面倒事を押し付けられる奴は神だった。
あてしらは重大な使命を持っている。
あてしの住む洞窟の近くの洞窟に、他の人が見つかった。何度目の事だろう。
皆怯えている。
広い広い洞窟の中、狭く狭く抱き合い震えている。
獣より精霊より、お化けより人間が怖い。
誰かが神に祈った。
神の正体はいくつかある。
・逆らえない人
・逆らえない自然
・死を運ぶもの
・この洞窟
・早く食べ物を食べられるようにする火
・川
そしてあてしら、面倒事を押し付けられる奴
洞窟の長はいった。
「となりの洞窟と交流を測り共存の道を探るのだ。」
簡単に言ってくれる。
あてしは内心の不満を募らせながら作戦を練る。
一方的に攻撃をしかけるならともかく戦えば共倒れになる。それはどちらも避けたい。
向こうがこちらの存在にどこまで気づいているかは分からない。
戦いを避けこの地を去ることも大きなリスクがある。
「長、我々は相手の存在を気づいている事を示すために旗をたてなさい。」
こちらが気づいている事を知らせれば向こうから何らかのアクションがある。
向こうがする場合もあるし、そうでなくとも、自分たちの存在を示すことは有利に働く可能性が高い。
情報を得るためには情報を差し出す。
それでも我々は狩りのペースを落とさざるをえない。
「巨大なオオカミの旗にしよう。夜を支配した魔物を我々は追い払った事がある。」
長は絵が達者である。
自分達をつよい、あるいは味方にしたいと思わせるシンボルとしてオオカミの絵は有効だ。
間接的に火が使えることも気づかせるし、向こうが火を知らなくとも、オオカミに対抗する手段があることを匂わせるだろう。
長は鼻歌交じりで絵を描いている。
美しい妻を娶ったばかりの長は今は洞窟を動きたくないのだ。予定外の移動は弱体に繋がるため、合理的な判断でもある。
あてしの使命は他の洞窟との交渉。
未知を道へと変える使命。
交渉の失敗は死のリスク。
次回、全裸で相手を油断させるにつづく!




