アンディ君が、パーガトリー君を睨んでいる。


「シンシアは、自分の主人だ。彼女に魔力を与えてもらったおかげで、今の自分がいる。大切な存在だ」


「へぇ〜〜?」


「え〜と? それで、この後どうする?」


 いつものデートプランなら、買い物と食事をする感じだけど。


「そうだね。シンシアと一緒の時間を楽しみたいけど、僕はプニャーレと、あまり離れられないし……」


「主殿どこかに行くのか?」


「う、うん。アンディ君と一緒に……」


「なにっ!? 自分も行くぞ!」 


「……」


 いや、勝手に貴重なゴーレムを連れ出すのは良くないか。


「えーと、ジャイルズ様に確認してみよう!」


 ◇


「いいですよ。ただ、護衛はつけますけど。あと私も行きますね!」


「ええ!?」


 ジャイルズ様は意外にも、パーガトリー君の外出許可を出してくれた。


「現世の街並みを歩く古代の生体ゴーレム、いいじゃないですか〜」


 そうして四人とジャイルズ様、そして護衛の皆さんでデートとなった。


 なんだか、大事になってしまって申し訳ないな〜。


「とりあえず、大人数だし植物園にでも行く?」


 アンディ君は土の日の午前中にこちらに来て、陽の日の夕方に魔王国に戻る。

 いつもなら、土の日は街に出てデートをして、陽の日は魔女工房などでまったり過ごすのが日課だ。


 だけど、護衛もいるとなると、普通のお店に行くのはお店の方に迷惑がかかるのでは?


「そうだね。プニャーレもいるし。……合わせてもらっているようで申し訳ないけど……」


「いいんだよ。最近は忙しくて、植物園にも行けていないしね」


 この国、娯楽ってあまり多くはない。

 他の国は分からないけど、家族で行けそうな娯楽施設といえば、植物園や博物館に美術館。あとは、観劇くらいかな。演目にもよるけど。


 その中でも小さな子供も楽しめる施設は植物園くらいだ。

 博物館は前世の世界だと子供でも楽しめる施設だが、こちらの世界だと、専門的すぎて子供にはあまり人気がない。美術館もね。


 なので、小さな子供と一緒だと、必然的に植物園になってしまう。


 ちなみに、植物園は基本的には予約制だが、余裕があれば当日券も発行される。


「じゃあ決まりだね」


 ◇


「きゃ〜、すっごーい。なにあれー」


「おい、プニャーレ、待て! 走るとあぶないぞ!」


「あ、アンディ君!」


「え? うわ!?」


 プニャーレちゃんが、さっと避けてしまったので、アンディ君は落ち葉の山に突っ込んでしまった。


「大丈夫?」


「あ、ああ。ありがとう」


 アンディ君を助け起こす。


 現在、植物園では〝落ち葉遊び〟というイベントが開催されていた。

 内容は、落ち葉や木の実で工作をしたり、広場で落ち葉で遊んだりできるらしい。アスレチックも設置されている。

 まあ、子供向けのイベントだね。

 巨大な温室内で行われているので、天候にも左右されないので結構人気のようだ。


「あ、こら、プニャ! そんなところに登るな!」


「あははは〜」


 プニャーレ……プニャちゃんでいいかな。プニャちゃんは、落ち葉遊びを大いに楽しんでいるらしい。

 というか、身体能力が高すぎる。木登りまで!?

 獣人って凄い。


「主殿よ、これはなんだ?」


 パーガトリー君は、ワークショップに興味があるらしい。


「木の実や木製のビーズでアクセサリーとか作れるみたいだね。何か作ってみる?」


「いいのか? では……」


 子供向けのワークショップだけど、まあ、私たちも子供みたいなものか。


「なにやってるの〜?」


「木の実や落ち葉で色々作るんだって。プニャちゃんもやってみる?」


「やるー!」


「はあ、はあ、やっと追いついた……」


 アンディ君はプニャちゃんに翻弄されまくって、体のあちこちに落ち葉をくっつけている。


「アンディ君、お疲れ様」


 体についた葉っぱを取ってあげながら、アンディ君を労う。


「ありがとう。シンシアは楽しめてる?」


「うん。みんなでワイワイするのも、楽しいよね!」


「そうだね」


 そう言って、アンディ君も笑う。


「僕たちも何か作ってみる?」


「うん」


 ワークショップでは木の実を使った、小さなリースやオーナメント、アクセサリーやキーホルダーなどを作れるらしい。


 私は木の実で、ペンダントでも作ろうかな〜。


 私は大きめのどんぐりみたいな木の実に、イラストを描いてみる。

 こういうの、前世にもあった気がするな〜。

 前世は子供の頃の家庭環境がよくなかったので、私はやったことはないけど。


 でも、どんぐり(かどうかは分からないけど)に描くものといえば、あれしかないよね?


 ──というわけでできました。

 某、森の中に昔から住んでいる不思議な生き物! 

 トット□、トット□!

 歯を見せて笑っている表情にした。初めて描いたにしては、上手いのではなかろうか?


 どんぐりにはすでに、丸カンなどが付けられているので、後はペンダント用の紐をつけるだけだ。

 私はどんぐりに合いそうな、革製の紐を使うことにした。


「シンシアは何を作ったんだ?」


「え? えーと……」


 あ、あの不思議な生き物なんて、こっちの世界にはいないから、なんて誤魔化そう?


「……猫? かな?」


 いや、猫ではないのか? 分からんけど。


「な、なるほど……? ふふ、独特で、かわ、いいね……!」


「あ、ちょっと笑うとか!」


 こういうキャラクターなんだから、仕方ないんだよ!?


「ごめん、ごめん! でも、あははははっ!」


 どうやら、アンディ君のツボに入ってしまったらしい。


「も〜、そういうアンディ君は、何を作ったのさ〜」


「こ、これ!」


 アンディ君が作ったのは、梟をモチーフにしたブローチだ。

 木の実と木製のボタンで、器用に梟を形作っている。

 秋色のリボンと組み合わせており、なかなかセンスがいい。


「ぐぬぬ、負けた……」


「別に勝負はしていないけどね……くふふっ」


 アンディ君、まだツボにはまってるな……


「できたー!」


「自分も」


 プニャちゃんと、パーガトリー君も完成したらしい。


「へー、どれどれ?」


「これー」


 プニャちゃんが作ったのは、木の実盛り盛りのミニリースのキーホルダーだ。子供らしいダイナミックなデザインをしている。

 それでいて、少しくらい乱暴に扱っても木の実が取れないように工夫されていた。


「よくできてるね。パーガトリー君は……え!?」


 そこにあったのは、木の実や木製ビーズやボタンなどで精巧に作られた猫だった。

 ちゃんと木の実の色合いを変えて、ハチワレ具合が再現されている。


「す、凄い! この短時間で!?」


「主殿が仮契約している、あの精霊猫を再現してみた。どうだろうか?」


「す、凄いけど、()()()()よ……」


 いかん、語彙力がどっか行った。


「では、これは主殿に!」


「私に!?」


「え? いや、そこは婚約者の僕が……」


「あたちもあげる〜」


 いや、私だけもらっても不公平だよ? 


「あ、だったらみんなで交換しよう!」


 クリスマスのプレゼント交換みたいに!

 これで全員にプレゼントが行き渡るね! 決してオレオール(木の実製秋モデル)を回避したいわけではない!!


「主殿がそう言うなら」


「おもしろそー」


「うう、仕方ないか……」


 そうして、一同で作ったものをぐるぐる回し、それぞれに行き渡ったのだが……







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