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12話 白狼族の奴隷シルヴィとの主従契約

 ルモンドとの相談の結果、シルヴィを購入する方向性で話を進めることになった。

 『高めの利子』『シルヴィに肉体的に手を出さないこと』『剣、防具、俺自身を担保に設定すること』が条件だ。

 最後の確認として、シルヴィ自身の意向を確認しようとしているところだである。


「お待たせしました。シルヴィを連れて参りました」


 ルモンドがそう言って、この応接室に戻ってきた。

 彼の言葉通り、後ろにはシルヴィがいる。


「あ、あの……。お久しぶりです。シルヴィです。よろしくお願いします」


 彼女がそう言って、礼をする。

 白色の髪と狼耳がかわいい。


 だが、少し緊張している様子だ。

 これから自分の主になろうかという人に会えば、緊張もするか。


「久しぶりだな。あらためて、俺はコウタだ。それでシルヴィ。俺の女になる気はあるか?」


 俺はシルヴィの手を取り、真正面から彼女の瞳を見つめる。


「あ、あう……。えっと、あの……」


 シルヴィは顔を真っ赤にして、しどろもどろになっている。


「うぉっほん! コウタ殿。先ほども言いましたが、肉体的な手出しは無用に願います。今の程度であればギリギリ構いませんが……」


 ルモンドがそう注意してくる。

 やべ。

 そうだった。


「失礼、言い直そう。シルヴィ、俺とともに冒険者として活動してみる気はあるか?」


 こっちが本題だった。

 彼女に手を出すのは、分割払いを終えてからとなる。


「冒険者、ですか……? わたしが……?」


「そうだ。気が進まないか?」


「……いえ! 逆です。わたしはずっと、世界を巡ってみたいと思っていました。コウタ様がよろしければ、ぜひわたしをパーティの末席に加えてください!」


 シルヴィがそう言う。

 予想以上に好感触だ。


「いや、末席も何も、今の俺はソロで活動しているのだ。シルヴィには、俺の最初のパーティメンバーになってほしい。戦闘や冒険者の心得はあるか?」


「わたしは残念ながら、氷魔法は使えません……。しかし、獣戦士としてならお役に立てると思います! 索敵も得意ですよ!」


 シルヴィがそう言う。

 白狼族は、種族全体として氷魔法使いと獣戦士のジョブ適正が高い。

 しかし、個体差はある。

 シルヴィの場合は、氷魔法使いへの適正はなかったといったところか。


「それならば問題なさそうだ。獣戦士は、前衛として頼りになるジョブだからな」


 獣戦士は、身体能力全体に強めの補正がかかるジョブだ。

 近接戦闘に向いている。

 覚えるスキルも、近接系のスキルばかりだ。


 それに、ゆくゆくは氷魔法使いとしても活躍できる可能性がある。

 俺の『ジョブ設定』のスキルを使えればだが。

 今現在のこの状況では、ジョブ設定の画面を開いてみても、シルヴィは対象として認知されていない。


 しかし、パーティメンバーとなれば可能性はある。

 もちろん、ただのパーティメンバーではなくて、システム上の『パーティメンバー設定』を使ったパーティメンバーとなればだ。


 そのためには中級以上の魔物を討伐する必要があるので、まだ先の話にはなる。

 風魔法使いとしての俺と、獣戦士としてのシルヴィの力があれば、中級の魔物を討伐することは十分に可能だろう。


「ふむ。お互いの意思を確認できたようで何よりです。では、さっそく売買契約を進めさせていただきます」


 ルモンドがそう言って、魔力を帯びた用紙を渡される。

 利子、担保、分割払いの期限などが詳細に書かれている。

 一般的には少し厳しめの条件だが、無法レベルとまでは言えない。


 様々なチート能力を持つ俺なら、十分に返済可能だろう。

 俺は内容をじっくりと確認し、サインをした。


「では続きまして、コウタ殿とシルヴィの間に主従契約を結びます。コウタ殿、これを……」


 ルモンドから、俺は小さな針を受け取る。

 これを自分の指に刺して、血を出す必要があるそうだ。

 少し怖いが、思い切って突き刺す。

 指先から血が流れてくる。


「これでいいのか?」


「ええ、十分です。それを、シルヴィの奴隷紋のところへ垂らしてください」


 シルヴィの奴隷紋は、胸元にあった。

 普段は服で見えないところだ。

 

「……んっ」


 シルヴィが服を少しずらし、胸元を出してくる。

 美少女の胸元。

 なかなか破壊力のある光景だ。

 しかし、まだ手を出すときじゃない。

 こらえるんだ。


 ポタリ。

 俺はシルヴィの奴隷紋に、指先から血を垂らす。


「いにしえの精霊よ。我が王国の定めにより、此の者コウタと彼の者シルヴィの間に主従契約を結ばせ給え。フェアトラーク」


 ぽうっ。

 シルヴィの奴隷紋が発光する。

 続けて、シルヴィ自身、俺、そして術者のルモンドも発光する。


「……これにて、無事に主従契約は結ばれました。コウタ殿、シルヴィとの繋がりを感じられますかな?」


「ふむ。確かに、シルヴィの位置を視覚以外でも感知できている気がするな」


「それが主従契約の効力の1つでございます。それ以外にも、奴隷は主人を害せない、無断で遠くに逃げられないなどの効力がございます」


 ルモンドがそう説明する。

 MSCの主従契約でも、同じような効果はあった。

 これなら、裏切らずに秘密を守るパーティメンバーとして、存分に活躍が期待できるだろう。


「では、これにて売買契約と主従契約は終了となります。次回の分割払いの期限は1か月後となります。遅れてもただちに返済不能とは認定されませんが、可能な限り期限までにお支払いください」


 ルモンドがそう言う。

 そのあたりの日程や額は、もちろん事前に確認済みだ。

 今さらどうこう言う話でもない。


「わかっている。いろいろとありがとう。いくぞ、シルヴィ」


「は、はい。ご主人様」


 俺とシルヴィは、奴隷商館を退出する。

 取り急ぎ、済ませておくべきことを済ませていこう。

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