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232話 今回は見逃してやることにしよう

 『黄昏の月』のナンバーズと名乗るリリアナの誘いを断った。

 彼女が杖を構え、再び臨戦態勢を取る。


「《メテオストライク》!!」


 直後、上空から巨大な岩石が落ちてくる。


「なっ!? みんな、伏せろ!!!」


 俺は叫ぶ。


「判断が遅い」


 ドガアァン!!!

 轟音とともに、俺たちは吹き飛ばされる。


「ぐあっ!」


 俺は地面に転がった。

 慌てて周囲を確認する。

 なんとか、全員無事のようだ。

 だが、今のでかなりのダメージを受けてしまった。


「く、くそ……」


 俺は起き上がる。

 全身が痛い。

 骨が何本か折れているかもしれない。


「ほう。今のを耐えるとは、なかなか頑丈な奴らのようだな。やはり見どころがある」


 リリアナが言った。


「ここで殺すのは惜しいな。……今回は見逃してやることにしよう。次に会うときには、私の仲間になってくれることを期待する」


 リリアナがそう言う。


「いいのですか?」


「構わん。目的は達した。それに、こんなところで要らぬ体力を使っている場合でもないしな」


 ザードの問いに、リリアナは答えた。


「なら、そういうことで。みなさん、また会いましょう」


 そして、二人は去っていく。


「くっ……」


 俺は歯ぎしりした。

 悔しいが、何もできなかった。

 あんなやつらに後れを取るとは……。


 いや、気持ちを切り替えよう。

 厄介な相手が自分から撤退してくれたのだ。

 今はそれでよしとするべきだ。


「ご主人様!」


「コウタくん!」


 シルヴィやミナたちが駆け寄ってくる。


「ご無事ですか!?」


「ああ、なんとかな。それより、みんなこそ大丈夫か?」


「はい。少し怪我はしましたが、問題ありませんわ」


 ローズが答える。


「あたいも平気だぜ」


 リンは服についた土埃を払っていた。


「僕も大丈夫。でも、あんなにたくさんのゴーレムが襲ってきたときはびっくりしたよ」


 ユヅキが言った。


「わたしは全然ダメでした。あの二人は強すぎます。ご主人様の足を引っ張ってしまい、申し訳ありません」


 シルヴィがションボリした顔でそう言う。


「いや、シルヴィはよくやったと思うぞ。氷魔法の威力があったからこそ、あいつらも攻めきれなかったという面はあるだろう。シルヴィは今のままでも十分だ」


「そんなことないです。わたし、もっと強くなりますから!」


「そうか。俺もまだまだ上を目指す。いっしょに頑張ろうな」


「はい!」


 俺の言葉を聞いて、シルヴィが笑顔になった。


「とりあえず、一件落着ってことでいいのです?」


 ミナが言った。


「そうだな。思わぬ横槍が入ったが、黒狼団は無事に壊滅させたし」


「……とりあえず拘束して、アルフヘイムに連れて行こう……」


「それがいいね」


 ティータとユヅキがそう言う。

 俺たちは気絶したままの盗賊たちを縛り上げる。

 激しい戦闘により何名かは死んでいたが、こればかりは仕方ない。

 そして、アルフヘイムに戻り始めたのだった。

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