582話 冒険者ギルドへ
「ふむ。ここが王都の冒険者ギルドか」
俺たちは王都の冒険者ギルドに到着した。
全員でぞろぞろと中に入る。
とりあえず、受付嬢に声をかけるか。
「よう。初めましてだな」
「はい。いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょうか?」
「明確な用事はないんだけどな。諸々のやり取りを済ませるために寄ってみた。あくまでついでだな」
俺たちがエルカの町で討伐した『毒蛇団』。
これはウルゴ陛下からの勅命であると同時に、形式的には冒険者ギルドからの依頼でもある。
勅命の達成に対する報酬は陛下との謁見の場で通達されるだろう。
しかしそれはそれとして、冒険者ギルドからも一定の評価や報酬が与えられるはずだ。
「ついで、でございますか? 王都にある冒険者ギルドは、この国で最も大きいのですが。それをついでとは……」
「そう言われてもな。俺たちは別件でここに来ているんだ。その隙間時間を利用して、ちょっと顔を出させてもらっただけだ」
「……はぁ。左様でございますか」
受付嬢が少しだけ不機嫌になる。
ちょっと失敗してしまったな。
彼女にとっては、このギルドがホームグラウンドなのだ。
そこに、余所者が割り込んできて好き勝手言っているように感じるのだろう。
配慮が足りなかった。
俺がフォローの言葉を口にしようとした時――
「おうおう! 余所者が生意気言ってんじゃねぇぜ!!」
「ガキどもが調子に乗ってんなぁ!?」
「ここはお前みたいな連中の来るところじゃねーんだよ!」
……と、柄の悪い男たちが絡んできた。
おそらく冒険者なのだろうが……。
雰囲気だけで実力不足だと分かる。
装備も粗末だし、振る舞いも雑だ。
「おい、小僧! 痛い目に遭いたくなければ、大人しく土下座しな!」
「ギャハハハハ! 金目のものも出しやがれ!」
「そうしたら命だけは取らないでやるよ!」
……うん。
完全にチンピラだな。
俺は溜息をついた。
こういう輩には、あまり関わりたくないのだが……。
「はぁ……。仕方ない。みんな、下がっててくれ」
「ご主人様……。わたしが蹴散らしましょうか?」
「いいや。この程度の相手なら俺一人で大丈夫さ」
俺は一歩前に出た。
そして、チンピラどもに向き合う。
「へへへ……。いい度胸じゃねぇか」
「よく見りゃ、パーティメンバーは全員女か! なぁ、ちょっとばかし貸してくれないか? 一週間ぐらいで返すからさ」
「ぎゃははは! その頃にはガバガバになっているだろうけどな!」
「…………」
俺は思わず閉口してしまう。
彼らのガラの悪さにドン引きしているのだ。
しかしそんな俺をみて、ビビっているとでも勘違いしたのだろうか。
男の一人が近づいてくる。
俺の肩に手を置いて、耳元で囁いた。




