教会の建設開始
騎士リチャードと従者たちは、すぐに村長と話し合いをした。
「……教会ですか」
「ええ、魔物の脅威が差し迫っているからこそ、人々の心の拠り所となる場所が必要かと」
「我々も作りたいのはやまやまなのですが、生憎、大工もいなければ司祭様や代理の神父様もいません」
「大工仕事なら、このバートンにお任せください」
従者のひとりバートンが申し出ると、シスターであるソフィアも名乗り出た。
「私も、読み書きや簡単な治療なら行えます」
村長はホッとした様子で言った。
「わかりました。村としても全力でバックアップさせていただきます」
間もなく一行は、村長や給仕係の女性と共に空き地に向かった。
「教会の場所ですが、実は打ってつけの場所を空けてあるんですよ」
「それが……ここなのですね」
「はい」
小生もその場所に立って周囲を見渡してみた。
村の中でも最も小高い場所であり、ここに立派な建物があれば、文字通り本丸となりそうだ。
騎士リチャードも、満足した表情でシスターを見た。
「いかがですかな、シスター殿?」
「ええ、これだけの土地があれば、この村の人々の暮らしに役立つ聖堂が建てられそうです」
彼女はすぐに枝を手に取ると、間取りを書き始めた。
どうやら彼女は機能性を重視しているようだ。
無駄な装飾などは一切なく、十字架などの教会としての機能はあるものの、集会場としてのスペースと、病院としてのスペース、そして食料などを保管する倉庫に面積の多くを使っていた。
「……あら、スペースが余ってしまいましたね」
「では、ここにはパン屋とサウナを作ってみてはいかがでしょう?」
そう申し出たのは、騎士リチャードの従者の1人だった。
「なるほど。パンを焼いた熱を、サウナとして再利用するというワケだね」
小生が言うと、従者はその通りという表情で頷いた。
「では、パン屋の運営はお前に任せるぞジェイコブ」
「お任せください!」
話が決まると、作業は急ピッチで進んだ。
まずは、木材が必要になるのだけど、ちょうどよく父であるコンドコソトレルが戻ってきた。
「む……少し見ないうちに村人が増えたな」
「父さん。突然だけど……木材は作れる?」
コンドコソトレルは当然のように頷いた。
「枯れ葉や枯れ枝……後は朽ち木を持ってきてもらえればできるぞ」
「おい、すぐに集めろ!」
騎士リチャードが命令すると従者8人は、駆け足で森に向かった。
「森には底なし沼があるから、気を付けるんだよー!!」
リチャードと8人の従者たちは、森の中から朽ち木や木の葉などを大量に抱えて戻ってくると、コンドコソトレルは、グラディウスに指南しながら1つずつ木材へと加工していった。




